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熱中症と対策

◆ 熱中症とは

 熱中症とは、高温多湿の環境の下で体内の水分や塩分(ナトリュウム)の

バランスが崩れたり、体内調整機能が崩れたりして発症する障害です。以前

は熱中症とはいわず、日射病などといって、夏の暑さや炎天下で急に具合が

わるくなったり倒れたりした状態で、その状態の重症度に応じて熱疲労・熱

けいれん・熱射病などとして処置されていたようでした。

 今では、熱が加わる灼熱のような状況でなくても発症するおそれもあり、

現在ではこれまでの状態の場合などはすべて熱中症として対応されていま

す。

 発症する状態は、炎天下での運動や高齢者が熱帯症下でエアコンを使用し

ないで、睡眠中に発症することもあります。

◆ 熱中症となる原因

 熱中症となる原因は

 ① 気象条件(温度や湿度が高い・風がないか弱い・日射しが強い)が考

        えられます。

    ② 65歳以上の高齢者または15歳未満の子どもなど

 ➂ 持病のある人(例えば、心疾患・肺疾患・精神疾患・高血圧・糖尿

   病・認知症など)

 * 心疾患とは、

  心臓に生じる病気のことで、心筋梗塞・狭心症・心臓弁膜症・心筋炎先

      天的な心臓の異常など心臓病の総称です。

 * 高血圧とは、

  病院での血圧測定が140/90mmHg以上、家庭内での血圧測定が

       130/85mmHgを越えて高くなることをいいます。

  * 糖尿病とは、

  血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気です。糖

      尿病は血糖値を降下させるインスリンの分泌が減少したり、働きが弱く

      なったりするため血糖値が高い状態がつづくきます(私事ですが、イン

     スリンの分泌をよくすためにシナモンの粉末を食事の際の食パンに振りか

     けて食べています)。糖尿病は、食生活・運動不足・睡眠不足・喫煙習慣

   などが大きく影響することから生活習慣を変えることが重要です。

 * 認知症とは

 認知機能が後天的な脳の障害により持続的に低下し、日常生活・社会生活

    に支障をきたすような状態をいいます。日本では約60万人(65歳以上の高

   齢者は約15%)

 * 肥満

 * 熱中症警戒アラート情報などによる33℃以上の最も暑い日の動き

  ・ 激しい運動・慣れない運動・長期間の野外作業などで水分を摂る機

        会が少ない

  ・ その日前後の健康状態の不安や芳しくない状況

  ・ エアコンなどの空調設備を使用していない

   :高齢者は、熱くなったりすると体温調節機能が低下し、一般の人

    よりも体内の水分量が少なくなり、そのために汗によって失った水   
    
    分が少量であっても熱中症にかかりやすく重症化しやすい。

     (夏の暑い時期にはこまめに水分を補給してエアコンを使用する            

      ことが熱中症を防ぐ)

ビールなどのアルコールなどは水分補給にならない

  ◆ 熱中症の前兆

   ・ ふらふらする

   ・ 顔が火照る(赤い)

   ・ 倦怠感(何となく体がだるい)

   ・ 体が珍しく多量の汗をかいている

   ・ 暑いのに全く汗をかかない

   ・ 転ぶ

   ・ 話のつじつまが合わない

  ★ 気温の高い日・運動中などでこのような状態になったら「熱中症」 

     と疑い、涼しい場所で休みながら水分の補給をする。熱中症以外の

            立ち眩み・めまい・倦怠感があったときの判断は難しいが、熱い時期

           を考えれば、まず「熱中症」とすることです。

  ★ 熱中症の疑いで意識障害がなければ、涼しいところで体を冷やし、

     水分を補給するなどの応急処置をする。症状が和らぎ通常の活動が

            できるようになれば軽症の熱中症でありとみて、医療機関での受診の

            必要はないでしょう。

    (意識障害は、意識を失った場合のみを指すのでなく、もうろうと

     した状態で話ができない、まっすぐに歩けない状態を指すので、

     このような状態の場合体を冷やすなどして救急車を待つことで

     す)

