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2023年、見た映画の話

今年は映画を7本見たので後で見返すために感想を書き留めておきたい。

1.THE FIRST SLAM DUNK

これは俺たち世代へのご褒美。井上先生マジでありがとうと言う他ない。スラムダンクのエッセンスを山王戦と宮城リョータの無から生えてきた思い出をミックスして作った作品。赤壁の戦いとほぼオリキャラ扱いの孫尚香の活躍をミックスさせて三国志のおもしろさを切り出したレッド・クリフと構造は似てる。映画館に響き渡るボールの転がる音とか息を飲むシーンとか、展開わかってるのに夢中になってしまう。めちゃよかった。(2023/3/22)

2.シン・仮面ライダー

これはシン・ゴジラやシン・ウルトラマンと比べるとイマイチだったかも…。池松壮亮に華がないよね。暗いというか。むしろ柄本兄が出て来たら全部持っていっちゃった感じがある。(柄本兄、今までかっこいいと思って見たことなかったけど本作はかっこよかった。)竹野内豊と斎藤工もちょっと内輪ウケが過ぎる。NHKのメイキング見たけど、庵野がめちゃくちゃこだわって俳優やスタッフを振り回した割にはそれに見合うような出来になっていない。森山未來は俳優陣の中でめちゃくちゃ抜けてるなってわかったけどそれは別に庵野の功績ではない。あとオウムを連想させるテーマもたぶん俺ら世代以外に伝わらない。(2023/4/19)

3.君たちはどう生きるか

宮崎駿の濃縮還元100%果汁。彼のルーツや描きたいものがこれでもかとぶつけられてる。結局、宮崎駿は母ちゃんがヒロインなんだよ。若い母ちゃんと一緒に冒険してっていう彼の夢を描いてる。もちろん大叔父が高畑勲っぽかったり、その世界へいざなう変な鳥が鈴木Pぽかったり積み木の数がこれまでの劇場版作品と一緒だったりとか考察要素も忘れない。宮崎駿ファンへのサービスであり、宮崎駿のための作品でもあり、遺作にするならこれ!って気持ちで作った気合が伝わる。いいんじゃない、やり切った感。あと木村拓哉が本気でシャアの声だった。(2023/7/18)

4.キリエのうた

岩井俊二映画祭でリリイ・シュシュのすべてをタタ見してしまったので、見に行かないと、となった作品。キリエに孔明がついていれば…と思ってしまった。平成の作品ならキリエの歌を聴いて「おっいいね」となった北村有起哉が引き上げてくれてデビューしそうなものだが、「おっいいね」と言うものの別に何もしてくれなくて路上で歌い続ける、令和の嫌なリアリティ。歌がうまいから売れるわけではない。心を震わせるからデビューできるわけでもない。孔明がいないからここ一番のステージで使用許可書を忘れて立ち退かされてしまう。岩井俊二ファンが見れば、「ここは花とアリスだ」「ここはリリイシュシュだ」と連想するシーンがあるので楽しめるのは間違いない(君たちはどう生きるかと似ている)が、それ以外の人にどう響くかはわからない。長いし。(2時間58分)あとは震災・津波をこう使っちゃっていいくらいもう時が流れたのねという気持ち。シン・ゴジラも君の名は。も震災・津波の話ではあったけど違う描き方をするしかなかった。「花は咲く」の岩井さんがやるならそうなんですね、という。広瀬すずはJK姿も変な髪色も似合ってて100点満点で120点出してくるなと思った。(2023/10/25)

5.ゴジラ-1.0

シン・ゴジラが政府や行政から見たゴジラとするなら、ゴジマイは市井の人から見たゴジラであり、一人の男が自分の中の戦争を終わらせる物語である。山崎貴やればできるじゃん!ドラクエは何だったの!ってなった。特高やゴジラから逃げ続けた神木君が守るべきものを得て、そのために命をなげうつという気持ちになる、感情の変化とゴジラのむき出しの凶悪性、やっとつかんだ幸せをこんな無残に…という容赦なさがポイント。最後の展開がご都合主義に見えるか悲劇の導入に見えるかはゴジラ経験値による。冒頭戻ってきた神木くんに鬼の形相で迫る安藤サクラに助演女優賞をあげたい。(2023/11/8)

6.窓ぎわのトットちゃん

学習障害とかADHDとかの言葉がなかった時代、幸運にもそれをありのままに受け入れてくれる学校に出会った少女と仲間たちの話。戦前戦中の話というと灰色っぽい話が多い中、この作品はカラフルで戦前・戦中観が変わる。東急沿線は今も昔もオシャレ。少しずつ戦争が生活をむしばんでいくさまがめちゃくちゃリアル。服装規制、駅員のおじさんがおばさんに変わる(徴兵と思われる)、具が少なくなっていく弁当、首輪だけになる飼犬、家からいなくなる父親。言葉で説明はしないけれども、表現は手加減しない。真綿で締められていくような息苦しさ。教会から駆け出すシーンは戦争ごっこする男の子たちがやがて万歳三唱で送り出され、骨になって帰ってくるという今まで見ることもなかった学園の外の世界の現実をセリフなしでしっかり描いている。年明け子供と見に行ってどう思ったか聞いてみたい。(2023/12/20)

7.パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー

子供にバカ受けのパウパトの映画版。アメリカのやつかと思ったらカナダらしい。受け入れられなかった科学者と体の小さい末っ子、どちらも周りから受け入れられなかったが、協力してくれる仲間の有無で仕上がりが変わる。一人ではダメでも協力すれば解決できるという当たり前の話をちゃんと子供たちにも飲み込めるように落とし込んでるのはいいね。「人のものを取ってはいけないよ」と言うのではなく「どこいったん?」を読ませるようなスマートさ。子供たちがワーキャーいう劇場はフードコートみたいで気兼ねがなくて元気が出る。(2023/12/24)

8.2024年の予定

今年は熱量のある感想に引き寄せられて見に行ってだいたいよかったので、来年もそんな感じで見に行きます。まずは渋谷民必須教養の「PERFECT DAYS」と熱量高い感想が散見される北野武の「首」を見ようかな。あとは劇場版「ちいかわ」(やるよね?)

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