宇宙の子がいるよ
コンクリートの壁に押し込まれた卵。
宇宙柄の卵です。
質感は、マットと艶の間くらいで、
殻の表面にいる惑星たちは、なぜか透き通って見えます。
卵を割ると、銀色の粉と群青色の水が溢れ出ます。
真ん中には黄身ではなくて、白く閃光を放つ小さな星が一ついます。
その星の直径は3ミリ程です。
白い星を握り潰そうとすると、アメンボのように宙を飛んで逃げます。
まるで生きているかのよう。
どこへ行くのでしょうか。
星は、動き疲れると、卵の中央の決まった場所に帰ります。
すみかである卵の中に帰る度に、色が少しずつ変わります。
今度はクリーム色になっているようです。
卵の殻は、何度割れても修復されます。
白身、ではなく銀の粉と青い水も、いつも真ん中の星を守っています。
こぼれても、こぼれても、また生成されます。
そう、無敵の卵です。
その卵をまるごと人間の体の中にいれたら、無敵になれるのでしょうか。
それとも、何も起きないのでしょうか。
誰にもわかりません。
ただのカルシウムと蛋白質かもしれません。
食べてみたらいかがでしょうか。
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