【トレーシングレポート#10】ドネペジルの中止を提案
「この患者さんが悩んでいる下痢や食欲不振は、副作用によるものかもしれない。そう思って疑義照会をしたけれど、『たぶん加齢によるものだと思うから、そのまま出して』と医師から返事があった。あれから 2 週間経ち、患者さんに電話で服薬後フォローをしたけど、症状は変わっていないみたい。なんとかしてあげたいけど…」
服薬指導中に副作用の発現を疑った際には、疑義照会をします。
しかし、医師からの回答が「変更なし」であることは決して少なくありません。その場合は、今後の変化などを予測したうえで必要な指導をし、電話などで経過をフォローすると思います。
ではフォローアップの際、情報を集め、患者さんの希望や考えを聞き、薬剤師の観点からアセスメントをした結果、やはりもう一度医師に提案したいと考えたときは、どうするでしょう。
患者さんが次回来局された際に、状況や処方内容が変わっていなければ、その時にあらためて疑義照会をするでしょうか?
それとも、自分のアセスメントをぐっと飲み込み、医師の見解に従ってそのまま様子をみるでしょうか?
このような状況では、情報提供書(トレーシングレポート)による処方提案をするのがおすすめです。
トレーシングレポートの利点は、薬剤師の考察や患者さんの思いを、医師に余裕がある時に知ってもらえることです。
疑義照会の場合、医師は別の患者さんの診察中にすばやく判断を下さなくてはいけないため、熟考する時間がありません。
一方でトレーシングレポートの場合は、医師は薬剤師からのアセスメントに前もって目を通し、それをふまえて診察に臨めます。
もちろん、緊急性の高いケースでは疑義照会が必要です。しかし、すべてのケースを疑義照会だけで解決しようとするのは無理があります。
このように、必要に応じて疑義照会とトレーシングレポートを使い分けることで、薬剤師・患者・医師間の連携が密になり、患者さんの受ける医療の質が上がります。
ただ、はじめてトレーシングレポートによる処方提案をする場合、どうやって患者さんに話をしたらよいのか、医師に対してどんな文章を書いたらよいのか、不安がよぎると思います。
そこで、
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この内容が正解というわけではありません。
今までに 300 件以上トレーシングレポートによる処方提案を実施し、その 80% 以上が採用となった経験を、あなたと一緒に共有できたらいいなと思っています。
ちょっと話を聞いてみようかな、と思われる方は購入をご検討ください。
以下が有料部分についての概要です。
【処方および提案内容など】
80 代 女性
1.ドネペジル塩酸塩OD錠5mg 1 錠
1 日 1 回 朝食後 28 日分
2.タンニン酸アルブミン 3g
1 日 3 回 毎食後 28 日分
3.ロペラミド塩酸塩錠1mg 1 錠
下痢時 10 回分
4.ロキソプロフェンナトリウムテープ50mg 28 枚
1 日 1 回 右膝に貼付
・現病歴:アルツハイマー型認知症(5 年ほど前から 1 を服用)、変形性関節症
・併用薬:なし
・肝機能障害:なし
・腎機能障害:軽度低下
・処方提案の内容 :ドネペジル塩酸塩口腔崩壊錠の中止
・提案結果 : 上記のとおり変更。その結果、下痢なども治まり、2 および 3 も中止になった。
・その後の経過 : 中止後も認知症に顕著な進行はなく、外用薬のみの使用で過ごせている。
【特徴】
・薬剤師と患者さんのやりとりを会話形式で記載
・上記を基に作成したトレーシングレポート
【デメリット】
・解説はありません。
【対象】
・トレーシングレポートを使って処方提案をしてみたいが、行動を起こせずにいる方
・トレーシングレポートの文章が書けずに困っている方
・患者さんから情報を聞き出すことや、医師への情報提供にあたっての同意をとることに難しさを感じている方
【対象外】
・疑義照会で十分な処方提案ができると確信している方
・患者さんから情報収集などをする際に、難しさを感じていない方
最後に…
疑義照会では受け入れてもらえなかった処方提案が、トレーシングレポートを送ってみると、あっさり通る。そんな事例をよく経験します。
あなたのアセスメントを医師に伝えることで解決できる患者さんやご家族の悩みがきっとあります。
そして、地域の患者さんやご家族は、その日が来るのを待っています。
ぜひ、購入をご検討ください。
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