「メスガキ」という単語の不自然な使用:創作のための時事問題勉強会45

※注意
 本記事は時事的問題について、後で振り返るためにメディアの取材や周囲の反応を備忘録的にまとめたものです。その性質上、まとめた記事に誤情報や不鮮明な記述が散見される場合があります。閲覧の際にはその点をご留意ください。


事例概要

発端

当時の反応

※このとき読んでいたラノベが『シャーロックアカデミー2』である。

※主人公の先輩にあたる「フィオ先輩」(2巻表紙左のキャラ)がいわゆる「メスガキ」的なキャラなのだが、彼女に対し大の大人が「メスガキ」と罵倒する場面がある。その男性は物語世界においても高名な探偵と言う立場なのでなおさら、という状態を念頭に置いた発言。

※ここで言及する二次創作とは『ブラックラグーン』と『ブルーアーカイブ』のコラボを妄想するもの。当該作品は探し出せなかったが、キヴォトスの常識として銃を持っているユウカに対し安易に近づいたロックを嗜めつつレヴィが銃撃し、その際に「メスガキ」と発言していたというもの。

※レヴィは口の悪いタイプだが「メスガキ」は語彙としてなんか不自然じゃない? という感覚。

「メスガキ」の攻撃性

過去の言及

※この記事では便宜上「メスガキが悲惨な事態に遭い心身に深手を負うような描写」を「メスガキトラウマパック」と呼称した。ここで言う「メスガキ」とはさらに補足するなら「主として男性に対し反抗的な未成年女性」と表現できる。

※「メスガキ」には元々「分からせ」というものが存在する。「メスガキ」と男性の間にある(と素朴に信じられている)能力差や権力差を理解させる心身に対する暴力的調教行為を行う様を「分からせ」と呼びうるだろう。

※「メスガキトラウマパック」はいわば「分からせ」の文脈のひとつ、亜種のようなもの。

※レビュー記事で扱った事例は男性の起こした事故が「メスガキ」の起こした事故に改編されたもの。ここから映画『先生を流産させる会』における犯人の性別変更の事例を経由し、男性社会が自身の悪性と向き合わない不誠実さが「メスガキトラウマパック」にあると考えた。

※つまり他責性と加害性。またこれは同時に女性像を男性社会が共有する幻想である「メスガキ」に仮託する行為であり、「女性版ブラックフェイス」に接続できるかもしれない。

語彙選択のおかしさ

 「メスガキ」という単語それ自体の問題点もさることながら、通常その語彙が使われるべきではなかろうタイミングでの使用という問題もある。まさに上記で『シャーロックアカデミー』の事例などで示したように。

 買春業界由来の単語である「JK」を未成年買春の問題を指摘する活動家が何の留保もなく使ったら不自然だ。リベラルな知識人が何の留保もなく「看護婦」という言葉を用いるのもやはり不自然だ。それと同じようなものと考えれば分かりやすい。文化を共有しているキモオタが「メスガキ」と呼ぶのならともかく、口が悪くとも立場と権威のある大人が使う単語ではない。

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