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カレー食って 酒飲んだ話


おはよう。
今日は夜から仕事だ。
夜から本気出す。

それまでに寝溜めをするのが古くからの慣わし。
私は伝統を重んじ、昨晩はしっぽりと夜更かし。
コンディションを整えた。
そして、日が上り始めるとともに就寝の儀にとりかかる。

この儀式において、睡魔が快く呼び込める環境をつくることが何よりも重要である。
きゃつは心地よい夢の世界への渡し人なのだ。
だが、本日はなかなか来ない。
いつもなら、束の間よりも早く、刹那を持って、瞬殺して、イチコロのジ・エンドなのだが。

私は儀式の間に何か不手際がないか改めて確認をする。
ふわふわのパジャマ、もふもふモウフ、ふかふかオフトゥンにより、悪魔召喚の魔法陣は美しく完成されている。

しかし、睡魔は来ない。
昨晩、夜を飛ばすために飲んだ魔剤のせいか。
悪魔め。

悪魔召喚には生贄が付き物。
やはり悪きものを呼ぶには犠牲を払わねばならない。

私は供物として、香りのきつい数多の野草を掛け合わせ、時間をかけて豚の死肉と共に煮込んだ鍋を用意した。
さらに、麦から作られた酒精のみを極めた酒を選び、それらを自慢の屈強な肉体へ流し込んだ。

すでに何度となく魔を下ろした身体は、抵抗なくそれらを受け入れた。
およそ常人には耐え難い苦痛を伴うものであろうが、もう慣れたものである。

一瞬の浮遊感と共に、まもなく睡魔はやって来た。
魔法陣は完成し、供物は魔に捧げられ、代償として私は寿命を失った。

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