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ラノベ作家が技術書典で同人誌を428部売った話。あるいは、高くて薄い本の挑戦

こんにちは、高専出身ライトノベル作家藍月要です。直近で出したのはこんな作品↓

おねショタ全開の一冊です。

さて、去る9月22日(日曜日)、池袋サンシャインシティにて行われた技術書典7に、出展サークルとして参加してきました!

わからないことだらけだったのですが、ネット上に公開されている諸先輩方の参加レポート記事にとても助けられ、おかげ様でなんとか当日を乗り切ることができました。

そこで、僭越ながら、私も私の参戦記を公開したいと思います。本の企画から執筆、値段付けや印刷冊数、当日の状況や売れ行きなどなどついて、赤裸々に振り返ってまいります。
願わくば、誰かのお役に立てますように。


参加を決めた背景

技術書典については、技術書典3あたりから名前を聞きはじめたことを覚えています。その後、技術書典4に一般参加。主に自作キーボード関連とVtuber関連の本を買い漁りました。最高〜。

この時はあまり出展のことは頭になかったのですが、とあるイベントで知り合った湊川先生※にお誘いいただき、考えるように。

※:わかばちゃんシリーズでおなじみ、湊川あい先生。『わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門』にお世話になった人も多いはず。

技術書典5にまた一般参加し、性懲りもなくキーボード沼を徘徊しながら、「たしかに出展サークルで出てみるのも楽しそうだな〜、出てみるか〜」と極めてライトに決めました。

引越しや転職で忙しかったので技術書典6はパスし、今回の技術書典7に申し込み。ありがたいことに当選し、参戦決定と相成りました。


企画立て・執筆編

書きたいテーマは決まっていました。「理工系のための、読みやすい文章を書く技術」です。本の序文をそのまま貼ります。

どれだけしっかり考えて書いても、「読みにくい」「わかりづらい」と言われてしまう。
もう嫌になる、どうせ理工系の人間には文章力がないんだ——。

なんて思っていませんか?

それは大いなる誤解です。
理工系の人間が持つ文章力は、決して低くありません。ただ、使い方を間違えているのです。

この本の著者は、高専電気科を卒業し工学単科大学へと進学した、バリバリの理工系人間です。
しかし、現在は文章書きの専門職である小説家(ライトノベル作家)として活動。他にも、webメディア(ねとらぼエンタ)でライターをやったり、IT企業でプレスリリースや社外向け記事を書く広報担当として働いたりしています。

小説家としてのデビュー作では、「いかにも理工系っぽい文章で読みにくい」と言われまくりました。
ですが今では、「読みやすい」とのお声をいただくことがほとんどです。

「読みにくい」文章の書き手であった人間が、商業出版のエンタメ世界で血を吐きながら会得した、「読みやすさ」のための技術。
それを、明日から使えるレベルでスッキリまとめてご紹介します。

あなたの文章って読みやすいよね——そう言われる自分になりませんか?

(なお、人間や学問は理系・文系できれいに分けられるものではないとは思っています。これについてはあとがきの方に考えを書きました)

さて、この『内容についてのテーマ』の他に、私にはどうしてもこだわりたい『体裁についてのコンセプト』がありました。
それは、

できるだけ薄い本にしたい!

です。
(ここで言う『薄い本』は、同人界隈で使われる同人誌の俗称ではなく、単純にページ数の少ない本を表しています)

薄い本にしたいのは、たくさん文章を書いてページを多くするのが大変だから、ではありません。
職業が職業なので、たくさん書くのは人よりも得意だし大好きです。それは図らずも、このnote記事の長さにも表れている……。職場では「1万字以下は準備運動のちょい手前」などとこぼして引かれていたりします。
もうはっきり言って、ページ数を多くできるのであれば、書き手としてはその方が楽だとすら思う。

しかも、技術書典の世界においては、厚い本はとても好意的に受け止められています。厚さは熱さ、本が厚いとそれだけ熱い想いで書かれたのだなと一発でわかるからです。もちろん、たくさん情報が載っているお得感もある。
作家やってるくらいには私も活字中毒なので、ついつい厚い本には引き寄せられてしまいます。

しかし、しかしです。厚い本が大正義だと言うのは大前提として置いた上で、それでも私は薄い本にしたい

なぜかと言えば、手にとってもらい、お買い上げいただいたからには、その後なるべく読まれる本にしたいから。

技術書は、学習するための書籍です。ある程度の負荷を読者に要求します
なので厚ければ厚いほど、「これからたくさんの負荷が待っている」と読者に思わせてしまう。もちろんその負荷はとてもポジティブなものですが、それでも負荷は負荷です。
そうなると、どうしても読み始める手は重くなり、後回しになりがちです。

