押し引きに関する備忘録②(捨て牌編)

押し引きに関する備忘録として現時点での到達点として残す。

コラム16 捨て牌を見る意味は何?


個人的には以下の優先度で意味があると思っている。
1.速度計算
2.手牌構成読み
3.山読み

1.速度計算
やはりこれが一番だろう。
捨て牌で速度計算がある程度正確になってくると、間合いが測りやすくなるので自分の手牌スピードとの比較にかなり役に立つ。

2.手牌構成読み
これもちょっとだけ役に立つ。
個人的にはAIが発達すれば手牌がほぼ透けるくらい読めるのではないかと思うのだが人間レベルでは中々難しい。
基本的にそれほど一生懸命に読まないほうが幸せなことが多いだろう。
手牌読みは「労多くして功少なし」だ。

3.山読み
一応載せた。
これはあんまり役には立たない。絶対あると思った牌が他家の暗刻で無かったなんてこともしょっちゅうだし、別に山にあっても絶対ツモれるわけではないからだ。
ターツ選択時に気休め程度で考えればよい。

ということで捨て牌は「他家との間合い」をうまく図るために使うのがメインと覚えておこう。

①速度感 重要度★★★★★

相手の速度感はどうやってわかるのだろうか?
具体的にこれ!というのは無いが一応の目安はあるので紹介していこう。

①-1「リーチ」 重要度★★★★★

テンパイしている、当たり前である。
リーチ宣言をちゃんと見落とさないようにしよう。かなり大切

①-2「副露」 重要度★★★★★

副露は明確な攻撃のサインだ。
・「三段目の1副露」
・「二段目の2副露」
・「一段目の3副露」

ここらへんは結構危ないとされる。もちろん捨て牌や鳴いている牌によるが、このどれかを見たら「テンパイ率50%前後」くらいは想定してもいいだろう。

2p切り→下家チー打1p
「捨て牌も濃いしテンパイだろうなあ・・・」

①-3「ターツ落とし」 重要度★★★★☆

ターツ落としが意味することは何だろうか?
答えはそれ以上の「ターツor強い孤立牌」を手牌に持っているということである。

「19牌orオタ風のトイツ落とし」=「ペンチャン落とし」<<「2~8のカンチャン落とし」<<<「役牌トイツ落とし」≦「両面落とし」
この順でヤバイことは覚えておこう。

・「19牌orオタ風のトイツ落とし」=「ペンチャン落とし」なんかはよくあるのでまあそれほど気にする必要は無い。
【ああ、そこそこターツ揃ってんだな】、くらいの判断で充分だ。

上家が9mトイツ落とし
「ちょっと早いのかな?」
対面が89m落とし
「対面が遅いってことは無さそうだな~」

・「2~8のカンチャン落とし」はちょっとやばい。タンヤオ牌のターツ落としはそんなにしないからだ。
【お、シャンテンか?】くらいの反応はしたほうがいいだろう。

下家が手出し5p→手出し3p
「対面がテンパイ気配なのに5p→3pだから、下家は1シャンテンかな~。テンパイもワンチャンあるかな~。」

「役牌トイツ落とし」≦「両面落とし」はかなりやばい。
【こいつやべーことやってるわ!】
と警戒度をかなり上げる必要がある。「1シャンテン」の確率がかなり高く、場合によっては「ダマテン」もあることは認識しておくべし。

上家の白トイツ落とし
「流石にテンパイかな~、役はタンヤオだろうな~。」
対面の4赤⑤p落とし
「対面やべえな、5p全切れだから36pは無いな。一体何をやってる?」

また「ドラ含みターツ落とし」は警戒心を1ランク上げて対応しよう

①-4 「リーチ者」or「テンパイっぽい副露」がいるにもかかわらず押している人 重要度★★★★☆

さきほど①ー1「リーチ」と①ー2「副露」でそれらに警戒しないといけないと述べた。それらの明確な攻撃を受けているにもかかわらず、押している人は当然警戒が必要になる
どれくらいの警戒が必要かはかなり場況によるが、何も無警戒でいるのは危険だということは覚えておこう。

