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皆さんはアカペラサークルに何を求めますか?

今回は所属するサークルについてボソッと。

アカペラサークルから人が消えた

僕(普段使わない一人称を使ってみる)はとあるアカペラサークルに所属しています。かれこれ6年目に突入。
そこそこ思い入れも深く、今年はラストイヤーだったこともあり、気合を入れて突っ走るつもりでした。

しかし、コロナウイルスの流行により、野外でのサークル活動は全面的に停止。出鼻を挫かれる形となってしまいました。

ただ、我らがサークルの役員たちはとっても優秀でした。
SNSでのサークルの宣伝体制を強化して新入生の確保に努めつつ、土曜日にzoomを活用した「オンラインサークル」をスタート。
zoomにはラグがあるのでアカペラをすることは出来ませんが、サークルがサークルとして存在できるように、色々な策を打ってくれました。

「乗るしかない、このビッグウェーブに!」と思った僕は、この「オンラインサークル」に参加しました。
コロナ自粛中、研究室と家の往復を無機質に繰り返していた僕にとって、久しぶりに沢山のサークル員に会えるというのは、多少なりとも胸躍るものでした。

しかし。オンラインサークルに参加していたのは全体の1/10程度。非常に少ない人数しか集まっていなかったのです。

なぜ人が集まらないのか

ここまで書いた内容を受けて、

「はいはいサークル大好きな人たちの『サークル来ようぜ!』は聞き飽きたぜこっちは忙しいんだよオラオラ」

と言いたい人もいると思います。わかります。わかりますが今回そこはメインテーマではないのです。是非、もう少しだけお付き合い頂ければなと思います。

さて、サークル員がほとんど集まらないこの現状のままではなんとも寂しい。そこで、「なぜ人が集まらないのか」を考えてみることにしました。

1. バイトや就活で予定が合わなかったから

これは至極真っ当な理由かなと思います。オンラインサークルがサークル員に向けて告知されたのは1-2週間前でしたから、サークルが休止になることを見越してバイトを入れている人は多かったのだと思います。

就活の予定もしかり。土曜に採用活動を行う企業はそこまで多くはないとはいえ、重要な面接が多くなる時期ですから、面接対策に時間をかけたかった人もいるでしょう。

そもそも、就活とサークルを両立することが多い我らがサークルの人たちはかなりレアな人種です。普段通りサークルに来ながらも、相当無理をしていた人を僕はたくさん知っています。

2. 仲の良い人がいるか分からず不安だったから

これもありそうですね。我らがアカペラサークルは、土曜日の区切られた時間ごとに、各々でバンドを組む仕組みになっています。したがって、サークルという形態を取っているとはいえ、その活動を通してガッツリ親しくなるのは、やはりバンドメンバーになることが多い。

でも、「バンドの練習がある」という共通の理由のもと集まっていたバンドメンバーは、アカペラの練習をしないオンラインサークルにおいては、必ずしも参加しているとは限りません。
かといって、「オンラインサークル行く?」とLINEで聞くくらいなら、その人と個別でzoomすれば良いじゃん、となる。
その結果、オンラインサークルに行くのをやめたのではないか...という推察です。

パッと思いついたのはこの二つですが、僕はこの二つだけでサークル員が1/10にまで減少してしまうのは考えにくいと思います。
コロナの影響でバイト先が休業している人も多いでしょうし、就活もサークル員みんながやっている訳じゃありません。

また、練習がないことにより、今まで練習時間が被っていたために話していなかった人とも話せるというメリットもあります。
一概に劣化版とは言えないオンラインサークルに、なぜこれだけ人が集まらないのか。いくらアカペラができないとはいえ、決して魅力がない訳ではないはずなのに...。

という風に色々考えてみた結果、僕はもう一つの理由にたどり着くに至りました。

みんなはアカペラサークルに「アカペラ」を求めている

3. アカペラサークルに「アカペラ」を求めているから

これかなと。アカペラができないサークルに意味を見出せていないのです。

これは良い悪いの問題ではありません。我らがサークルのシステム上、そういう人が多くなることはある意味で必然だと思われます。
これを証明するべく、サークルに入ってからのイベントを時系列順に見ていきましょう。

