日記0440あるいは清呪具
「ブレード・ランナーみたいだ」
たくさんのチューブに繋がれ、冷たいミミズを血管に流し込まれながら、私は嘘くさい日本の装飾を見上げている。
「この街はきらい?」
「嫌いだね、大を二つ三つ付けたっていい。大嫌いだ」
「好きな場所はあるの?」
「新所沢とあざみ野、それから、木曽」
「一つもわからないわ」
「この街はうるさすぎる」
「こっちにきて」
静寂。たまにピアノの音。
「静かだからってエッチはダメよ、キスも。手をつなぐことも」
ピアノの余韻が消える。
「うるさい」
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