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「オン・ザ・ロード」 ジャック・ケルアック

2ヶ月前になんとなく購入してちまちま読んでいた「オン・ザ・ロード」をやっと読みきった。本が自分のものだと、早く読み切らなきゃと返却期限に急かされることもないので、途方もなくちまちま読んだ。長かった。

読みながら登場人物達となんとなく一緒に旅をした気分にはなれたが、この本を読んでいたのは大体なぜか鬱っぽいバイトの休憩中だったので、特別熱中できたわけでもない。いや、熱中できなかったのは、登場人物がぶっ飛びすぎて感情移入できなかったからかもしれない。

それでいて、世界が違いすぎて、まあ、本でこういう空気を味わえるのはいいなと思いながら、なぜか退屈なのに刺激過多で疲れる現実から逃げるようにして読んだ。読んでいたら、物語とは対照的に今の自分が置かれている環境の穏やかさを実感して安心もした。

ディーンといういかれた人間の適当で単純な発話と、たまにくる深い言葉のギャップとか、全体にちりばめられた表現のセンスの高さに笑ってしまう。

登場人物、特にディーンのぶっ飛び具合に、こいつらしょうもないなやべーなと遠くから眺める気分の時もあれば、なんか楽しそうと思いぐっと寄ってみるときもあった。

それでいて、ディーンみたいな人とは絶対に友達にはなりたくはないと終始思っていた。

でも、この本から強く発せられる向こう見ずな生き方のようなものに、若干の憧れがなくもない。浅いようでいて深い。
よく考えたら自分にだって割と向こう見ずなところはある。

当時のアメリカの人達の空気がこんな感じかーとか思ったが、解説読んだら別物のようだ。この本が結構な影響力を持ったらしいが、当時のアメリカを生きていない私にはよく分からない。歴史にも疎いので、解説読むと勉強になる。

それから私は何か強い必要に迫られない限りこの先ずっと車を所持しない主義だが、この本を読んでも車を爆走させたいと思わずに済んだ。

というか、この本のおかげで、わずかにある私の中の車に対する憧れが満たされた。そして車とガソリンの嫌な匂いが想像され、車は持ちたくない運転したくないという気持ちがより確固となった。

あと終盤のメキシコに突入していく描写を読んで、あっつい地域には行きたくないとやっぱり思った。なんか別の本でもそういう感覚になった気がする。

正確には、熱帯とか亜熱帯の空気感にそれなりの憧れはあるが、生理的に物理的に身体的に絶対に一瞬で帰りたくなるだろうなと思う。メキシコシティなんかは高地で乾燥してそうだけど、空気が激汚いと聞いたことがある。

日本の気候は恵まれてる。最高だ。

でもただ、旅はしたくなった。
ここではない、どこでもないどこかへ行きたくなる。

あと、この本の書き方というか展開の仕方というか、結構好き。
流れるように読める感じで、突発的な出来事がどんどん起きていくから、特別全体のストーリー性を気にしなくていい感じ。ロードものだからそうなるのだろうけど、憧れる。ストーリーを考えるのが非常に苦手な私にはとても魅力的だ。

またなんとなく部分的に読みたくなりそうな、そんな本。
読み終わってしまうとちょっと寂しい。

まだまだ読みたい本、読むべき本は沢山あるぞ~~


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