『バービー』と『オッペンハイマー』のミームについて:創作のための時事勉強会15
※注意
本記事は時事的問題について、後で振り返るためにメディアの取材や周囲の反応を備忘録的にまとめたものです。その性質上、まとめた記事に誤情報や不鮮明な記述が散見される場合があります。閲覧の際にはその点をご留意ください。
概要
ミーム化
『バービー』と『オッペンハイマー』が同時期にアメリカで公開。この両者を組み合わせたファンアートがミーム化。
アメリカの核に対する意識
アメリカや欧州では広島、長崎への原爆投下は戦争を早期に集結させる手段だったとして評価する面もある。
一方で同じ映画でも原爆の悲惨さを描くものがあり、アメリカでも認識は一様ではないらしい。
「ポリコレ」との関係
今回の件を受け、「ポリコレ」に意味がないと息巻く層が一定数いるが、的外れな意見である。むしろこうした「アジアのマイノリティが負った戦争被害を茶化す言動」を批判する上でポリティカル・コネクトレスは利用できる。また欧米は日本よりこうした議論が進んでいる印象があるが、当然完ぺきではない。
むしろ普段「ポリコレ」を茶化してきた層こそ、「表現の自由」を掲げこれらのミームを擁護しなければ筋が通らないことになる。もしその筋を通さないなら、その裏にどういう感情の動きがあるのかを考えた方がいい。
日本の戦争整理
こうしたミーム化を招く一因に、日本がそもそも太平洋戦争における加害、被害の責任を整理してこなかったことがあるだろう。
フィクションに限っても空襲など戦争被害を中心に語るものが多く、加害性を語ることは多くない。どころか特攻などを賛美する作品もあるほどだ。
なにより極めつけは、唯一の核被爆国という立場にありながら、各禁止条約ひとつにサインすることさえできないという体たらくだろう。アメリカなどの態度にも問題はあるとはいえ、被爆国がこの態度では原爆投下を軽視しがちにならざるをえない。
追記
8月2日①:原爆と女性イメージ
原爆に限らず、暴力的な兵器のイメージが女性の性的魅力の表現に使われるケースがあるようだ。考えてみれば『ビキニ』というのはその分かりやすい例だった。
8月2日②:人のふり見て
アメリカの原爆ミームに対し、日本はどうだったか。核兵器を禁止するような種々の条約に賛同しないという国の政治レベルの話だけではなく、社会が戦争作品を「ネタ」として受容する流れは日本にもある。
上述の兵器イメージと女性表象に並び、こうした戦争作品のミーム化について調べてみるのも面白いかもしれない。
8月2日③:公式の謝罪文
日本側のワーナーが問題を提起し、米ワーナーが謝罪。しかし記事によるとあくまでプレス向け、つまりメディアに対してのみである。問題を矮小化しているのか、謝罪よりも問題の拡大を防ぎたいのか分からないが、あまり誠実な対応だとは言えないだろう。