対面が下家の赤5sをチーして出7s
「対面押してるね・・・」
下家が4m
「安牌無くなっただけ?ちょっと押してる?」
下家が4s
「あ、やっぱ下家押してるわ・・・」

①-5 普通の捨て牌で真ん中の脂っこい牌が2枚以上出る 重要度★★★☆☆

普通の捨て牌で真ん中の脂っこい牌(3~7牌)が2枚以上出てきたらその人は
・「大体1シャンテン50~60%」or「テンパイ10%」or「2シャンテン以下30%程度」
のくらいの認識でいい。大抵はシャンテン。

対面が手出しで6s→6m
「対面シャンテンくらいかね~、脇の二人はそんなに早くなさそうかな?」

①-6 切り順が内から外 重要度★★★☆☆

「3~7牌」→「1289字牌」の切り順になってくるとそこそこ手が整ってきていることが多い。

上家が手出し5p→ツモギリ6m→手出し8p
「内から外が出てきたな~、シャンテンかね~。上のピンズ周り持ってんのかな?」

①-7 染め手から染め色が余る  重要度★★★★☆

大抵ヤバイ。そこそこの確率でテンパイしていると見ていい。警戒度MAXにするべし

下家が1sポンして67m落とし
「あの順なら東暗刻はあんまりなさそうやな~。トイトイかな?染め手かな?
トイトイならドラ9p切るのちょっと早い気がするけど・・・」
下家が手出し發
「あー、手が整ってたトイトイか染めだな。ドラ9p早いから染め濃厚かも・・・」
下家が手出し7s
「あの7sはちょっとやばそうやな、索子はちょっと切れないかもな~」

①-8 染め手から字牌が余る。 重要度★★☆☆☆

ちょっとヤバイ。染め色の牌を切って当たっても文句を言わないこと。警戒度をそこそこ上げるべし。

上家が東をポンして西切り
「染めかトイトイか、どっちもやばいが西が手の内にあるなら染めっぽいな~。
このクズ手からこの發打つのはちょっと無理っぽいな~」

①-9 変則手気味の相手が外側の牌を切り始める 重要度★☆☆☆☆

変則手気味というのは「トイツ系の手or染め手or国士」等の面子手でない手のことを指す。
そういった相手は「内側の牌(3~7牌)」があまり必要で無いことが多く「内側(3~7牌)→外側(1289字牌)」の順で切られることが多い。ということで変則手気味の相手が外側の牌を切り始めるとちょっとやばい、こともある。(まああんまりケアしなくていいです)

速度感読みとしてはこんなものだろうか。とくに「①ー3」と「①ー4」は明確な速度読みとしてそこそこ使えるので覚えておくといい。

②手牌読み 重要度★★★☆☆

正直な話をするとこの項目はあまりやりたくない。
手牌読みは覚えることが多い割に例外パターンも数多く、さらに実戦投入しようとすると手出しやツモ切りもたくさん覚えないといけないのですごく神経を使う作業になる。まさに「労多くして功少なし」だからだ。
また、筆者は手牌読みがかなり苦手なのであまり書けることが無いのだ。(悲しい・・・)

「役読み」や「打点読み」、ターツ落としで読むくらいはしたほうがいいが相手の手牌をピンポイントで読むことは中々難しい。
個人的に下手な手牌読みをするくらいならしないほうがいいと思っている。実際「魂天や鳳凰卓タッチ」程度なら難しい手牌読みは必要ない。(というか玉の間あたりだとあまり読まないほうがいいと思う、ちゃんと牌効率通り打ってくれないからだ)

ただし、通せる牌が多くなればなるほど、危ない牌が分かれば分かるほど当然このゲームは有利になる。より高みを目指すなら避けては通れないだろう。(ちなみに反射で分かって、勝手に出力されるレベルにならないとむしろ邪魔なのは注意したほうがいい。時間をかければ分かるというのは練習段階なら全然問題ないが、実戦で使うことはまず出来ない。

