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フシギナパラダイス 2話 不思議な鳩 3/8【期間限定無料】

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ー翌朝

「…」

結局…ねれなかった。

心も体も疲弊しきっているはずなのに…

なんか、色々ありすぎて、もう今日は頭が回りそうにない。

でも…学校にはいかなきゃ…意味もなく休むわけにはいかない。

私は大きくため息を吐き出し、玄関の扉を開けた。

「ん?」

扉を開けたあと最初に目に飛び込んできたのは、ポストがあるあたりの塀にいるでっぷりとした大きな鳩だった。

こんなに丸々太った鳩を見るのは流石に初めてだ。

「ハトにしては…でっぷりとしてるような…」

あまりにも気にな流ので、その鳩に興味を持ち、私は鳩にゆっくり手を伸ばす。

すると…

「おはようございます」

鳩が喋った。

一瞬声をあげそうになったけど、ギリギリのところで悲鳴を飲み込んだ

というのも、聞こえてきた声に聞き覚えがあったからだ。

普通ならそんなことあるわけないんだけど、なにせ昨日あんなことがあった後、免疫ができていたのか、なんかこのくらいだったらすんなり受け入れられるようになっていた。

「もしかして…昨日の神様…?」

「おお、よくお分かりで!」

翼をパタパタさせながらそういう神様。なかなか喜んでいる様子だ。

「昨日は人の姿じゃなかった…?なんで鳩なんか…」

「あっちが本当の姿なんですけど、あの姿のままだと色々狙われやすいですし、現世であの姿でいる必要がないときはこの姿なんです。この姿の方が寝場所も探しやすくて」

神様が野宿…なんか祟られそう…

まぁ、神様が元気なら…いいか。

「あ、話してる場合じゃなかった。遅刻しちゃうからそろそろ行くね。」

私は話を切り上げるつもりでそう鳩になりすました神様に告げたつもりだったんだけど…

「これから学校に行かれるのですか?」

「えっ!?あ、うん、そうだけど!?」

羽音を響かせながら私の後をついてくる鳩に扮した神様の行動に驚いて普通に返事してしまう。

「そうですか、大変ですね。」

「あの、まさかとは思うけど、ついてくるつもり?」

「ダメですか?」

ダメというか、見ず知らずの人についてこられていい気持ちがする人がいるわけがない。

「…ついてきたい理由でもあるの?学校の中には入れないよ?」

「そんなことくらいわかってますよ。でも、少しお話しさせていただきたいこともありますし。」

「話?」

「昨日のお話の続きですよ、どうです?検討していただけました?」

私はその言葉を聞いてガクッと肩を落とし、ため息を吐く。

朝っぱらから話たい…というか考えたい話でもない。

これは、答えたら負けだ。

永遠と私の耳元で鳩の姿に扮した神様は話し続けたけど、

私は右から左へ話を聞き流し、ただ無心で黙々と足を動かして、学校に向かった。

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「…君ねぇ…」

学校の校庭、結局ここまでついてきてしまった神様。

途中、信号などで神様を振り切ろうと体良く逃げたつもりだったけど、そう簡単に逃げられる相手ではない模様。

ぴったりと後ろにくっついてきていたのだ。

「僕はいつでもどこでも現れて、いつでもどこでも見守っています。」

神様に見守ってもらえるのはとてもありがたいことだけれども、ここは住み慣れた土地だから、今更見守られたところで…という気持ちになる。


「神様みたいなこと言…神様か…何もストーカーみたいにぴったりついてこなくてもいいでしょ」

「すいません、でも昨日言いましたよ、任務上、あなたから離れられないって。」

「そういうから、嘘くさい話を最後まで聞いたんでしょ?」

「そうですけど。僕の任務はあなたに協力してもらうこと。
話を聞いてもらうだけでは終わりません。」


「それは…。」

参ったなぁ…これは私が首を縦にふるまで永遠についてくるつもりだ。

もっといえば、「嫌」っていう意見なんて聞く気ない感じ。
気持ちはわかるけど…こっちにはこっちの事情だって

「ルイちゃん」

神様の対処法に悩んでいると、声をかけられる

なるちゃんだ。

「おはよう、鳩なんかと話して何してるの?
油売ってる時間はないんじゃなぁい?」


「え?」

「ほら、早くしないと。行かないなら先に行くわよ〜」

そうとだけいうと、ささっと一人で昇降口へ走っていってしまった。

「…人に見えないんじゃなかったの?」

昨日、お兄ちゃんは神様の姿見ることができなかったのに、なんでなるちゃんは今日神様を見ることができたんだろう…

「本来の姿の時は見えませんよ?でも今実体化してますから、この姿の時は見えるんですよ」

いってることがよくわかんないけど、今の姿の時と人型の時は何か条件が違うのかな…

そんなこと考えたところで、私には関係ないどうでもいいことか。そんなことより私は遅刻をしないように急いで教室へ向かうべきだ。


「ついてくるのは勝手だけど、学校の中に入って来ちゃダメだよ。」

そういう風に言いつけて、私は教室へ向かった。


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