儀式を学ぶ機会
カパチェㇷ゚ノミ
去る7月6日、カパチェㇷ゚ノミ(ヒメマス祭・姫鱒への祈りの儀礼)が行われました。
このお祭りは、アイヌ伝統儀礼として、主食である鮭をカムイチェㇷ゚(神の魚)と崇め、鮭の漁が始まる次期に「アシリチェㇷ゚ノミ(新しい魚への祈りの儀礼)」を行い自然の恵みに感謝をして食してきた。又姫鱒は地元阿寒湖が原産地である事から漁時期に自然のあらゆる神々に姫鱒の恵みに感謝をするお祭りで今年で7回目を迎えました。
このお祭りの主催者は「阿寒アイヌ協会(現会長:床州生)」ですが、阿寒アイヌコンサルンは、阿寒湖アイヌコタンにおけるいくつかの団体組織の役員の方々が立ち上げた組織であるため、主催がどこであれ、アイヌコタンのイベントや行事には強制ではありませんが、協力するという役割を担っていますので、わたしもお手伝いさせていただきました。
準備から学ぶ
このカパチェㇷ゚ノミの儀式を学ぶために、アイヌ工芸技術後継者育成事業の一つである担い手育成事業の受講生達も参加しています。
夕方から始まる儀式の前に、朝から沢山の準備が必要でした。
儀式は、本来誰かに見せる為の公演、演目ではないのでリハーサルや予行練習、予備講座などはありません。ぶっつけ本番の儀式そのものに参加するというのが儀式を覚える為の唯一の機会でもあります。ですので準備段階から先輩からの教えは始まっています。
儀式を行う際は、どのような人たちが集まり、どのような配列で座り、誰が、どんな役目で執り行なわれるのか。
祭具、供物はどのように並べ、どのように取扱うのか…などなど。
初めて儀式に参加する人や初めて役割を与えられた人に、伝統的な作法を伝承する先輩達の姿が印象的でした。
儀式で学ぶ
沢山の人の思いや願いを受け取るカムイと向き合う儀式はとても神聖で厳かな気持ちになります。
儀式に参加し役目を果たした人、参加はしなかったけど滞りなく執り行なわれた一部始終を見ていた人、それぞれがそれぞれの感じ方で多くのことを学んだと思います。
こうしてずっとずっと昔から、文字を持たないアイヌの人々は、伝承にて脈々とその伝統を繋いできたのです。
次の世代、またその次の世代へと、伝統を繋いでいく使命があるアイヌ文化を担う人々を育てるということを、ここ阿寒でも大切にしています。アイヌ文化を学びながら生活できる場が阿寒にはあります。
担い手育成事業は、アイヌの人々の希望が育つ事業です。
※写真に映る人物全員が受講生とは限りません。
アイヌ工芸技術後継者育成事業
担い手育成事業
担い手育成事業
阿寒湖のアイヌ文化の伝承・技術継承に取り組み、将来の阿寒湖アイヌコタンを支えていく次世代の担い手を育てるため、「阿寒アイヌクラフトセンター ハリキキ」を活動拠点とした研修事業を実施します。
募集はすでに終了しておりますが、詳細は下記リンク(釧路市HP)を御覧ください。
【募集終了】次世代アイヌ工芸技術伝承者(募集)
儀式の他に、祭具などの木製品の製作、刺繍、樹木の皮を使った織物など、阿寒アイヌクラフトセンターを拠点にで日々学んでいます。
クラフトセンター内の制作室はオープンファクトリーになっていますので
阿寒湖アイヌコタンを訪れた際は、ぜひ見学されてみてはいかがでしょうか。
現在は、個人差はあるものの、ある祭具に挑戦している受講生もいるとか…。
その様子は、また別の機会に。