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糖尿病からの生還

 私は鬱病で、かなりの長い間闘病しているが、それよりもっと長く付き合ってきた病気がある。それが糖尿病である。

 僕は知識だけは有ったので、学生時代からその傾向があると知っていた。まあ、ただ親類の糖尿病率から遺伝的にほぼ避けられないと思っていた。大学で病理学か生化学か忘れたけど、そこで学んで予測はほぼ確信に変わった、俺は確実に将来糖尿病になると

 大学を中退して、就職をしても、その時も内科への定期通院を欠かさなかった。何度も健康、という診断が出たが楽観視しなかった僕は性根からの悲観主義である。この糖尿病という病の末路を知れば、日本人のDNAから、この病気の罹患率はほぼ100%という確信があった。

 見事その予想は当たったが、それより先に鬱病で離職するとは思わなかった。が、よく考えればこれは我が身に降りかかる不幸に間違いなかった。僕の不幸は必ず『最悪の組み合わせ』で同時に降りかかる。父と母の最悪な部分を引き継いで生まれた後、子供から成人まで生活周辺もその様に今まで成ってきたのだからこれも当然だったと言えよう。

 糖尿病で何より怖かったのは腎不全による透析患者に堕ちることである。僕はこれが何より怖かった。毎週長時間の治療が必要なことに加え、徹底した食事管理の上で透析を行わなければ予後不良で死ぬ羽目になる。死ぬのは良いのだが何故苦しみ悶えながら死ななければいけないのだろうか?

そこまでして生きたいと思わないのだ。これが鬱病との糖尿病の合わせ技が怖い所だ

 希死念慮を持ちながら透析に通う日々がどれほどの無理ゲーだろうか?そんなの生きることに希望が有って、愛するものがあってこその闘病だろう。だが私には愛されることも、愛するものも居ないのに治療費を捻出しながら何故生きねばならないのか?死んだほうがコスト的に優しい、なおかつ誰も悲しまないのだ。故に僕はその時点で自殺法を確立した上で糖尿病の診断を受けた

 結果的には準備万端過ぎた。経口薬のみでほぼ病状は改善された。しかし僕は幸運と思ってない、先述の通り10年前から糖尿病の疑いを捨てなかったのだから。恐らく最速で病気に挑み、結果運良く命を拾ったに過ぎない。事実初動が早かったにもかかわらず診断の結果を精神科の先生に告げた時(薬手帳の関係で他院に通院すれば知られるのだ)に言われた。「その数値でよく腎臓保ったね」と。背筋が凍る思いだった。

 その後も糖尿病は良くなっていった。透析はこのまま気長に食事療法を続ければ改善されるだろう。そんな感じで僕がどうやったか?くらいは後の人のために残そう

1:こむらがえりが就寝中に何度も、ほぼ毎日起きる
2:2Lのペットボトルの飲み物(無糖)を短時間で飲み干せる
3:喉の渇きで夜中に目を覚ます

 元々、こむら返り自体はたまに起きていた。多く汗をかき過ぎる体質も有って夏場は冷房無しで過ごせないのだ。体内のミネラルバランスを崩しやすかった。そこで飲み物を補填するのだがスポーツドリンクの類を飲みすぎたのだろう。ここで血糖値が高い状態が続いたのだと思われる。この辺でこむら返りの頻度が尋常でなく成った。喉の渇きも異常で職場で渇水状態で何度もウォーターサーバを往復していた。此処まで来るともう素人ですら疑いようもない糖尿病である。この1、2、3をある程度満たしたなら糖尿病専門の病院に行くと良い。大きな病院だとなお良い

 後は、経口薬で改善する方法である。これは僕が考えた手法であり、これを読んでる貴方には適さないかも知れないが僕は実行した。

1:長い低血糖の時間を作る
2:晩御飯はしっかり食べる
3:食べ過ぎるなら晩飯を2回に分けて、それを夜食として寝る前に摂る

 デブに優しい食事療法である。1は糖尿病の病理であるところの根幹『高血糖の状態が長いために肉体に負荷をかける』というささやかだが確実なダメージを抑える事で四肢切断などの末路を回避する狙いである。具体的には晩飯後に就寝し十分睡眠時間を取り、朝起きて朝食を摂るが最低限にする。そして昼飯も糖質ではない物を摂る。僕は朝は栄養補完ゼリー系、昼はソイジョイを2本摂っていた。そして晩御飯である。晩飯は当然血糖値が上がるのだがここで気にしてほしいのは寝た後の取得する糖である

 睡眠時間8時間として、朝を9時に起床とする。朝食昼食を経て19時に晩ごはんにありつくまで『18時間』の血糖がほぼ正常状態の時間を確保して、これを1ヶ月続ける。これだ。特に僕は鬱病であり、夜になってようやく本調子と言うか食欲が湧いてくるのだ。特に夜食時間などは鬱のダウナーとは一体何なのか?と疑問に思われるほど最高に幸福なのである。このモリモリ湧いてきた余分な食欲のせいで糖尿病まで引き起こすのだからタチが悪い。この夜食を断てない実情から朝と昼を控えめにするという事で、高血糖の状態を1日の『6時間』に抑える事が可能となった

 勿論、この6時間、何を飲み食いしても良いわけではない。例えば1.5㍑コーラを買ってきてこの夜食タイムに一本飲み干す、みたいな蛮行は許されない。それは大体月に一本だけ大容量ペットボトルの砂糖入りの炭酸飲料を飲んでも良い位の厳しさである。一ヶ月に2本開けると確実に糖化ヘモグロビン濃度(HbA1c)が上昇するのは間違いなしである。この6時間は一つの胃袋で常識的に処理できる量の飲食の範囲である(なお、それでも常人の2倍以上どか食い可能な胃拡張な人には対応してないので諦めて四肢切断の憂き目を受け入れてください)。

 超非効率なダイエット食事メニュー(コーラ&ピザorドーナツ)とかでない限り、1回の食事でなら病院食如くの節制はしなくても致命的には成らないということだ。それに毎日パーティーするような晩飯を食べれるわけではないので給料日前とかは大人しくなると見越してである。長らく鬱病と戦ってきたが食事が義務化するとメンタル面でのダメージが半端ないのである。『栄養と摂らないといけない』という義務感が生まれたらそれは一度連休でも申請して貴方の人生を見直したほうが良い。食事は貴方が今日一日生き延びた報酬である、報酬のない人生を送るのは辞めたほうが良い。

 まとめよう。

1:長時間の通常血糖値の時間を毎日確保する
2:無理な食事制限はまず成功しない
3:かといって行き過ぎた食事制限を可能なのも問題である(それなら砂糖たっぷりのコーラに氷を大量に放り込んで「冷え切ったコーラ美味え」という人生のほうが健康である(月1回のチートタイムである)
4:食事を通常に取ると血糖値はかなり上がるが食後血糖値より、食後数時間の血糖値が重要で、なおかつ一ヶ月後の糖化ヘモグロビンの数が重要である(短期間の節制では糖尿病は根治しない)

 貴方の両腕と両足が貴方の老後まで有ることを祈っている

この世界に怨念を振りまく(理想:現状は愚痴ってるだけ)悪霊。浄化されずこの世に留まっている(意訳:死んでない)