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旅する本

若い頃は半か丁かと言われれば
違った笑
春樹か龍かと言われれば
迷わず龍と答えたけれど

とにかく理由は後付けでいい
けど
とにかくなんでもいいからいつでも
数の少ないほうが正解
間違っても多数派についたら負けだ
どこまでもアタシはアングラサブカル道を
突き進むんですからあと決めていたから笑

そのヒリヒリするような
陰影のはっきりした文章が好きだった

それに比べて春樹さんの
ノルウェイの森は中学の時にベストセラーだったと思うけど
クラスで唯一大学生と付き合ってたおませな林さんが
ガリ勉赤毛が自由自在を小脇に
地域で一番の進学校に入るんだって受験に燃えてる頃
教科書代わりクリスマスカラー上下巻で抱えて登校してたから
よく覚えてる

あんなメジャーな河岸についたら負けだ
みんなが読めば読むほど自分は絶対に読まないんだ
徹底抗戦と実は御年50歳の今夜も
ノルウェイの森は読んでいない笑

嗚呼、近所にイオンができたときも
商店街に操を立てた身と
1年間行かないで商店街でだけ買い続けたけど
ある雨の日にゴメン商店街と
トイレットペーパーを買いに行ってしまって
日和ったと悔しかったけど
半分半分利用する大人になった

話が逸れた汗

騎士団長もIQもねじまき鳥も
図書館でお取り置きコーナーにずらーッと
行列しているのを尻目に手に取ることなく
ベストセラー本も本屋大賞もなるべく避けてきた

幾星霜時は流れて
赤川次郎コーナー位村上春樹コーナーは領土を増やして
もはや村上春樹を読んだことないなんて
シコシコnote書いててあんたモグリでしょって
いや最初からモグリですズブのド素人ですって開き直るけど

やっぱり読まずには図書館は通れない笑

海辺のカフカも
羊男も風の歌を聞けも
やっぱり読んでしまうし
やっぱり面白いなあこれが村上春樹の文体なんだ
確かに他の人を読んでる時にはない
ページを繰るテンポとリズム感だなあと気づけば夢中になって読み終えている

けれども決定的だったのは
村上春樹の小説の登場人物に似ていると言われたことで

何でもすぐ真に受けるから
すっかりその気になって読んでしまった

それが
色彩を持たない田崎つくると彼の巡礼の年
だった

駅みたいな人
電車が旅行者が到着して出発していくのを見送る駅みたいで
田崎つくるもそんな登場人物として描かれていると

主人公のどこに赤毛を見たのか探して
夢中になってページを繰った

あんなに毛嫌いしていた村上春樹だったのに
すううっと文章が沁み込んで
物語は学生時代の友人を訪ねて展開するから
自分よりもずっと若い人が主人公なのに
自分を重ねて物語に感情移入することができたのが不思議だった
同世代の時にはハマれなかった世界に
だいぶ年を取ってから違和感なく佇めることもあるんだと

いい意味で裏切られて
自分の中の何かが変わって彼の小説との親和性が高まっていたことに気づいて
馬鹿の一つ覚えだから笑、
村上春樹、いいよねえ
色彩を持たない田崎つくると彼の巡礼 読んだ?と
1点突破で我が家に来る人来る人に貸し付けていたら

この前インフルで高熱に唸されて
数日臥せっていた友人が

床の中から本棚を見上げると 
色彩を持たない田崎つくるが目に入って
村上春樹かあと この人の本合わないんだよなと思いながら
でもごろごろしてるしかできなくて
仕方なしに読み始めたら
ぐいぐい引き込まれて、あれ、村上春樹ありなんだ私ってとビックリしたら
その本がチコちゃん家から娘が借りてきた本だっていうから2度ビックリして
ああチコちゃんちにありそうな本だなって思ったと

この前お茶飲みに来た時に本を返してくれた

本も旅する
誰かの脳内から脳内へと
脳内トリップは本とともに

ああ、音楽も一緒にいてくれたらトリップしやすい笑
曲は何にしようかなと思ったけど
今日は猫の日みたいだから
Cat Stevensから一曲貼り付けます
イスラム教徒に改宗して今はYusufになっているけれど



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