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幸楽苑の朝ラーメン

 ここら辺、自分でも頭の中でどう整理が成されているのか不思議といえば不思議だが、都内で美味しいラーメンを求めながら、ラーメンなんざ幸楽苑のそれで十分なのだ、ということも同時に感じている。その点僕が思うに、ラーメン愛好家の大抵は、そういう構造になっていたりするものなのではなかろうか? だって「オレは普段どこそこのラーメンを食べているんだ、あそこが旨いんだ、だから幸楽苑なんざ食わんっ」という人は、まあ見たことはないし、ちょっと想像もつかない。単純に別のもの、といってもいいが、おあしを払ってなにか面白いモノをみせてくれ(食わせてくれ)、という了簡と、腹が減ったなラーメンでいっか、という了簡とのちがいである。ひとまず、僕の場合はそういう風に二つに分かたれているというか、自然にギアは切り替わる。当人にとってごく当たり前の話である。
 幸楽苑はもと福島県内では「会津っぽ」という店名でやっていた。そう、わが地元発のチェーン店が幸楽苑である。で、ここはどの店舗も家族連れ狙いで駐車場が広いんだよね。敷地にカネがかかっている。そんな中、日高屋がビールを安くして、「日高屋飲み」を売りにしたところ、都会では日高屋優勢に傾いたりもして、今は苦しくなっているわけである。ちなみに福島県で日高屋を私はみたことがない(笑)。さらに附言すると、うちの地方市街地は駅前が居酒屋ばっかりなのだけれども、せんべろ文化が不思議に根づかない(こんだけ居酒屋あるんだから、どっかしら商売っ気出しそうなものだが、ホントない)。立ち飲み酒場とか、飲み放題がワンコインとか、びっくりするような安価のお店なんてのはなくって、皆手堅く商売しているわけである。そこら辺の冒険のしなささがジ・田舎ということになろうか。

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 町のラーメン屋をちょいと洗練させたというか、大量生産品として衛生的に、無色透明に作った幸楽苑のラーメンだが、塩(味噌)野菜ラーメンはなんでか、そんな無色透明成分がちょっと微減する気がする。いやまあ。しなくもない。気分的に。その反・無色透明成分というのはつまり、なんかちゃんと汚い暖簾がさがってて、ちゃんと脂ぎった厨房で、ちゃんとちょっと汚い寸胴にスープがあって、という味覚もだがなにより、他のセンスで感じる味、というやつで、チェーン店というやつはそいつをば滅菌してしまう。いやまあ、それでいいのだろうけれど。

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 というので、朝ラーメンに野菜ラーメンのセットを頼んでみたところ、これはいかにもデオドラントだった。なんでだ。わが「野菜を炒めて無色透明成分を飛ばしている」説が否定された、凍えるような福島の朝方の、幸楽苑であった。



静かに本を読みたいとおもっており、家にネット環境はありません。が、このnoteについては今後も更新していく予定です。どうぞ宜しくお願いいたします。