②-1 役読み(副露手相手) 重要度★★★★☆

副露手相手が1ハン縛りをどれでクリアしようとしているかを読むのはかなり重要だ。
「手牌読み」で一番重要なのはこの「役読み」だ。
相手がタンヤオと読めれば19字牌は全て通せるし、役牌バックと分かれば役牌だけ止めればいい(ちなみに役牌暗刻は中々読めません、諦めましょう)、染め手だと分かれば染め色以外の牌はなんでも切れる。
鳴き一通や鳴き三色なんかは読むのが難しいが出来るだけ鳴き手の役は読むようにしよう。

上家の白トイツ落とし
「流石にテンパイかな~、役はタンヤオだろうな~。」
対面が3mチーして打4s
「タンヤオかな~、まあまだ張ってないやろ」
対面が打6s
「46s落としはちょっと嫌やな・・・シャンテンかテンパイかどっちかやろな~」
6pチーして東切り
「あーテンパイだわ、東切りってことは索子はおそらく全部通るな。本命は上の萬子か?」
手出し9m
「手出し9m!?あー役牌白しか残ってないから白バックか白暗刻かしかねえなあれ。
テンパイtoテンパイだからカン8mが58mにでもなったか?それともスライドか?
とにかく上の萬子と白は絶対持ってるな・・・」

②-2 打点読み 重要度★★★★☆

相手の打点がどれくらいあるかはかなり重要だ。
「手牌読み」で次に重要なのはこの「打点読み」だ。
立直の打点は読めないことが多いが副露の打点は読めることが多い。(ちなみにリーチの平均打点は約6000点振り込んだ時は約5000点弱
副露の打点でケアするべきは
・「ドラの有無、何枚あるか
・「染め手
・「トイツ手
これらは高くなりやすいので要注意。逆に言うと「ドラが見えていないタンヤオ」みたいなのは安くなりやすいのでそこまでケアする必要が無い場面も多い。

上家の白トイツ落とし
「發トイツだったら白トイツ落としはしないだろうから、
發暗刻or赤沢山が無い限りは打点は安いな。
確か發はラグってなかったから多分安いだろ、白トイツなら鳴き無しにはしないだろうし。」
2p切り→下家チー打1p
「捨て牌も濃いしテンパイだろうなあ・・・、
でもドラ9m切ってるし赤沢山パターンじゃないと打点は安いな。」

②-3 序盤に切った捨て牌の周りは持っていない 重要度★★★☆☆

結構重要なセオリー。序盤に3pが切られたとして2pは持っているだろうか?持っているなら「233p」から切ったことになるが普通はあまり無いだろう。つまり「序盤に切った捨て牌の周りは持っていない」と言える。これは相手の手牌読みにも、山読みにも使える。

捨て牌を見てみよう。
下家「下の萬子は持ってなさそう。速度は不明。」
対面「西が手出しで入ったから、1p周り、9s周り、2s周りはかなり持ってなさそう。あと西が手出しで後から出てきたからクズ手orちょっと早いかのどちらかっぽい。」
上家「東が手出しで入ったから、上の萬子周り、2p周り、8s周りはかなり持ってなさそう。あと東が手出しで後から出てきたからクズ手orちょっと早いかのどちらかっぽい。」
ちゃんと見ていれば、このくらいは序盤でも分かるはずである。

②-4 ダブルターツ落とし 重要度★★★☆☆

両面落としがされたならまずダブルターツ落としを疑ったほうがいい。

4m切り

ここから4mを切り6pツモしたらどうだろう?

