ルノアール西武新宿駅前店

　微妙にきのうのつづき。
　ＤＪをした翌る朝。
　カプセルホテルからうねうねと這い出すと風呂を浴び、缶コーヒーを片手に、立て続けに喫煙室で煙草を四本吸う。
　ベルクに置かれてあった石丸元章の小説を買っておかなきゃな、となりながらも、それはあしたにすればいいか、と今日も焼き魚の定食を食してからのち、ルノアールに席を確保する。

　喫煙ができる色よい喫茶店を歌舞伎町に発掘したのだけれども、コンセントがつかえるかどうか、いまひとつわからなかった。
　ちいさなリュックに、Ｂ５サイズのノートＰＣ、資料につかえるかと都内の図書館から借りてきたハードカバー二冊、眼鏡、……を詰め込んで、食事を摂り（ラーメン以外とする）、煙草とコーヒーを出す店の椅子に腰かけ、この文章をぱちぱちとタイプをしているわけである。
　日比谷で観る予定の映画は五時からであるので、余裕はふんだんにある。
　この文章が終わったら、トラベラーズノートに十枚ぶんほど書き進めた新しい小説をタイプしはじめる。
　いかんせん、小説を書くのであったから、友人からのＬＩＮＥが鳴っても無視を決め込んでいられる。
　人生はこの上なくシンプルで、やるべきことは明確におもわれる。
　もっともそれもつかの間のこと、表に出ればまた観なければならないとされる映画に追われ、食べなければならないとされるラーメンたちの魔手が迫ってくるのだったが。
　しかし、穏和なひとときというもののたしかにあるのを今の私は、しっている。