   ◆ 熱中症の対策

    ① 涼しい場所に移動して、衣服を緩めて首や腋の下、足の付け根

     などを冷やす。

    ② 冷やす場合保冷座剤があれば最高だが、ない場合は水で冷や

     す。保冷剤は屋外などではなかなか手に入らないが、身近に自動

     販売機があれば冷たい飲み物を活用。

    ➂ 水分補給は経口補充液やスポーツドリンクなどを飲むのも良

     い。

    ➃ 周りが高温であるとき・湿度が高いときなどでは、まず熱中症

     と疑い、意識障害や呼吸障害などがなければ、涼しい場所で休ま

     せて水分補給を促し、焦って医療機関で受診することもない。

    ⑤ 深部体温を効果的に下げることから首や腋の下などの太い血管

      を冷やす

    ⑥ 水道水程度の水温に約5分程度、手の平や足の裏を冷やす

    ⑦ 手の平にAVAという血管が通っており、手の平の動脈とい

      う体温を調整する太い血管を冷やすことで深部体温を下げられ

      る

    ⑧ 冷たいペットボトルや保冷剤を握らせること

      (ただし、ドライアイスはやけどなどするので絶対に利用し

       ない)

   ◆ 普段からの備え

    ① 自宅では、保冷剤・経口保水液・スポーツドリンクなどを用意

     しておく。

      (高血圧・心不全で塩分の制限ある人は、事前に医師に確認し    

       ておく)

    ② 暑い日には必ずエアコンを使用する。

        * 室温が25℃になったら使用を検討し、28℃以上になったら必

                         ず使用する。

     (高齢者はエアコンを嫌い重症化したり.死亡に至るケースが多

      いので、エアコンを早めに使用すことと、普段の様子と少し違

      うようであれば、水分補給・体を休めたり冷やすこと。

     (エアコンを使う場合は換気にきをつける)

      * 外出は、昼間の熱い時間を避け、どうしても外出する場合は帽

                    子や日傘を使い、なるべく日陰・木陰を歩くようにする。

     (炎天下-暑い日中の外出・不要不急の外出は控え、体調不良・寝

      不足の時の外出も控える)

    ➂ マスク着用でジョギングした場合、呼吸障害を起こし熱中症な

     どを発症するおそれがある。
     
     (着用していると、心拍数や呼吸数・血中二酸化炭素濃度・体感

      温度が上昇、身体に負担がかかり、マスクを着用していること

      で口腔内の渇きをあまり感じなくなる。そのことからマスク着

      用は熱中症のリスクが高まる)
      
     * マスク着用時は、強い負荷の作業や運動は避け、周囲の人と

      の距離を十分にとれる場所で、マスクを一時的に外して休むこ

      とが必要。

       (高温や多湿といった環境下でのマスク着用は熱中症のリス

        クが高くなる。屋外で人との距離は少なくとも2m以上を

        確保できれば、マスクを外すようにする)

  ◆ 熱中症につながるかくれ脱水のサイン
  
       ① ツメを押して3秒以上白いままの状態で元に戻らない

つまんだ指を離したとき白かった指の色がピンクに戻るので3秒以上かかれば脱水症の可能性

       ② 手の甲をつまむと皮膚がすぐ元に戻らない

年齢差もあるがすぐに皮膚が元の張に戻らない

       ③ 口の中がべたべたとねばつく場合

    これらは、脱水症を見抜く最初のサインで誰でも簡単に見抜くこと

    ができるので、自他ともにこのサインを活用することが重要です。

    * 脱水症などの予防は、食事を抜かないことです。

     食事は水分補給に大切です。1日の食事から約1Lの水分が補給

     されています。1日3回の食事を欠かさず食べることです。

    * こまめに水分補給する。

      1日の食事以外から約2Lの水分補給が必要です。喉が渇いた

      と感じる前に水分を補給することです。

    * 軽い運動や体を動かす。

       散歩や買い物などで歩くことが大切

     * 就寝前・起床後には必ずコップ1杯の水を飲む。また、1.5~

       2Lの水は数回に分けてのむことです。

       (人間の体内の水分量は60%といわれています。体重約60kg

        の男性の体内水分量は約36%です。これを基準にして水

        分補給を考えることです。

        (また私事ですが登山中に脱水症にかかり、登りにいつも

         のような足取りでなく何となく重い、下山の際足元がふ

         らつき力が入らなくなり、一歩歩いてはふらつき倒れ込

         む状態でした。原因の一つは朝食を抜きにしたこと、二

         つ目は水分補給をこまめにしなかったこと、三つ目は好

         天気で陽ざしが強かったこと、長い登山経験で初めての

         ことで1時間の下山予定に三時間かかってしまったので

         す。体力と山への慢心でした。脱水症・熱中症は怖いで

         す。気力があっても体が動かないのです。睡眠・食事・

         水分補給などは死の淵から戻る重要な対策です)

                    参考資料:
                    金沢大学医薬保険研究科熱中症      

                   文献:
                    医療法人ときわ文献


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