このように、厚い本は単純に読み終わるまでに時間がかかるというだけでなく、厚さがゆえに読み始めるまでにも時間がかかります
つまり、現実問題、傾向として積まれやすいとは言えてしまうはずなんです。

私はそれを避けたい。だから薄い本にしたいのです。『買ってもらったけど読まれなかった』は、やっぱりちょっとさみしいから。
お買い上げいただいたからには、「よし、読もうかな」の気持ちまでサポートする本にしたい

読みはじめようと気軽に思えるほどの薄さで作り、負荷少なくサクサク読み進められるような工夫をこらし、自然に読み終えてもらう。もちろん、価値のある内容を届けながら。
これが技術同人誌執筆における、私の目指すところです。

くれぐれも誤解のないよう書いておきたいのですが、厚い本を否定するわけでは決してありません! 厚い本は厚い本で、一つの間違いない大正義です。厚い本の暴力的なページ数で殴られたいという気持ちを、私は常に持っている。

ただ、それとは別の形の正義として、『読まれやすさのために薄さを纏う』ことも、あっていいんじゃないかなと思います。

というわけで、薄い本とすることをコンセプトに決定。具体的には、50ページを上限としました。

最初にできあがったのは47ページ。印刷する際には4の倍数でなければならないと気づき、宣伝を足して本文48ページとしました。
印刷所に頼むときには表紙などを足して52ページと数えられますが、本文は50ページ以下なのでセーフとしたい。セーフです。セーフ。

ちなみに原稿データは、まず文章をテキストエディタ上で書き、それをwordに流し込んで整形、pdf出力するという形で作りました。
Re:VIEWの使用も考えましたが、「形を整えるときはWYSWYGでやりたい」という気持ちやら導入コストやらを考えて、今回は見送り。

表紙はもうすべてがわからないので、デザインのできる友達に泣きつきました。

作ってもらった表紙がこちら!

表紙画像大

かわいい〜!! 最高〜!!!!


印刷部数決定編

技術書典には公式サイトにサークルチェック機能があります。買いに行きたいサークルリストや、当日の回るべきサークルマップをサイト上で作れる仕組みです。

サークル側からすると、自分たちがどれくらいチェックされているのか、すなわち被チェック数がわかります。これを印刷部数決定時、参考にするわけです。

ただ、印刷の締め切りはおおむねイベント当日の一週間ほど前で、そんな時期からサークルチェックする参加者は少ないです。この被チェック数は、イベント前日あたりで爆発的に伸びる代物となっています。
なので、当日までにどれくらいこの被チェック数が伸びるかを予想する必要はあります。

印刷所に入稿する際の被チェック数は、以下のように200あたりでした。

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インターネッツ上に優秀な予想屋さんがいらっしゃったので、その方のツイートを参考にしたところ、おそらく最終的な被チェック数は500ほどになりそう。

さて、では500部刷ればいいかと言うと、やはり話は違ってきます。チェック数500はあくまで気になってくれている人の数であって、実際に買ってくれる数とイコールではないはず。
もちろん逆に、「チェックはしなかったけど当日見かけて気になって購入」というパターンも織り込むべきなので、上方修正する要因もあるにはあります。

しかし今回に限っては、下振れする要因の方が多いと踏みました。

あげられるのはまず、全体の出展サークル数が前回450→今回650と、グッと増えていること。さすがにこの比率で参加者も増えるというのは考えられないので、競争率が大きく上がったことになります。
また、ここまでいくと、「チェックはしても当日行けなかった」とか「お財布ちゃんがもう息してないの……!」という状態も起きうるラインだと思います。
加えて今回は、池袋サンシャイン2階・3階を使っての、初となる2フロア開催であることも考えなければなりません。人の行き来に時間的コストがよりかさむようになったのは、やはりマイナス要因です。

