夏の香りはいつも何かを思い出させてくれるような気がしていた。 

夏祭りの記憶。

部活動の帰り道の記憶。

何かに落ち込んでとぼとぼ歩いた一夏の思い出も。

全部がセットになって毎年の夏の香りがそれらを運んでくる。 人生の濃度を知るとともに少し掠れていく記憶に悲しさをも覚えて。

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