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富士ヒルクライムの目標タイムと必要な持久力(パワー)

2024年1月追記

より新しい記事を公開しました。そちらも是非ご覧ください。

今回は富士ヒルにエントリーしようと考えていて、具体的な目標タイムを決めようとしている方に向けて書いてみました。だいたいどれくらいのタイムで完走する人が多いのか?については前回記事で紹介しましたので、そちらも読んでもらえると嬉しいです。また今回の記事はパワーメーターを活用していて、STRAVAなどのアプリでライドやトレーニングを管理している方に向けた内容が多くなっております。

追記(2022.1.16)
標高の影響を考慮した目標値を次の記事で作成しました。

1.完走タイムの振り返り

前回記事でもご紹介した性別・年代別のクリアタイムを振り返ります。横軸が年代、縦軸が完走タイムで、完走タイムは上にいくほど速くなっています。2022年大会のものをもとに作成しています。

2022年度大会の記録をもとに作成

みなさんのご年齢に当てはまるカテゴリーを見てみてください。まず、上位10%以内の選手は半端じゃないです。アスリート。そして後でも紹介しますが、上位30%以内の選手も相当トレーニングを積んでいるはず。ゴールド!シルバー!ブロンズ!と既に目標タイムが明確な方もその難易度を今一度確認してみてください。女性ではブロンズを獲得することは相当難しいですし、年代が上がる毎に良いタイムで完走する難易度は格段に上がっていきます。これから目標タイムを決めようかなと考えている方は、ご自身が同年齢の人たちと比べて体力に自信があれば上位50%以内かそれ以上を、ロードバイクを始めたばかりという方や体力に自信のない方は余裕を持ったタイム設定が良いと思います。後ほど具体的に紹介しますね。


2.持久力をモニターするためにはパワーメーターが便利です

目標タイムをざっくりと設定できると、いよいよモチベーションも高まってきますね。トレーニングもはかどるはず。このタイミングで必要になってくるのが、”自分の持久力は今どの程度だ?”そして”目標タイムをクリアするには、どれくらい持久力が必要なのか?”という状況把握。現在地と登る山の高さが分かることって大切で、それを可能にしてくれるのがパワーメーターです。パワーメータという装置はペダルやクランクなどに内蔵され、どれくらいパワーを出し続けられたか(=持久力)を簡単にモニターできるデバイスです。4万円以上する高価なものがほとんどですし、併せてサイクルコンピューターも必要になるので大きな出費ですが、是非購入を検討してみてください。この記事はここから、パワーについてお話していきます。

決して安い買い物ではないですが、非常に便利!


3.富士ヒルの目標タイムをクリアするために必要な持久力(パワー)

それでは、目標タイムをクリアするにはどれくらい持久力が必要なのか?をみていきます。目標タイムに必要なパワーを調べるために、「脳内サイクリング Rev.1」さんの記事を活用させてもらいました。体重と機材の総重量、持続させるパワーを入力すると予測タイムをはじき出してくれます。昨年の私の実測値と予測値も非常に近く推定してくれましたので、こちらを参考にさせてもらいました。計算にあたり基準値として男性は体重65kg、機材7.5kg、女性は体重53kg、機材7.5kgをそれぞれ入力して調べました。表の「パワー」欄はだいたい同じ体重の方(男性65kg、女性53kg)にとっては丁度よい指標なのですが、体重が違うと必要なパワーの数値も違ってきます。重たいほど高いパワーを出し続ける必要があるし、軽ければより低いパワーで済みます。そこで、様々な体重の方にとって目安となる「体重比」をパワーの横に記載しています。こちらは「必要な持続パワー÷体重」の値です。たとえば体重70kgの男性が80分以内に完走するためには体重比3.4のパワーが必要で、よって必要なパワーは70kg×3.4=238になり、65kgの人に比べると必要なパワーが18ほど高くなります。女性の方が機材重量の影響が大きいため、必要な体重比パワーが大きくなっています。この値が、富士ヒル中出し続けたいパワーになります。後ほどでてくるFTPとは違いますので、ご注意ください。


4.1時間続けて発揮できる最大の持久力(パワー)をFTPといいます

パワーメーターをつけている方にとっては当たり前となっているもので、STRAVAアプリ内でも推定してくれるFTP。FTPとはざっくり説明すると、1時間発揮し続けられる最大の持久力(パワー)です。FTP以外にも色々な指標がありますが、FTPという値をモニターする利点としては、①みんな知ってて会話しやすい、②目安として分かりやすい、③富士ヒルクライムは1時間以上走り続けるので目安として使える、などです。STRAVAなどのトレーニングや日々のライドをモニターしてくれるアプリなどでも馴染みの深い指標ですので、是非FTPのイメージをつかんでトレーニングを進めることをお勧めします。FTPについて、また以下の記事についてはパワートレーニングバイブルを参考にして作成しています。


5.目指している目標タイムに必要なFTP

3でご紹介した富士ヒル完走タイム別パワーは、完走するまでの間に出し続ける必要のあるパワーです。完走タイムが80分なら80分間、120分なら120分間出し続けるパワーです。継続する時間が変わってしまう指標は使いにくので、富士ヒル完走タイム別パワーをFTPの体重比に換算しなおしてみました。表のFTPは「だいたいこのFTPを持っていれば、富士ヒルはこれくらいで走れるだろう」という数値です。他の記事、パワートレーニングバイブルを参考にしながら作成してみました。表の見方としては、目標タイムをクリアするためには富士ヒル中に”体重比”の値をキープして走り続ける必要があり、そのパワーを出し続けるためには1時間出し続けられる最大パワー値である”FTP”を表の値以上にできれば達成できる可能性が高いといった感じです。STRAVAなどのアプリを使っているとFTPの推定値を算出してくれたりするのですが、たとえば85分出し続けられるパワー値などは算出してくれません。しかしFTPさえ分かっていれば、80分や90分といった1時間以上発揮し続けられるパワー値を推定できますので、現状の持久力を見定めるにはFTPを目安にするとトレーニング効果も追いやすいかと思います。


6.目指しているFTPは、どれくらいハードルが高いものか?

もう少しFTPについて深堀りしていきます。前述したパワートレーニングバイブルには、FTP値のレベルについて表が作成されています。それを少し見やすくした表を作成しました。なお、この表は日本語に訳されている第2版ではなく、第2版から修正が加わっている第3版の基準を元にしました。ゴールド、シルバー、ブロンズに必要なパワーも色で示しています。

この表からも、ブロンズ以上の結果を残すことの難しさが伺えます。まして女性でシルバーを獲得するためにはプロ選手並みのパワーが必要となりそうです。この基準表を参考に、今の皆さんの持久力の目安から目標FTPを定めて、そこから富士ヒルの目標タイムを設定するのもよいと思います。


7.性別・年代別FTP基準表を作成してみました

最後に、性別・年代別FTP基準表を作成してみました。やはり体力は年齢が上がるにつれて下がるもの。さきほどの基準表では、40代以降の方にやや当てはまらない感じがしました。富士ヒルの完走タイムの分布から、各年代の基準値を補正してみました。みなさんに当てはまる表を、ぜひご活用ください。今後も富士ヒルクライムに関連した記事を書いていきたいと考えていますので、またご覧いただければ嬉しいです。





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