幸福の資本論を読んで概要と感想 Part3(完結)
今年は海に行きたいけどこの暑さはげんなりしますね!
ホイットニーです。
「幸福の資本論」の概要と感想もラストに入りました。
Part3は社会資本について書かれていました。
出だしでこう書かれています。
幸福は社会資本からしか生まれない
社会資本を簡単に言うと「つながり」になります。
ですので、幸福はつながりからしか生まれないとなります。
著者は、つながりについて3つのカテゴリーを用意しています。
1.愛情空間
2.友情空間
3.貨幣空間
この本では、このようなカテゴライズ・定義付けよく出てきます。
考えをまとめやすくしているのでしょう。
愛情空間は2〜5名の人間関係で、距離で言うと半径10メートルくらい。大切な家族や恋人を指します。
我々の人生の価値の大部分は、この愛情空間によって占められているそうで、なんとなく理解できます。
僕に友達がいっさいいなくなっても、家族の元に帰ってこれるならそれほど不幸では無いと思えるからです。
友情空間は20~30人くらいで半径100メートルくらい。地方の若者がイツメンと呼ぶメンバーのこと。まぁ、これもなんとなくわかります。
ホモ・サピエンスは150人くらいを認識できる事ができるそうで、友達の友達や浅い付き合いの人を含めるとそれくらいになるのでしょう。
貨幣空間はお金を媒介にしてつながる範囲のことで、無限に近いです。
牛丼食べに行ったときの店員さんとか、取引先とかです。
貨幣空間は弱い繋がりなので、人生の価値観形成に対した影響を及ぼしません。
愛情空間や友情空間は、強い影響を及ぼすので彼らとの関係が良好である事が望ましいです。
このあと、著者は友達理論を展開しますが、僕には納得できませんでした。
例えば、「友達とは時間軸だけでなく空間的にも排他的な人間関係」とありますが、排他的で無い友達関係もあります。
友達の友達と仲良くなる、ということはよくあるからです。
また、友達関係の核にあるのは「平等体験」というくだりがありますが、これもそれだけではないでしょう。平等体験も重要なのは分かりますが、年齢や国籍、性別なども違う友達もいますからねぇ。
概念をカテゴライズして名前をつけ、定義づけすることで意味合いを強めようと試みている感じがしますが、そこにはエビデンスがないため、著者の主観から抜け出しておらず、なんだか「いいくるめられている」という感じがします。
とくにこのPart3では強いですね。ぐっと読みづらくなって残念。
貨幣空間と愛情空間は相容れないという話はちょっと面白くて、恋人ととセックスした後に現金3万円渡すと怒られるけど、3万円の指輪をプレゼントしたら喜ばれると説明しています。
「愛情や友情に金銭が関与してはならない」としていますが、それはそうだなという気もします。
でもまぁ、結婚相手はそれなりの収入がいいと思っていますし、親が裕福だと愛情も注がれやすかったりするので、金銭の関与は否定できないとも思います。
と言うわけで、この章はほとんど受け入れる事ができませんでした。
アメリカ人の労働時間が日本を上回って過労死も出ていると言う話や、アメリカの働き方も日本に似てきていて、個人から関係を重んじるようになっているという話が出てきますが、これもエビデンスが弱くてちょっと信用に足りませんでした。
幸福に必要なのは、自分で人生をコントロールできているかであるという趣旨は完全同意でそれはそうだと思いますが、日本人が不幸なのは遺伝というくだりは、日本に恨みでもあるのかなと思っちゃいました。
結論として、愛情空間をミニマルにしてそれ以外は全て開閉空間にしなさいと論じていいるんですが、友達のいない世界が幸福とは思えず、がっかりしました。
でも、つながりや関わりを「面倒」と思っている若い世代にはささる内容なんだろうなと思うと、悲しくもなります。
人は集団で生きる生き物なので、本能的に従うと助け合って支え合って、憎しみや悲しみがあったとしても、喜びや愛を感じるコミュニティが良いはずと僕は考えてしまいます。
この本では、金融資産・人的資本・社会資本の3つを手に入れる超充は無理と断定していますが、僕はむしろ3つを手に入れるように心がけることかなと思いました。
人的資本から得られたお金を金融資産に投じていくことは可能です。
一般論としては、給与の一部を投資に充てて老後の心配を無くすようにするのが良いと思います。金融資産を十分に得てFireするのは、出来ればいいのでしょうけど人的資本、つまり働くことも続けた方がよいと思います。
なぜなら仕事で得られる友情空間は、ときに幼馴染よりも強いつながりになるからです。
お金で友達を買うという話ではなく、大変な状況を共にくぐり抜けた戦友になれるんです。
だから人的資本は、金融資産と社会資本の両方を作るに不可欠で、余裕が生まれたら社会資本の割合を広げた方がよいと思うのです。
金融資産には毎月定額をおさめて安心を買い、生まれた余剰金やこころの余裕を使って友達と飲みに行ったり家族旅行行ったりするというステレオタイプな幸福が、僕は良いと思うのです。
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