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ちょっと一服。

仕事中…
ふと、席を立ち、自販機に向かった。


自販機の前に立つ。
小銭を入れ、エナジードリンクのボタンを押した。

ガランガランガラン…
受け取り口まで落ちてきた缶を手にしてみて、思う。


別に、強い眠気を感じていたワケではない。
喉が渇いていたか?というと、それもそれほどではない。

この「エナジードリンク」が欲しかったわけじゃない。
これを買うために、「デスクを離れて、ここまで来る行為」そのものを求めていたのだと。


長いこと、デスクに鎮座して考えもだいぶ煮詰まっていた。
この状況から解放されたかった。
気分転換…ちょっとした一服を求めていた。


それで言うと、タバコ。
あれを吸う人の気持ちも、今ならよく分かる。

まだ、会社に通うのが当たり前だった頃。
中休みの時、嬉々とした表情で喫煙所に行く人たちを見かけて
「あんな苦いモノ、そんなに美味しいのか…?」と疑問に思っていた。

でもきっと、あのタバコの味そのものではなく、「デスクを離れて、喫煙所まで向かう行為」そのものが楽しみだったんだな、と今なら思える。
自分がもし喫煙者になっていたら、きっとヘビースモーカーになっていたに違いない。


そうやって気分転換を求める気持ちよりも、「タバコは苦くて吸えない」と思う気持ちのほうが強くてよかった。
そんなことを思いながらデスクに戻り、甘味溢れるエナジードリンクを口にした。

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