#4 沼って目線がズレていく話

最初はとにかく部活指導が楽しくて、生徒はみんな可愛い、愛しい。合奏もどんどん良くなっていく、より高みを目指してみんなでいけいけゴーゴー!・・・だったのが、段々と自分ひとり目線がズレていく数年の話。

その部活に携わり3年目に入る頃、部活が崩壊しかけるほど生徒たちとぶつかった時があった。進路と部活が両立できる/できない のよくある話である。最後まで分かり合えず、部を離れた生徒もいた。残った生徒たちのためにもコンクールは絶対に成功させたい。結果を出して、上位大会へ・・・となればドラマのようにキレイにまとまるのだが、神様は微笑んでくれなかった。思うような結果は出なかった。(地元の氏神へ「部活を救ってください」と泣きながらお参りしたときに白い鹿を見て、あれは神様だったのだろうかと不思議な体験をしたこともあった)

この時、「自分が不甲斐ないせいで」と相当病んだ。今思えば、部活指導なんて1人ですべて出来るわけがなく、顧問と講師でチームを組んでいくべきものを私は1人でやっていた。そして人生を溶かしていた「自分のすべてだったもの」が失敗だったとなると、自分の価値すべてが否定されているのと同じだった。完全なる自分自身のコントロール不足です。

その次の年もリベンジするが、コンクールの結果は出ず。色んな講師を呼んだり、効果的な練習を探したり、とにかく練習が先へ進むように教材を作ったり、やれることはやった、という中での伸び悩みだった。その時はもう頭の中は「どうしたら結果が出るか」ということで「生徒と同じ目線に立って」というのはなくなっていたのかもしれない。もちろん生徒は愛していたけれど、それだけですべてを乗り切ることはできなくなっていた。


そしてその当時、ひょんなことで知り合ったミュージシャンが吹奏楽指導の経験も多くある方で、指導の相談をよくしていたのだが、このミュージシャンと出会ったことで私の人生がまたひとつ曲がり角を迎えるので、次回はこの話を書きたいと思う。

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