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小説【アラーム】7

@手紙


 翌日。
 廃人のような睦月は学校を休みベッドによっ掛かりながらボーッとしていた。まるで半身が無くなったような脱力感に押し潰されそうになっていた。
 ノック音が聞こえドアが開き「手紙来てたわよ」と母親は手紙を差し出した。
「ありがとう」
 母親は何も言わず出て行った。差出人は不明だが宛て名書きの文字に見覚えがあった。封を切ると中には数枚の便せんが入っていた。
 『睦月へ。
 これが届く頃私は死んでるかもしれない。
 でももし生きてたら「こんな手紙書いてバカだな」って笑い話にしてね。
 変な話なんだけど信じてくれる?
 いつの日からか私は同じ夢を見るようになったの…。
 しかも全て私が車に撥ねられて死ぬ夢を。
 もしかしたら私は死ぬのかもしれない。
 そう思った時何が一番嫌かなって思ったら、忘れられる事が一番嫌だなって思ったの。
 だから最期に睦月のそばにいれて良かったと思ってる。
 花火綺麗だったね…。
 沢山言いたい事あったけど「好き…」って伝えれて良かったと思ってるんだ。
 睦月がどう思ってるか分からないけど。
 悔いはないよ…。
 でも本当は悔いばっかり…。
 もっと早く好きだって伝えれば自然に睦月のそばにいれたかもしれないとか、
 素直になれたのかもしれないとか…。
 でも一番言いたいのは…私の事忘れないで、私の事思い出にしないで、
 私だけを見ていてって、生きている間に言いたかった…。
 明日の朝、自分の運命に逆らえないか試してみるつもりなの。
 ごめんね。ありがとう…。弥生』

 睦月は軽く下唇を噛み前髪をかき上げた。
 風がカ-テンを押し上げ舞う。
 睦月は窓から顔を出し弥生の部屋のまだあの紙が貼られたままの窓を見つめた。

≪続く≫


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