【トレーシングレポート#8】グリメピリドの中止を提案
「このグリメピリド、この患者さんにはもう必要ないんじゃないかな…やめられる可能性があるかもしれない」
服薬指導をしている時に、患者さんから生活習慣を聞いたり、血液検査の結果を見せてもらっていると、このように考えることがあると思います。
しかし、禁忌ではなく、添付文書上の用量調節などにも該当しないようなケースでは、疑義照会をするのはためらわれるのではないでしょうか。
また、もし疑義照会したとしても「そのままで」と、医師から返事がくるケースが大半です。
このような時は、情報提供書(トレーシングレポート)による処方提案が有効です。
緊急の対応は必要ないけれど、薬剤師としてのアセスメントは伝えておきたい。そんな時、トレーシングレポートはとても有用なツールになります。
疑義照会をした時、当然ですが医師は患者さんの診察をすでに終えています。つまり、疑義照会を受け入れるということは、ついさきほど自分で下した決断を覆すことになります。明らかなミスに対する提案であれば、受け入れることもスムーズでしょうが、そうでない場合は「そのままで」と返事をするのも無理のないことだと思います。
一方、トレーシングレポートを使用した処方提案の場合、医師は薬剤師からの提案をふまえたうえで患者さんの診察に臨めます。そのため、自分が確認したいことを自分の手で確かめてから、薬剤師の提案を納得できるまで検討できるのです。これが、トレーシングレポートによる処方提案が疑義照会に比べて受け入れてもらいやすい理由です。
ぜひ、トレーシングレポートによる処方提案を実施して、あなたのアセスメントを医師に届けてください。患者さんはもちろん、医師にもきっと喜んでもらえるはずです。
ただ、はじめてトレーシングレポートによる処方提案をする場合は、どうやって患者さんに話をしたらよいのか、どんな文章を書いたらよいのか、不安になると思います。
そこで、
そして、
この内容が正解というわけではありません。今までに 300 件以上トレーシングレポートによる処方提案を実施してきた経験を、あなたと一緒に共有できたらいいなと思っています。
トレーシングレポートによる処方提案は、薬剤師・患者・医師の関係を劇的に変えます。薬剤師は「くすりの説明をする人」「くすりを用意する人」「処方箋の誤りをチェックする人」といった枠から飛び出させてくれます。ちょっと話を聞いてみたいな、と思われる方は購入をご検討ください。
以下が有料部分についての概要です。
【処方および提案内容など】
80代 男性
1.グリメピリド錠1mg 1錠(1 回 1 錠)
1 日 1 回 朝食後 28日分
2.シタグリプチン錠50mg 1錠(1 回 1 錠)
1 日 1 回 朝食後 28日分
3.アトルバスタチン錠5mg 1錠(1 回 1 錠)
1 日 1 回 朝食後 28日分
・脂質異常症,糖尿病(65歳以降に現在の薬を服用開始)
・併用薬:なし
・肝機能障害:なし
・腎機能:軽度低下
・処方提案の内容 :グリメピリド錠1mg の中止
・提案結果 : 上記のとおり変更
・その後の経過 : HbA1c が 5.3 から 6.2 まで上昇。その後、同値前後で維持。グリメピリドは中止継続。
【特徴】
・薬剤師と患者さんのやりとりを会話形式で記載
・上記を基に作成したトレーシングレポート
【デメリット】
・解説はありません。
【対象】
・トレーシングレポート初心者
・トレーシングレポートを使って処方提案をしてみたいが、行動を起こせずにいる方
・トレーシングレポートの文章が書けずに困っている方
・患者さんから検査結果などの情報を聞き出すことや、医師への情報提供にあたっての同意をとることに難しさを感じている方
【対象外】
・疑義照会で十分な処方提案ができると確信している方
・高度で隙のないトレーシングレポートを求めている方
・患者さんから情報収集などをする際に、難しさを感じていない方
・処方および提案内容を見て、得られるものがないと思った方
それでは、はじめます。
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