シャッター街の巨人
特に悲しいことはないけれど、涙が出てしまうことがあります。
原因は何となくわかっているけれど、まだ気づかないフリをしていたい。
今日の私は、音楽を聴いて歩きながら泣いてしまうような一日でした。
そんなときいつも想像することがあります。
それは私の心の中の人。
その人は「元気ないけど大丈夫?」とは言わずに、「元気?」とだけ聞いてくれるんです。
それに対して私は「元気です」と頷きながら答える。
実際に元気なときもあるけれど、元気じゃないときにも元気と答えてしまう。
それでもその人は私が元気じゃないことを見透かして、「ほんとかよ」とニタっと笑いながら目を合わせてくる。
それだけで元気になれる気がしてくるんです。
その人は、私が不安なときにいつも心の中で傍にいてくれる。
その人といると、全てが筒抜けになっている気がして怖くなってしまうことがあります。
その人の目に映る私はとても醜いから。
何もしてなくて、何も言わなくて、何もできないから。
でもたまに唯一無二のような目で見てくることもあって。
都合よく考えすぎですね。
何もない私にとって、あの人の存在はとても大きくて。
それでもできることならあと少しくらい、私が傍にいたいから居させてもらいます。
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