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ゼロ円フリマと本

今ある本棚の本は
実は3年ほど前に一度全部手放してしまったので
新しく購入した本ばかりだ

日比野克彦さんのプロデュースする
UENOYES!という
アートの力で街の課題解決に、住民や訪れる人を巻き込んで取り組もうという活動があって
それにボランティアで参加していた

上野というとアメ横のイメージかも知れないけど
実は芸大をはじめ、国立級メガトン級の博物館美術館の宝庫で

東京、いや日本を代表する文教地区でもあって
その地の利を最大限に生かして
アートの力で、訪れる観光客に
街の片隅に追いやられるホームレス状態にある人に気付いてもらう仕掛けを作らんとアイデアを出し合ったり

何かしてあげるしてもらうという
施しのような関係に終わらず
気づきを促すような
継続的な取り組みを目指していて

ガチ目の社会福祉施設勤務者としては
目から鱗というか
こういう関わり方もあるのだと
目を開かれる思いがした

残念ながらコロナで対面開催できなくなり
活動も今多分ほとんど冬眠中だと思うのだけど
是非再開を待ちたいし、
今後も参加していきたいと思っている

その活動の中で
ゼロ円フリーマーケットというのがあり
鶴見済さんご本人はまたかというお顔をなさるのは分かっているけど
完全自殺マニュアルの作者で
中心になって運営されていた

あの本は大ベストセラーになったし
センセーショナルに扱われたけど
よく生きるためには
死ぬことについても考えざるを得ないんだというアンチテーゼを投げかけたんだと私は思っている

御本人は今公園に菜園を作ったり
ミヤシタパークの前身の宮下公園に
花や野菜を植えて開発に抗って
静かに優しく
でもシタタカニ
貨幣経済にご自分のやり方で
NOを突きつけて生き方で表現している方だ

熱くなると話がどこに行くか
自分でもわからない笑

話を元に戻そう

フリマ自体は珍しくもなくて
どこででも開催していて
出品したことも購入したことも
誰でも一度くらいはあるかもしれない

このフリマが変わっているのは、
ゼロ円にすべての商品が価格設定されていることだ。
欲しい人は欲しいものを無料で持って行ってよい
モノを並べたい人は自由に並べてよいけれど
終了時間に売れ残っていた時は自分で引き取らねばならない
ルールはそれだけ
売り子は自分でやってもいいし
人にお願いしてもいい

私は自分の要らないものなんて
誰かにとってもやっぱり要らないものだろう
プライスレスは価値がないんじゃなくて
値段をつけられないもの
自分が一番大切にしているものを
ゼロ円で並べようと息巻いて
これまでの自分の血肉を作った本たちをごっそり持ち込んた

多分そこには今アマゾンで8000円の小さな宇宙人アミの本もあったと笑思う
寺山修司の書を捨て街に出よう
一ノ瀬泰造の地雷を踏んだらサヨウナラ
椎名誠のインドでわしも考えた
ロバート・キャパの写真集
サリンジャー本一式
漫画のAKIRAとナウシカ
西原理恵子の烏頭紀行シリーズ
自分を作ってきたコアにあるような本をと
えっちらおっちら上野まで運んでブルーシートに並べて
道ゆく見知らぬ人に
この本はですねえと物語も一緒にお配りした

本は本棚に並べておくものじゃない
コレクトするものじゃない
誰かに読まれてこそ本だ
誰かの記憶の中にコレクトされるべきもの
本の本分を本に果たさせてあげなきゃいけない笑

そう思って何度かそのイベントに参加して
本棚を空にしてしまって
それでもやっぱりまた読みたいと思って
手元に置いておきたいと思って
再度購入した本が今またあるし

誰かの記憶に転写され
また誰かに貸されて
旅に出ている本があるかもしれないと
ボンヤリと思うことで

あの本のページを今夜誰かが繰っているかもしれないと
終わらない物語を感じて
狭い自分の脳内がすこおし広がるような気がして
幸せな気持ちで今夜は眠りにつく



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