5m切り

両面落としで36m待ちになる。
4mと5mの捨て牌が離れていればいるほど、ダブルターツ落としを疑ったほうがいい。

4m切り

こちらは2度受けのパターン。
4mを切って69pをツモると69m待ちになる。
今度は5mは不要牌なのでそれほど引っ張られることは少ない。「5m切り」→「他の牌を切ってリーチ」のパターンは増えるだろう。

いずれにしても両面落としで警戒するべきは、「捨てた両面の筋牌」ということになる。

②-5 役牌トイツ落とし 重要度★★★☆☆

役牌トイツ落としはどういうことが読めるだろうか?
・「1シャンテンorテンパイの可能性高し
・「愚形待ちの確率がかなり減る(=良形待ちが増える)
・「愚形待ちがあるならドラ絡みか役絡み」
・「鳴き手ならタンヤオの確率爆増」
・「トイツ系の手はほぼ消える」
このあたりのことは読めるだろうか。重要なのは「テンパイにかなり近い」「愚形待ちがかなり減る」ということだ。

上家の白トイツ落とし
「流石にテンパイかな~、役はタンヤオだろうな~。」

②-6 離れターツ落とし 重要度★★☆☆☆

1m切り
8s切り
3m切り

離れてターツを落とす理由はなぜだろうか?
それは「後に切ったほうが関連牌」な場合が大半だろう。
「変化を見たかった」「安全牌として残した」場合もあるだろうが基本は関連牌を疑ったほうがいい。
上の牌姿では「1m」と「3m」が離れた場合の1例を挙げた。

②-7 チー出し牌の周りは危ない 重要度★★★☆☆

これもよく言われるセオリー。
結構当たっていることが多い気がする。

②-8 マンピンソー 重要度★★☆☆☆

マンズピンズソウズで手牌は構成されることが多いので、萬子と筒子が晒されたら索子が危ないというセオリー。
自分はあまり参考にしたことは無いが、よく言われるセオリーである。

②-9 ブロック読み 重要度★★☆☆☆

マンズピンズソウズを上中下で分けて、どこのブロックが危ないかを読むというセオリー。
自分はあまり参考にしたことは無いが、こちらもよく言われるセオリーである。

②-10 愚形フォロー先切りのポン出しまたぎスジは通りやすい 重要度★★☆☆☆

②-11 チー出し牌にポンチャンスがあった場合は、またぎスジは通る 重要度★★☆☆☆

②-12 チー出し字牌に、食い伸ばしなし 重要度★★☆☆☆

②-13 「チー出し牌が鳴いた牌のスジであれば、裏スジが危険。」「チー出し牌が鳴いた牌の裏スジであれば、スジとまたぎスジが危険。」 重要度★☆☆☆☆

上に関してはとみ様の記事を見ていただいたほうが早いと思います。是非読んでみてください。
これらを反射で対応できるようになるとかなり切れる牌が増えると思います。ちなみに自分はあまり得意でないです。

②-14 副露手の復元作業 重要度★☆☆☆☆

副露手をちゃんと読むには復元作業が必要になる。
どういった形から鳴いたか、ツモ切りと手出しは何があったかを検証して手牌の復元を行い、どの牌が危険でどの牌が安全かを見極める作業だ。

これはかなりの労力が必要になるし、実戦でこなすのは反復練習が必要だと思う。これが出来るようになると、かなり通せる牌が増えるだろう。

ちなみに筆者はほとんど無理です、諦めてます。

手牌読みについて詳しく知りたい方は
・「麻雀鳴き読みドリル」(平澤元気著)
・「鬼打ち 天鳳位の麻雀メカニズム」(お知らせ著)
あたりを読むことをおすすめします。他にも手牌読み系の本はそこそこあるので勉強材料には困らないと思います。
手牌読みのセオリー的な話は多分他にも沢山あります。
あと麻雀配信なども役に立つかもしれません。

③山読み 重要度★☆☆☆☆

捨て牌から手牌構成を読み、相手が持ってなさそうな牌を待ちにしたりすることを「山読み」という。
基本的には②-2などを駆使して読む、効果は薄い。ターツ選択するときくらいの判断材料に使うくらい。


以上が捨て牌編になる。
捨て牌の実戦編は押し引き編と併せてやりたいと思う。捨て牌がいくら読めても、自分の手牌価値と比べて押し引きを決めないとあまり意味が無いからだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?