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【アニメ感想レビュー】"けいおん" あったかふわふわ

評価8/10
・高校時代に思いを馳せる。2期に入り失速したものの、1期は疾走感があり、高校生活の束の間感が体現されている。
・宝石のように輝く放課後ティータイムの演奏シーン(オープニング映像)
・可愛いキャラによるふわふわしたストーリー。

高校生諸君、けいおんを見ろ。

 高校生は自我に目覚め、人格が本格的に形成されていく。そして、将来の進路を検討する。入学から卒業まで受験だとか沢山のイベントが詰め込まれている高校生活は刹那的。
 損得勘定が働くことのない、純粋に友人と出会い、共に過ごした高校の3年が過ぎるのは一瞬のよう。高校を振り返ると、金がないし、生産性を度外視した徹底的な寄り道が楽しかった。
 さて、けいおんは、1期+OVA(12話+2話)終了時点で2年が過ぎている。20分ちょっとで1話を消化していく。。。あっという間だ。このアニメを端的にまとめると女子高生の部活生活、それだけ。
 しかし、、、桜高軽音部(放課後ティータイム)の部活生活がとてつもなく微笑ましい。おじさんのワイ、ニヤけちゃいます。
同時に切なさを感じる。
 実の所、けいおんを見るのは、放送当時(自分が高校生だった時)以来。当時よりも今の方が熱中してしまったかもしれない。なぜなら、当時の高校生活を思い出すから。そして、大人になった自分が喪ってしまった”綺麗な心”を目の当たりにするからである。これが切なさである。

 大学生になれば、研究室選びや就活を通して、大人への媚び、醜い人間競争、駆け引きが展開され冷たい人間関係を目の当たりにする。汚ねえ。
 実体験として、謎のセミナー講師になったり情報商材に開眼する奴がでてきたり、、、留年して、消えていく人がいたりと。
自分にとっての大学期とは、”ダーティでフリーキーなモラトリアム。”

 自分の実体験だが、高校って、大学と比べて上記のうす汚い部分が遥かにないと思う。自分にとっての甘酸っぱさなのかなあ。

 少子化に伴う日本の衰退への懸念、格差拡大、止まらない物価高と円安、SNSの発達による希薄化した人間関係、学歴社会の問題。生きる目標もなく漫然とシラけた生活を送る高校生も多いのではないだろうか。
 そんな高校生に突きつけたい。”けいおん”を見ろ。

将来が不安→”けいおん”を見ろ。
死にたい→”けいおん”を見ろ。
見るアニメがない→”けいおん”を見ろ。
趣味がない→”けいおん”を見ろ。
暇。→”けいおん”を見ろ。
部活入ってない→”けいおん”を見ろ。
部活入ってる→”けいおん”を見ろ。
女の子が好きだ→”けいおん”を見ろ。
女の子に興味がない→”けいおん”を見ろ。
自分は女の子→”けいおん”を見ろ。
学校に行きたくない→”けいおん”を見ろ。
腹へった→”けいおん”を見ろ。

けいおん見てない高校生、ガチで危機感持った方がいいと思う。
ガチで危機感持った方がいい。

自分の過去と重なる高校の友人の尊さ

 中学まで公立で過ごした筆者の中学時代、醜いスクールカーストと破壊活動・迷惑行為・犯罪行為が横行していた。北斗の拳。

 そんな世界で肩身狭く、
毎日現実からの脱却を夢想。
そして、こじらせた厨二病。
感覚を研ぎに研ぎ、尖らせた己の”SENSE”
もはやジャックナイフ。
中学時代の好きな音楽は、UKロック。
そう、ピンクフロイドのアナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール。
We don't need no thought control

少し韻踏んで?中学時代を振り返ってみた

 このアイスエイジで、JPOPを聴くのは”クソダサいやつら(HipHop的に言えば、WACK)”という信念を持ち、前奏のない音楽は音楽ではないという既成概念を築き上げたのだった。。

PinkFloyd:The Dark Side of the Moon
ジャケもさることながら、アルバムのタイトルが(厨二病的)カッコ良過ぎる。
ピンクフロイドの曲は長過ぎて、当時の自分にはかっこよく感じた。
だから、ツェッペリンの曲も大好きだった。
In the Lightなんて、8分の曲だし、前奏終了までに1.5分を費やす。
ニューオーダーのBlue Mondayなんて、
7.5分の曲に対し、前奏終了までに2分以上かかる。
どれもUKロックなのさ。

 自分は、中学時代の閉塞状況を打破する方法として、偏差値至上主義という観念に至った。偏差値を高めればこんな掃き溜めの世界からは脱出できると信じて。
 結果として、高校受験で敗北し、その観念を無惨に打ち砕かれた。
そんな自分に光が注がれる。奇跡的に最高の友人に出会うことができたから。
 そんな実体験があるからこそ、高校の友人の尊さを実感する。

放課後ティータイム(ネタバレ注意)

唯・律・澪・紬の4人は最高の友人同士。出会いからお互いを信じて、善意のままに人間関係を形成していく。大人になってしまった自分(筆者)は、人とのコミュニケーションで常に猜疑心がつきまとう。泣けてくる。
 全く異なる楽器の演奏によって一つの楽曲、表現を成し遂げるバンド。バンドの形態は個性的な彼女たちの写し絵のようだ。
 主人公唯のギターレベルの成長が物語の中で輝く。グッと心を掴まれる描写だ。2期1話の彼女のギター演奏がとにかくカッコいい。

 番外編「冬の日(この話は珍しくシリアス調だった。)」を筆頭に、あらゆるエピソードで唯の存在が如何に彼女たちを支えているか。そして、いかに放課後ティータイムが彼女を中心に回っているかを理解できる。

バンドの挫折、音楽性の違い、恋愛描写がない。まあ生徒会役員共、とらドラ、、、と高校生には恋愛が絡むもの。彼女たちのふわふわ感が、楽曲にも強く反映されている。結末もこの流れを大きく汲んだもの。
 確かに、放課後お茶してだらだらしたまま結末を迎えることへの批判はわかるし、評価が別れるところだろう。
 まあ、こんなもんでいいじゃない??だって僕ら”ゆとり世代”ですから。

アニメ描写 なんつーか、可愛い。

 キャラクターのデザインがめちゃくちゃ可愛い。
オープニング映像筆頭に、演奏シーン良い。特に、2期のGO!GO!MANIACのカメラワークは実際のバンドのMVっぽくて秀逸だ。

 梓加入で、オープニングにギターの音色が一つ増えるの良い演出。音が重なるのが良いなあ。 

 校舎内の手すりにあるうさぎと亀。歩くと軋んだ音がして、マホガニー調で味のある内装。色んな帽子を被される校長。南国の木々による植栽。
こだわりを感じ、、、
Interesting


(過去の回想シーンで、高校時代と幼少期の顔、髪型変わらないのはちょっと違和感あった。
あと、いつ練習してんだw 天才的に演奏上手くて草)

おしまい

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