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恋しいもの

韓国に住んで16年、大して不便を感じることはない。多少韓国語が不慣れでも生活する上で大きな問題は生じない。日本の家族や友達に気楽に会えないという問題はあるけど、そもそも日本にいたときからプライベートな人付き合いはあまり得意な方ではなかったから、あまり寂しさは感じない。日本の情報やテレビ番組なども最近はネットがあるから必要ならば合法、非合法問わず手に入れる方法はいくらでもある。日本の食べ物も材料さえ手に入れれば自分で作ればいいことだし、作れないものはあきらめもつく。
しかし、ひとつだけここ韓国では叶わないことがある。それは日本語で書かれた本を気軽に読むことだ。日本にいた頃はスキマ時間に本屋で立ち読みしたり、古本屋でたまたま手にとった文庫本をかばんに入れておいて移動時間に読んだりしていたが、それができなくなった。もちろん韓国の本屋さんで日本の本を取り寄せてもらうことは可能だ。でも何冊もハードカバーを原価プラス手数料を払って読むのは無理だし、電子書籍を買って読む気はしない。
先日、子どもを市立図書館に連れて行った時、ここには数多くの本があるけど自分が気軽に読める本は一冊もないのかと思って、すこしさみしくなったのだった。

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