まず新歓期では、実際にマイクを持って歌う「体験会」と、先輩の演奏を披露する「新歓ライブ」、そして一般の人に向けても歌う「学祭」があります。
新入生はサークルに興味をもつやいなやアカペラを体験させられ、ひたすら練習に時間を費やしていきます。

この間に、一般的なサークルが行うような「新歓パーティ」のようなことはほとんど行われません。いや、一応行われはするのですが、明らかに「新歓パーティで仲良くなって人を囲い込もう」という意識が低いと思います。
どちらかといえば先輩勢は、新歓ライブや学祭の演奏クオリティの向上に躍起になっている印象を受けます。「アカペラで魅了することで人を集めよう」というマインドな訳です。

そして新歓期が終わると、今度は「新人ライブ」が待っています。新人が自らライブプロデューサーを務めて運営するこのライブ。参加するためにはバンドを組まなくてはいけませんが、このバンドの結成方法は、「新人」と「新人と組みたい先輩」に完全に委ねられ、サークルはほぼ介入しません
教育に関しても同様です。先輩とバンドが組めない新人の技術向上に関しては、ほぼ完全にほったらかされます。

この結果何が生まれるかというと「実力格差」です。そして、バンドを各々で組むこのサークルにおいて、それは致命的になります。
実力がないとみなされた人はバンドを組むことが難しくなり、その多くがサークルを去っていきます。
逆に「アカペラに対して自走してコミットしていく人材」は、同期や先輩、後輩を巻き込みながら成長していきます。

かくして、いわば「虎の子育て」方式の新歓期と新人ライブを生き残ったサークル員たちは、その多くが並々ならぬアカペラへのコミットメントの精神を持つことになります。
すなわち、「アカペラサークルの人と交流すること」以上に「アカペラをすること」そのものに意味を見出す人が大多数になっていくのです。

これからは「サークルが好き」が必要になってくる

誤解しないで欲しいのが、私はサークルの「虎の子育て」体質を完全に否定したいわけではないということです。
アカペラへの大きな愛はその人の技術をますます尖らせますし、自走して這い上がったサークル員が提供してくれる知見には目を見張るものがあります。
そもそも、比較的バンドに困らず5年ちょいやってきた自分が現行サークルの制度を完全否定したところで説得力に欠けるというのもあります。

ただ、色々と問題がある体質であることは間違いありません。それは今回のコロナ騒動でより浮き彫りになります。

すなわち、「虎の子育て」は今年度に限っては全く通用しない、ということです。

「虎の子育て」を成功させるためには、

①多くの新入生が入ってくること
②多くの歌う場が提供されること
③アカペラで新入生を魅了できる機会があること


の3つが必須条件です。アカペラに魅了された数多の新入生を野に放ち、自走させる環境が必要になります。しかし、今年度はどの条件も満たせないことは明らかです。

代わりに必要になってくるのは、緻密な交流と豊富な研修です。
数少ない入会希望者を「人の魅力」で囲い込み、「サークルが好き」という理由で入会させる。
そして、独り立ちできるまで一人ひとりを丁寧に教育することでサークルへの帰属意識を高める。
このくらいのことをしないと、今年度の新入生を確保することは難しいでしょう。

そして、この取り組みは役員だけでなく、サークル員一人ひとりがやっていく必要がある。なぜなら、「人の魅力で囲い込む」ためには、人海戦術が必須だからです。

このように、サークル員みんなにパラダイムシフトが求められているわけですが、これはなかなか大変なことです。今まで育ててきた「アカペラ」を求めるマインドはそんな簡単に崩れるものではない。

しかし、これは逆にチャンスでもあります。

今までずっと「アカペラ」をアカペラサークルの価値としてきたサークルに、突如として「人」を価値におく新入生が入ってきたらどうなるでしょう。

現行のサークルの仕組みが改善され、「アカペラ」も「人」も最大限楽しめるようなサークルへと進化を遂げていくかもしれません。

その頃には完全にOBですが、このコロナ騒動を「人の魅力で新入生を囲い込む」ことで乗り切り、変貌を遂げたサークルにふらっと遊びに行けたら、なんて考えたりするわけです。そのために、今年の新歓は少しでも力になれたらいいな。頑張って人を磨きます。

最後に。みんなオンラインサークル来ようぜ。楽しいよ。



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