見出し画像

2022年真夏の大冒険⑳ 与那国島5日目 ダイビングと思い出の場所

風向きが変わった。バーバー吹いていた南風が止んで軽い北風になっていた。
今日の担当ガイドが「今日は遺跡に行けるチャンスですよ」「リクエストありませんかー」と聞いているけど、今日のメンバーは何度も与那国で潜っているリピーターばかり、「遺跡?俺はいいよ」「俺もパス」「みんなが行くなら行くけど遠いしなー」とつれない返事ばかり。
「遺跡のリクエストが多い時は南風で行けないし、行ける時は行きたいメンバーがいない。噛み合いませんねー。」とガイドは嘆く。
俺もまったく同じ。「行ったところで10年前と変わらんしなー、五本指なら行きたいけど、近い西崎でいいんじゃないの。」変わらぬ遺跡よりも毎日変わる西崎、今日こそついにジンベイとの遭遇があるかも?

出港して南の根の真上でガイドが素潜りで海況チェック。
「流れてます。魚がいません。他に行きましょ。」Uターンして島の北側へ舳先を向ける。
1本目は今季2回目の北東の根。ドン深だけど大好きなポイントだ。前回はアキアナゴとアカエイに張り付いていたけど、今日はオーバーハングにターゲットを絞ろう。ヨスジフエダイやグルクンの稚魚が群れてたらカスミアジやカッポレの捕食シーンが見れるかも?
ここのポイントは40mを超す深場なのでターゲットを決めて潜らないとエアが心配になる。

アケボノハゼやシコンハタタテハゼは老眼じゃどうせロクに見えない。他のメンバーからはちょっと離れてオーバーハングでホバリング。
目当ての稚魚は食べ尽くされたのか成長して移動したのか、一匹もいない。アテが外れたカッポレ2匹がうろつくだけだった。
根の上で流れるグルクンを見てエキジット。

カッポレ
カッポレ獲物探し中
根の上のグルクンリバー

2本目3本目はコースを変えて西崎。相変わらずブン流れで南の根に着底はNG。
2本ともバラクーダとロウニンアジには会えるけど、ドット柄のデカいやつは姿を見せない。なんか今季はずっとバラクーダとGTしか見てない気がする。
贅沢な悩みだけどバラクーダとGT は食傷気味。ハンマーヘッドロック通過後のダウンカレントジャグジーを楽しみに流されてる気がする。
今日のダイビングも無事終了。

夏の風物詩 バラクーダの群れ
ダウンカレントのジャグジー

民宿の食事はすごく美味しい。だから滞在中に外食することは稀なのだが、初めて島に来た頃は飯だけが不味くて残念に思っていた。
それが数年後に劇的に美味くなっていて驚いたことがあった。
女将のミドリさんに「米変えた?」と聞いたら、「わかりますか?内地からコシヒカリを送ってもらってるんですよ。」と言われ納得した。

小学生の頃、社会科で「二期作・二毛作」というのを習った。田舎に住んでて二毛作は経験的にわかるけど「二期作」は意味はわかるけど実際に見たことはないし日本の農業ではないように思っていた。
7月初めに島内を歩いてたら「頭を垂れる稲穂かな」な田んぼを見て「こーゆーことか、日本でもやってるんだ。」と思ったことがあった。

与那国米(2004年7月1日)

二期作の米は倍近い収穫量がある代わりに不味い。なによりも水が豊富にあるわけではない島の米は水稲ではなく陸稲だった。陸稲を見たのも与那国が初めてだった。
島も本土並みに豊かになっていくと、不味い島内米を使う人は少なくなり、次第につくる人も量も少なくなっていったんだと思う。
だから今は島を歩いていてもかつて田んぼだった土地は休農地の荒れ地になっているし、たしかここも田んぼだったよな?と思う緑の土地はクシティ(パクチー)や長命草が栽培される畑に様変わりしている。

美味しいものを食べたい、不味いものは売れないという経済原則で島の稲作が衰退してしまったのは自然な流れで致し方ないことなんだけど、真夏のギラギラの太陽の下で刈られるのを待つ黄金色の景色が見られなくなってしまったのもただの観光客の立場からすれば、残念なことだ。

久部良ミトゥ池の裏手の田んぼ(2004年)

そう言えば初めて島に来た2004年には、祖内の民宿でTVはNHKの録画放送のみ、宿の子どもたちがザーザー雑音混じりの台湾語吹き替えドラえもんを見ていたのも覚えている。
空港には経バンで宿の女将さんが迎えに来てくれて、「◯◯さん、乗ってて」と言われて車の中で待っていたら、子供三人を連れたお母さんも乗ってきてぎゅうぎゅう詰め「じゃあ、出発しまーす!」
え、軽バンに6人?と思いながらも、祖納集落の入口にある交番に軽やかに手を降って運転する女将さんを見ながら、ここは日本じゃないんだと思ったのが島の第一印象だったっけ。

空港から正面の山ドナン岳を見上げると、中腹に展望台らしき東屋が見える。
ここが満田原森林公園。お気に入りの場所だ。フィールドアスレチックの施設もあり、町としては町民憩いの場的に頑張って作った公園だと思うが、遊んでる子供はおろか人間に会ったことは一度もない。
眼下にはゴミ処理場、空港や馬鼻先崎が一望で飛行機の離着陸を見るのにも絶好のポイントだ。日陰もふんだんにあり昼寝にも最適。
動植物も豊かで、そこらじゅうでガサゴソと生物の息吹を感じる。

東屋から空港方面

八重山の動植物に詳しくないからよくわからないけど、マニアな人なら絶対ハマる場所だと思う。大きいトカゲがいて追い詰めて写真を取り、宿に戻って調べてみると天然記念物なんてこともあった。
ヤシガニにも遭遇したが凄まじい威嚇にビビリ、素手ではかなわんと負けを認めた時も、リクガメの逃げるスピードの速さにびっくりした時もあった。

誰もいないから大声上げても恥ずかしくない
尻敷き段ボールは要持参、持ってかないと地獄を見る

ベンチで昼寝をしていたらポツリポツリと雨が降ってきてバイクのエンジンを掛けたとたん土砂降り。全速で坂を下るも顔や手に当たる雨粒が痛くてアクセルを絞るしか無く、宿に逃げ込んだ時にはパンツまでぐっしょり、ポケットに入れてたデジカメはあえなく水没なんて時もあった。

与那国島一のインスタ映えポイントがダンヌ浜。
牛舎が近くにあるので匂いは漂ってくるけど写真には映らないので問題なし。
浜はリーフに囲まれてて穏やかだけど、調子に乗ってリーフを超えると自己責任だけじゃ済まない。海保のお世話になりかねないので要注意だ。

ダンヌ浜公衆便所

現行のRAC与那国便は52人乗りJALカラーのスマートな機体だが、ちょっと前までは39人乗りの機体だった。
この39人乗りはまるでバス、最後列は5人掛けになっていた。中央の席でベルトをしてなきゃ最前まで吹っ飛ぶ。前席の背もたれがない席だ。そして29人乗りと言っても予約で全席埋めることはなく、最前列の4席(片側2名の向かい合わせ席)の予約は受け付けず島民の急なお出かけ用に出発寸前まで空けている。なにしろ隣町の歯医者に通うのにも飛行機を使う島だから島民割引も島民シートもあるのだ。

この向い合せ席に一度だけ座ったことがある。急遽帰ることになり、予約無しで当日券を買ったら割り当てられた。
向かい合わせの対面は島のダイビング業界のドン、クセの強い島人で有名な人だ。彼のサービスは利用したことがなく、もちろん彼も私のことは知らないのだが、やたら話しかけてくる。
「ダイビングに来たの?」「海底遺跡って知ってる?」なぜか私は「蝶々を採りに初めて来たんです。」と嘘をついてしまったのだ。
フライトの30分が1時間以上にも感じた。

29人乗りRAC

写真フォルダから旧石垣空港が数枚見つかったので載せておく。懐かしいなー。

旧石垣空港
旧石垣空港
待合室からのこの景色が好きだった


そろそろ、次の訪問地、福岡ラウンドをより楽しむためにいろいろ調べなきゃ。与那国島5日目終了。
夕陽を撮り忘れたのでシャワー室の屋上にカメラ直置きで撮った星空。三脚持ってくればよかった。

夜空

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?