Photo by ugto310 イト 4 赤井 一悟 2020年12月28日 12:15 このイトの先はどこなのだろう。私の小指に巻きついたイトはずっと伸びている。 赤い糸……ではないな。そんなロマンチックなものでないことは、わかっていた。 「なぁ、このイトはなんだ?」 私は語りかける。語りかけるのは、小指の先に鎮座する小さい蜘蛛だ。 蜘蛛は語らない。 だって蜘蛛だ。喋るわけがない。 だけど、このイトの先に行けと言っているのは感じた。 何があるのか。興味はある。不安もある。 天国か、それとも地獄か。まだ先は見えない。もう少し先に行ってから考えよう。 まだ余裕はある。 ダウンロード copy #小説 #ショートショート #思い #超短い小説 4 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート