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『君たちはどう生きるか』の感想(ネタバレあり)

観られてよかった

映画を観に行く時間を取るか迷っていましたが、
結果として、観に行って良かったと思います。

前情報は入れないようにしていました。
ネタバレもそうですが、人の感想で結構映画の印象が変わってしまうので。

評価がいいと期待値を上げ過ぎてしまうとか。

ちょこっとだけ、知ってしまった部分もありましたが、ほとんどフラットな状態で観ました。

以下は自分なりの感想です。
ネタバレっぽい感じになると思うので、未視聴の方はご注意ください。

※スタジオジブリの「※画像は常識の範囲でご自由にお使いください。」というありがたいお言葉より、画像を数点お借りしました。



映画の考察

宮崎駿監督は引退するつもりはないらしいという記事を見たので、
この映画が引退作であるという解釈は手放します。


私の感想はずれているかもしれません。
でも正解とか間違いとかないと思うので、率直な感想を言います。
ちなみにあまり深読みする方ではないと思います。

私が作品を観た率直な印象はこうです。

「君たちはどう産まれたか」を描くことで、
「君たちはどう生きるか」を問う作品なのではないか

これは、命の物語だと思いました。
母になる苦悩や葛藤をいだく夏子、新しい母親と生まれてくる命へ向き合う少年・眞人の物語。

◆出産は壮絶です。
わらわらの運命のように。
まず命が宿ることも天文学的な確率だと聞きます。
その確率を潜り抜けて、壮絶な苦痛を越えて、人は生まれる。

◆大叔父さまとのやりとりは、先人から脈々と血筋を受け継いできた象徴であるという事なのかと思いました。
ただ大叔父の今にも崩れそうな積み木に眞人が新たに積み木を積まなかったことには、
先人が作り上げた世界にそのまま乗っかるのではなく、
自分たちは自分たちなりの世界を築いていくという意思表明なのかと思いました(これがジブリの世代交代の描写なのかもしれないとちょっと思ったのは内緒。)

◆最終的には眞人が夏子を「お母さん」と呼んで、新しい母親と新しい命を受け入れたのだなと思いました。作品を通して伝わりますが、夏子にもいろいろと苦悩があったんだろうとも思います。

◆そして、ヒミ。
このまま戻ったら火事で死んでしまうけど、その前に眞人を産んで母親になる未来がある。
戻る選択をしたヒミ(母親)は、その人生が幸せだったんだろうなと思いました。

のんびりと進む物語

この映画の序盤はあまり物語が動きません。
どういう風に展開していくのかも読めません。
じっくりと、時代背景や人物の心理を理解していく。
説明があるわけではありません。
観ながら読み取っていくのです。

昨今の、倍速視聴・切り抜き文化が盛んな時代に、こんなにゆっくり物語が進んでいくのはなんて贅沢なんだろう!と思いました。
わかりやすい・早い展開が好まれる令和に、こういう作品を作れる胆力があることは日本の誇りです(クレジットに日本人の名前しか流れていないことにもジブリのパワーを感じました)。

『君たちはどう生きるか』は難解だと言われていますが、
難しいことはわからない子供でも楽しめると思います。
描写がきれいで、キャラが立っていて、どういう風に展開するのか引き付けられます。

いい映画でした。



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