彩られた遠路の果て【#旅する日本語】
抜けるような青い空。横に長く広がる茶色の駅舎。
それらはどこか懐かしさを感じさせる。距離にして650キロ。時間にして8時間。今、私たちはこの遠方の地、宮城にたどり着いた。
私たちの目的は一つ。なじみのラーメン屋の仙台支店を訪れること。定休日に気をつかいながら予定をたて、遠くこの地を訪れたのだ。
これが愛でなくてなんだと言うのだろう。
店までの歩道橋には、人気スケート選手の横断幕がかかる。道々にものぼりが建てられ、町全体で盛り上がりを演出していた。関係ないはずの私たちの気持ちも、つられて引き上げられてゆく。
目的の店まではあと少し。高ぶる気持ちに足取りも軽くなる。さあ、その角を曲がれば店がある。ずっと待ちわびたあの味がそこにある。いざ角を曲がる。やっと店に――ついた。
そこには下ろされたシャッターと、1枚の張り紙が。
「本日、臨時休業」
私たちの喉鼓は、抵抗する気力もなく仙台の青空に散会した。
「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)