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成功法則と先入観

巷には成功に関するビジネス書や自己啓発本が大量に出回っています。
かく言う私も、これらの書籍をかなり読みました。
その結果、辿り着いた答えはというと、結局これらの書籍が掲げている命題は当たり前のことにすぎないということ。
すなわち、「自らの考えを実行に移し、上手くいくまでやり続ければ上手くいく」、ただそれだけのことです。

もう少し、細分化して見ると、「まずは考える」ということですが、当然何か行動を起こすに当たっては、目標、見通し、段取りなど、何かしらを考えてからというのが通常でしょうから、これは当たり前のことです。

また、「考えるだけではダメで実行する」というのも、当然、考えているだけで何かしらの結果が出るわけではなく、行動して初めて何らかの結果が出るのですから、これまた当たり前のことです。

そして、「実行したこと(行動)を上手くいくまで継続する」というのも、当然、上手くいくまで行動を継続しなければ、上手くいったという結果は得られませんので、これまた当たり前のことです。

こうして見てみると、これらの書籍が掲げている命題は、至極当たり前のことを言っているに過ぎません。
ただ、実際に何かしようと考えることも、その考えに基づいて行動を起こすことも、さらにその行動を続けることも、いずれもそれほど簡単なことではありません。
特に、上手くいくまで行動し続けるというのは極めて困難なことです。

そこで、これらの書籍は、それぞれの際のアドバイスを、あれやこれやと書いているのです。
例えば、考えるについては、目標をできるだけ具体的に考え、行動を起こすについては、今直ぐに小さいことからでもいいから行動を始めなさいなどといったことです。
確かに、このようにすれば、考えたり、その考えに基づいて行動することに少しは役立つかもしれません。
また、プラス思考やポジティブ思考を持つようにと書かれているものが多いですが、これも行動を起こしたり、行動を継続することに役立つでしょう。目標を紙に書いて常々見るというのも同様です。

しかし、実際には、ある目標に向かって、行動を継続するというのは、そのようなアドバイスだけで容易にできることではありません。
人間、誰しも「あきる」ということがあります。
そこで、これもよく書かれているのは、「やりたいことをやりなさい」、「好きなことをやりなさい」というものです。
確かに、やりたいことや好きなことであれば、長続きする可能性が高いでしょう。
ただ、誰もが、そう簡単に、自分の「やりたいことや」、「好きなこと」を見つけられるわけではありません。
また、それを継続することが、必ずしも自分の望む目標に繋がっているとも限りません。

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そもそも、私たちが望む「成功」とは何なのでしょう。
これについては、得てして、世間で言うところの「成功」というものに囚われているのではないかと思われます。

誰もが望んでこの世に生まれてくるわけではありません。気が付けば、存在しているのです。
そして、いったん存在した後の唯一の真実は、いずれは死を迎えるという厳然たる事実のみです。
その間の時間を、人間は生きるのですが、生物として食べて、排出して、寝て、起きてという以外には、特に「~しなければならない」などという決まり事が最初から存在するわけではありません。
どのように生きるかについては、実はこれといった制約はなく、もともとは自由なのです。

生きるということについては、初めから何か意味や目的があるわけではなく、また、初めから面白かったり、面白くなかったりするものではありません。
何か意味や目的を持たせるのは自分自身です。
また、面白くしたり、面白くなくするのも自分自身です。

このように考えれば、私たちは、生まれてから既に、かなりの先入観を植え付けられているのだと言えるでしょう。
「社会的地位を得る」、「お金を儲ける」、「物質的に豊かになる」、「家庭をもつ」、「仲間をもつ」等々。
これらが一つでも欠けていればダメかのような感覚を多く人が無意識に持っているのではないでしょうか。
別にそのような感覚を持つことが悪いというのではありません。そもそもが、良いとか悪いとかというレベルの話しではないのです。

生きることについて、目的や意味を持つかどうかですら、各人の自由です。目的や意味が必要かどうかは、各人が判断すればいいことです。その内容となれば、なおさらです。
そのあたりをあまり突き詰めていくと、生きることが息苦しくなってしまうのではないでしょうか。
特に「~しなければならない」という思いに縛られてしまうと、生きることそのものが辛くなっていきます。
せめて、全ての出発点を、元来制約はなく、自由であるのだというところに設定してみてはいかがでしょうか。

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