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小説【女の子×ルージュ】

 学校帰り、100円ショップで
 真っ赤なルージュを買った。
 これからデートに行くわけでは無い。
 ただ何となく買って見た。

 大人になりたい分けじゃない。
 だからと言って、
 子供でいたい分けでも無い。
 家に帰り鏡の前に座った。
 鏡の中の自分は…、
 落ち着いているようだ。
 これから何をされるのか、
 まだ分かって無いらしい。

 鏡の中の自分は、
 不愉快に思うかしら、
 それとも気に入ってくれる?
 今まで化粧一つした事無いこの顔に、
 真っ赤なルージュは似合うかしら。

 鏡の中の自分は、
 じっとこちらを見つめていた。
 軽く下唇にルージュを滑らせ、
 次に上唇にルージュを滑らせる…。

 下に向けていた視線を上にずらし、
 鏡の中の自分と目が合った。
 鏡の中の自分は、
 照れ臭そうな顔をしていた。
 思ったより、変ではないらしい。
 でも、何故か違和感を感じる…。

 やっぱり中学1年の私は、
 まだ大人になる気が無いらしい。
 
 私は、ルージュを引き出しに、
 そっとしまった。

-end-


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