君たちはどう生きるか?完走した感想

君たちはどう生きるか?をみてきた。

とにかく退屈であった。聞けば序盤は宮崎駿の自伝みたいなものであり、そう聞くと物語後半での僕の感想と一致するので「なるほど」と思った。だが、ここからはおそらくは同じ感想の人間はあまり居ないと思う。

この作品そのものが「君達はどう生きるか?」世界で語られる世界を維持する「積み木」になっている。己の半生と、作ってきた作品のパッチワークなのが、この作品の正体である。主人公の選択肢はほぼ意味がない。何故なら世界を維持している老人もまた宮崎駿なのだ。老いた氏が若い氏に「なあ、俺はこうやって作品群を連ねてきた。13個の石(ジブリ作品のどれがどう氏の中でナンバリングされているか?までは僕は知らない)を3日に1個積め(3年で1作品を描け)」と言う。若い氏は老人の戯言など聞いてない。もしくは神聖視して汚れている自分(嘘の被害を捏ち上げて何かから逃げた)がやるべきではない無いと跳ね除ける。

此れをお出しされた側が、3つの石から選んで、塔に加えろ。と言われる。塔とは空から落ちてきた隕石でもあり、老人が積み上げてきた実績そのものだ。老人は挑戦をしてきている。僕らに

3個の石とはなんだろうか?僕にはわからない。エンタメ、教養(説教)、生活の糧。どの石も氏は息苦しいものだったと容易に予想される。この中から石を選んだが氏はどれもダメだった。何も世界を維持できなかった。呪われたのだと。しかしこの呪いは血を継ぐものに継いで欲しいという。逆ではないか?この儀式を見抜いた上で石を拾って、自らの塔を打ち立てる。そんな事を問いたいのでは?と僕は思うのだ。

そう言っちゃうと「それってシンエヴァじゃない?」となってしまう。そうなのだ。なのでもう一捻りがあるのだと思う。

老人は主人公の弟である。彼は未だ現実には実体化していない。伝説的な存在としてその名を借りた赤子である。あの世界では水子らしきものが間引かれている。その存在は老人が外から持ってきたものだと。あの世界の地獄とは賽の河原であり、死産した弟の眠る墓所を墓守が守っている。実体化出来ない子供と、それを維持するものが居る場所である。あの世界に時間軸はさほど重要ではない。因果関係が重要なのだ。世界の維持も重要ではない。母の違う弟を、継母との和解を経て、呪いは解除された。それでもやはり氏の関係性を言及しなくてはいけないが、恐らくはジブリでない宮崎駿作品が世に出るかを問う為の呪物の憑き物落とし、と解釈するのが及第点だと思われる。

まあそれでもこの作品に整合性を付けるのは難解だと言えよう。
面白いとも言いにくい。

観に行けとは言わない。少なくとも家族連れでは見に行けない、そんなものだ。確信犯だろう。

この世界に怨念を振りまく(理想:現状は愚痴ってるだけ)悪霊。浄化されずこの世に留まっている(意訳:死んでない)