エジプト1人旅 ①

テーブルから下げたグラスを両手に持ちながら
1つのことが頭から離れない。
9月の頭から2週間の休みがあるけど、なかなか行き先が決めることができずに8月の終わりに差し掛かっていた。ヨーロッパ周遊するのもいいんだけど、この地中海に浮かぶ小さな島国の空気感に慣れてきた今、もっと違うモノ、強烈な経験がしたい。イタリアでカプチーノとクロワッサンでもないし、フランスのルーブルとオルセーはなんとなく今じゃない。
なんてことをぼんやり思いながら、下げたグラスを洗い場に持っていこうと目線を少し遠くに移すと、地中海に果てしなく広がっている空は、燃えるようなオレンジと青のコントラストを作り出していた。
そういえば自分はどこにいきたかったんだけ。
夕日が地中海に蒸発していく。
記憶辿る頭の中に、荒涼とした大地に取り残されているような描写が飛び込んでくる。

砂漠だ。
おれは砂漠に行きたかったんだ。
この海に囲まれているところから、ある意味で1番離れているところ。
そこが今の俺が欲している場所だ。
ふと、クラスメイトの子がエジプトに行くというようなことを言っていたのと、お父さんの友達がエジプトに行った話を思い出した。
よし決めた、エジプトでサハラ砂漠に行こう!
ナイル川で見る夕日もこことは姿が違うだろう。

ギリギリでチケットを買い、ノースフェイスのバックパックに必要最低限のモノを適当に詰めて、ルームメイトとハウスキーパーに当分戻らないことを伝えて明け方家を出た。

でも、地球の歩き方がほしい。出国前に、デジタル版を購入。バックパッカー的なことをしてる人はわかると思うけど、地球の歩き方は他の旅行雑誌とは毛並みの違う、比べ物にならない程の安心感があるのだ。好きな雑誌はと聞かれたら、迷わず地球の歩き方とtransitと答えるだろう。
(聞かれたことはない、でもポパイもナショナルジオグラフィックもいいな)


(飛行機の窓からの景色)

飛行機で大体の場所と行き方を調べている間にイスタンブールを経由しカイロ空港に到着。
SIMカードをショップでアクティベートしてもらい
ATMでとりあえずのお金をおろす。空港を出るとアフリカの生暖かい風が体を包みこむ。
あぁ俺の旅始まるんだな。一瞬だけ帰ってきたような感覚になる。
空港に着いた時にはもう時刻は9時過ぎになっていて、あたりは暗く、厳重にガードマンに守られている到着ロビーのドアの先は、これから来るであろう愛する人を待つ人、客人を迎えるツアーコンダクターでごった返している。横からは「タクシーー!」とたくさんのタクシーの運ちゃんが金になりそうな俺に向かって叫び続けている。
あーこの感じなんかすげー久しぶりだなぁ!!!
とりあえず空港のバスターミナルに行かなきゃだからシャトルバスを拾わなきゃと思ったけども、あたりにバス停みたいなのはない。仕方なくそばにいた運ちゃんに聞くと、
「もうバスは終わったさ!俺のところにのりな!」うーん。その手には乗らないぜ。
その瞬間後ろの方からゆっくりと一台のバンが走り出そうとしてた、よく見るとシャトルって書いてある。急いで飛び乗る。
程なくして、バスターミナルに着くが、ここはムスリムの国。全ての表記が基本アラビア語なので、事前に調べたバスの番号さえもわからない。うーん困ったな。いろんな人に聞いたけど英語通じなそうだ。とりあえずホテルはカイロ中心街のタハリール広場に集中してるので、そこまで漕ぎ着けたらいいやと思い、タハリール!タハリール!とタハリールしか喋れないちんちくりんになってると
あのバスだ!と指をさしてくれた。
5エジプトポンドを支払い(日本円で35円くらい)
バスはドアを閉めずに発車した。

画像1

バスがしばらく走った後ダウンタウンに着き、
事前にタハリールの近くでおろしてくれと運転手のおっちゃんに頼み、合図して降ろしてくれた。ここね!オッケーありがと!
と降りたものの、そこは明らかに写真で見たタハリール広場ではなく、めちゃくちゃ交通渋滞され、クラクションが鳴り響くただの道路。さらに携帯で宿を調べようと思ったら、うまくSIMカードがアクティベートされていないらしく、全く使い物にならない。
半泣きになりながら、なんとかタハリール広場に辿りつき、目星を付けていたホステルを探そうとしたけど、一向に見つからず。ぶらぶらオフラインマップを片手に彷徨ってると、雑居ビルのようなところに着き、3階に上がると、探してたホテルの名前。さすがにこれはわかんねぇなぁ。

ホテルの人に予約している趣旨を伝えても英語が話せないみたいで、わからないと言われたものの、なんとかベットを一つ確保してもらった。
2泊で150ポンド(1000円くらいかな?)
既にいる宿泊者を起こさないように、二段ベットの上で少しだけ荷物をほどいた。
明日はピラミッドに朝イチでいって、
エジプト博物館でも行こうかな、
そしてサファリキャンプのツアーを探そうかな。

ついに旅が始まった高揚感と、
さっきまでの喧騒が耳に残る感覚に
思わずニヤニヤしていた。

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