#36 週6トレーニングの効果 ポラライズド&閾値トレーニング
以前(#8)にご紹介した論文を違った視点でまとめ直してみました。
今回の論文は週に6-10hほどしっかりとトレーニングされている体力水準の高い方を対象に検証を行っています。
違った角度からまとめてみました
以前ご紹介した際には、論文の流れから外れないようにレビューを行いました。
この論文の主張としてはポラライズドトレーニングの方が閾値トレーニングよりも効果があるという結論でくくられていて、ポラライズドトレーニングの優位性を示すものとして参照されることも多い論文です。
しかし個人的には閾値トレーニングも良い成果を上げているんじゃないかなと思いますので、今回はどちらが優れているという視点には立ちません。
一つ前の記事で一般的な体力水準の方は週に何回トレーニングをすれば効果が得られやすいのか?という論文をご紹介しましたので、今回はその流れを汲んで体力水準の高い方が週6でトレーニングした場合にどのような効果があるのか?を見ていきたいと思います。
ディトレーニング後にトレーニング介入をしている
この論文で注意しておきたいことが、ディトレーニング後に検証がなされているということです。
ディトレーニングとは脱トレーニングとも言い換えられ、継続してきたトレーニングを一時中断することを指します。
今回の論文では4週間のディトレーニング期間を挟むことでパフォーマンスが下がった状態を意図的に作り出して、そこから6週間のトレーニング介入を行うというデザインです。
ディトレーニング期間を挟んで同じ人がポラライズドトレーニングも閾値トレーニングも実施しています。
このディトレーニングで落ちたパフォーマンスに対して、どちらのトレーニングの効果が高かったのか?という建付けです。
つまり、今までの最高パフォーマンスからトレーニングで更にパフォーマンスが上がったというものではありません。
むしろ本来のパフォーマンスに戻すといった意味合いの方が大きいのかもしれません。(詳細は論文には書いていないので推測です)
このことをまず、お伝えしておきますね。
研究内容
対象者は普段しっかりとトレーニングをされている12名の男性です。
普段と介入時のトレーニング時間は以下の通り。
普段:5-10h/週
ポラライズドトレーニング:6.4h/週
閾値トレーニング:7.6h/週
と、普段よりもトレーニング時間が長くなった人、短くなった人がいます。
トレーニング強度は図のような割合になっています。
今回のトレーニング介入は6週間行われています。ポラライズドトレーニングと閾値トレーニングの内容と週間計画は以下のようなものでした。
推定FTPパワーの変化
今回はランプテストより算出した推定FTPパワーの変化のみを図示してみました。
前回の記事でお出しした結果(一般的な体力水準の人が1時間のトレーニングを行った結果)と合わせて図示しています。
6週間のポラライズドトレーニングも閾値トレーニングも、パワーが改善した人もいればあまり変化はなかった、むしろ少し落ちた人など様々な人がいます。
こうして見ると、閾値トレーニングも効果がない訳でないことが伺えるのではないでしょうか。
またこの結果はディトレーニングでいつもよりパフォーマンスが落ちた状態からスタートしての成果です。
ですのでこれから今まで以上にパフォーマンスを高めようといった場合は、ここまで大きな成果は恐らく見込めないとも考えられます。
とはいえ例えばケガや出張などで1カ月間ほど思うようにトレーニング出来ない場合があると考えると、大変貴重な研究であることは間違いありません。
おわりに
ようやく色々な記事を関連付けられる程度に記事が貯まってきました。
「どれくらいトレーニングしたら、どれくらいの成果が見込めるのか?」
このことは皆さまにとって必要な情報だと思います。
そうした情報もお伝えできるよう、私なりにまとめ直していきますね。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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ご紹介した論文
Neal, C. M., Hunter, A. M., Brennan, L., O’sullivan, A., Hamilton, D. L., Devito, G., Galloway, S. D. R., & Galloway, S. D. R. (2013). Six weeks of a polarized training-intensity distribution leads to greater physiological and performance adaptations than a threshold model in trained cyclists. J Appl Physiol, 114, 461–471. https://doi.org/10.1152/japplphysiol.00652.2012.-This
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