おすすめ漫画紹介:トニカクカワイイ(少年サンデー連載中)
闇テキストばかり書いていたので、心に優しい漫画をオススメしたい。現在少年サンデー連載中の、畑健二郎氏のトニカクカワイイをオススメしたい。
正直言うと読む気はなかった。むしろ『双亡亭壊すべし』を読みたくて手に取ったサンデーで、表紙飾っていたヒロインらしき少女にとてもつもなく惹かれたのだ。
シチュエーションはこうだ、新妻が起きてきた旦那に朝食を作っていてそれを配膳しようという瞬間を切り取ったものだ。これがトニカクヨカッタのだ。
この時私は己の願望を、本当の望みを知ったのだ。
私は鬱病で倒れ、ここ十数年に及ぼうか?という長い間苦しんでいる。正確には向精神薬は断薬出来たのだが、入眠障害だけはかなり重篤で、これが最も私を苦しめる。
私にとって『俺は存在価値がない、この世から消えるべき』というような自虐的、否定的感情は常に起こっている、毎日毎時間。それを忘れられるのは寝むり、惰眠を貪る瞬間はそんな思考とは無縁でいられる。
逆に言えば『起きる』という行為は『もう眠れない』という恐ろしい事実であり、私はまた睡眠を貪るために仕事に励むのだ。私にとって起きている時間は入眠までの時間潰しでしか無い、そしてまた眠って夢の中で愛する先輩と出会うのだ。
それで『トニカクカワイイ』に話を戻そう。
シチュエーションはこうだ、新妻が起きてきた旦那に朝食を作っていてそれを配膳しようという瞬間を切り取ったものだ。これがトニカクヨカッタのだ。
しかしだ、私の目覚めを待っている人間が居て、私が永遠に目を覚まさないことで泣く人が居たのなら『朝を起きるという地獄への帰還は悪くないのでは?』と思ってしまった。
僕は(私ではなく)かつて、愛する人のため全てを投げ打てる、という私の生きる意味を全て無意味にした様に、地獄も共に歩むものが居ればもしかしたらそれはとても楽しい地獄への行脚に思えたのだ。それだけでこのトニカクカワイイは表紙だけで私の魂を撃ち抜いたと言えよう。
内容は、雪の降る夜、主人公の少年はファム・ファタルに出会う。直ちに彼女に声をかけようと道路に飛び出て、そこで不注意にもダンプに轢かれる、通常なら即死だがファム・ファタルたる謎の美少女に助けられる、助けられた少年は大怪我に負ったが最後の気力で恩人を追う、そこで一目惚れの告白をして根負けした彼女から『結婚してくれるなら良いよ』という現地を引き出す。そこで少年は即時に『喜んで!』と返答し、そのまま昏倒する。
その後はひたすら彼女との出会いのために受験を棒に振り、働く日々、そんな日々を続けて数年後、その少女、司は主人公であるナサの前に再び姿を現す。
という感じだ。このお話ではひたすら夫婦のイチャコラ(1巻で既に結婚してしまうので)しながら徐々にヒロインの謎が提示される行くが、それ自体はどうでもいい(良くない)。問題は彼女はひたすら主人公を愛してくれているという事だ。昨今のラブコメは好きになる理由に重きを持ち過ぎだが、その点『トニカクカワイイ』は提示されていない以上気にしないで良いのだろう。
そういう所も大変良い。
これはあくまで私の主観であり、貴女もそう思うかは保証しないが、自分の目覚めを待つ存在がこの世に何処かにいると思うなら僕の病魔も快癒するのでは?と希望を抱くのだ。
この世界に怨念を振りまく(理想:現状は愚痴ってるだけ)悪霊。浄化されずこの世に留まっている(意訳:死んでない)