見出し画像

その1日は、角砂糖のように溶けていった。

どちらかというと仕事はしたくなかった。

週明けの月曜日にありがちで、けだるく、エンジンのかからない。そんな一日。何事もなく、無事に今日という日が過ぎないだろうか。そんな思いで家を出る。道すがら聞く音楽はいつでも優しい。つらいときは背中をさすってくれる。勇み足の時は背中を押してくれる。けだるいときは、そんな自分を受け入れてくれる。私が音楽を好きなのは、その度量の広さも大きな理由なのだろう。

問題なのは、どれほど音楽が寛大であっても、世の中はそれと関係なく進み、忙しい日は前触れもなく訪れるということだ。朝からトラブルが舞い込み、解決にてんやわんや。合間に電話や来客もひっきりなし。一つ形になったかと思えば次の問題が顔を出す。間違って訪れたのは賽の河原だろうか。

「忙しさに目が回る」という表現はよく聞くけれど、目が回る暇もない、というのが正直なところだ。お昼は食べた気がするけれど、いつ食べたのかもよくわからない。気が付いたらもう5時に近い。私の1日はどこへいった。

予定していた課題をこなすのであれば、忙しくても達成感がある。こなせば満足感もあるだろう。しかし急に出てきた問題を、ただバッタバッタと切り倒していくのには、徒労感だけが残る。自分は一歩も動けないのに、敵が群れを成して襲いくる。出来ることは避けるだけ。『逆・無双シリーズ』とでもいうべき状況だ。絶対に売れないだろう。

結果として、その1日は溶け去った。角砂糖が解けるように。
ほろ苦く、歯ごたえのない粘り気だけが、そこには残った。


#エッセイ #コラム #月曜日 #月曜日の憂鬱

「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)