倒叙ものは犯人こそ主役だという話:創作のための戦訓講義75


事例概要

発端

※倒叙ものという、犯人視点で物語が進む作品に対する指摘。

追加言及

※構造的にはウルトラマンと類似するという指摘。イレギュラーの解決を目的とし、レギュラーキャラがそこに介入し解決するという構造。基本的に深掘りされるのはイレギュラーの側。

※おそらくこのドラマの影響で倒叙に関する言及があったのでは。

個人見解

 私はミステリマニアを名乗りながら倒叙ものには疎いのだが、これらの指摘は構造分析によるものなのであまり詳しくない人にもある程度説得力を持って響くことだろう。ドラマで主流になったことからも分かる通り、犯人が有力な演者だとすぐにばれてしまうという問題への解決が倒叙における端緒であり、したがって探偵のドラマを主流とする必要がない。だからこそコロンボにしろ古畑にしろ、強烈なキャラ付けがなされているとも言えるかもしれない。

 一方、その構造上の宿命から深掘りされる犯人が単発で退場してしまうという欠点を抱えている。そのためシリーズ化に際し探偵側を深掘りして鑑賞者の興味をつなげなければならない。ただこれは、ドラマであればそこまで問題にはならなかっただろう。犯人役の演者目当てで見る鑑賞者はその回だけを見る可能性もあり、ならば前後の話があやふやになる探偵側の縦軸など邪魔なだけだ。そういう点でもドラマ向きの構造だと言える。

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