それから、詳細は後述しますが、私の本は他のサークルさんのものに比べ、少々高めな値付けとなったことも絶対に考慮しなければなりません。

これを踏まえた上で考え、チェック数に対して0.7掛けくらいでちょうどいいんじゃないかな〜と結論。500×0.7で350です。

じゃあ350部刷ればいいかというと、また話は違ってきます。

というのも、調べたところ、技術書典は既刊もよく売れるイベントとなっているらしいのです。
そして、たとえば新規に100部刷るよりも、400部刷るときにプラス100部した方が(500部にした方が)、はるかに安くあがります
私のお世話になった印刷所『ねこのしっぽ』さんでは、表紙カラー本文モノクロB4サイズ52ページで100部新規に刷ると、47,800円。対し、400部印刷と500部印刷の差分は、たった10,900円で済みます。

一回こっきりではなく、また新しい本を作っていつかイベントに出ようと考えるなら、既刊分として多めに刷っておくに越したことはないのです。

また、私はたまに高専関係のイベントなどにお呼ばれすることがあるので、そのときに配る用のものも確保しておきたい。

というわけで、350部を当日頒布と見込んだとき、400部だと残り50部でちょっと足りないので、500部刷ることにしました(頼んだセットでは100部刻みでしか刷れなかった)。
なんと、結局500部に戻ってきた。なんやねん。

内訳としては、

当日頒布見込み数350+既刊用在庫120+イベント用30=500部

みたいな感じにしようと予定。

なんて、あっさり500部刷るとか言っていますが、同人イベント初参加で500部刷るなどというのは正気の沙汰ではないなと思います。
いっかなそういった前例もある技術書典と言えど、いざ自分が当事者となると胃が痛い。
せめてこれが共著とかだとチームの勢いで「やっちゃう〜!? 刷っちゃう〜!?」みたいにいけると思うのですが、個人だとただただ怖い

九月の頭くらいではこんな風に言っていました。まさか本当に500部刷ることになるとは……。

なんかちょっと思ったのですが、小説の仕事でお付き合いさせていただいている編集部さんも、私の作品についていくつ刷るか決めるとき、こういった葛藤をしてくれているわけです。もちろん、桁の違う話で。

あの、なんていうか、本当にありがとうございます……。


価格決定編

お値段はどうしようか。これは、印刷部数同様、自分の中で二転三転しました。

最初は、700円か800円で出そうと考えていました。

しかし、

こんな風にイマイチ当日の状況を想定できていない藍月に、とても親切な方が、

と教えてくれました。この後も「初参加でそのチェック数は心配だから」と、すごく丁寧にいろいろ情報をくださって、本当に大変助かりました。ありがとうございました……!

終わった今になって思い返してみても、めちゃめちゃ重要なアドバイスでした。なんでこんな親切な人がいるのか、ちょっともうわかんないです。

また、藍月を技術書典にお誘いくださった湊川先生も、

このように気にかけてくださいました。なんなのこの界隈……。人格が……人格がきちんとしている……。

yagitchさん、湊川先生、本当にありがとうございました!


話は価格のことに戻るのですが、このように、想定していた以上のご来客が考えられるので、可能な限りオペレーションを簡略化したい。具体的には、お釣りが発生するような値付けは避けたい。
そんな事情が発生しました。

もちろん私にもっと経験があれば問題ないのですが、とにかくこれが初めてのサークル参加なのです。今回に限っては、値付けの最適化よりもオペレーションの簡略化が優先です。

↑当日をエンジョイしようみたいな考えが消え、とにかく周りにご迷惑をおかけすることなくイベントを終えようという意識に切り替わったときのツイート。

選択肢としては2つ。
① 小銭のお釣りがでない1000円。
② 簡単なお釣りで済む500円。

わりと迷わずに、①の1000円を選びました。よりオペレーションの簡単な方を選んだというのもありましたが、

自分の書いた本は、このイベントにおいて1000円で売っていいものだ

という、制作物に対するプライドの方が要因としては大きかったです。

本文48ページの本が、1冊1000円。
通常の同人イベントならいざ知らず、厚くてそのわりにお安い本も多々ある技術書典において、ページ数と値段だけで言えば、これはまちがいなく割高な部類でしょう。

しかし、本の価値は、ページ数と価格の比率などでは決してない。

もし、この本に書いてある技術を習得する前の自分が、この値段でこれを買ったならどう思ったか。
すぐに答えは出ます。絶対に、「めちゃくちゃいい買い物した!」と喜んだはず。
そういったものを書いたのだと、すくなくとも私は自負しています。

なので、堂々と1000円で勝負しようと、高くて薄い本で戦おうと決めました。

……なんてかっこうつけていますが、実際、前日の夜なんて気が気じゃありませんでした。
「うす! たか! 買うのやめよ〜」ってみんなに思われて全然売れないんじゃない!? でももう500部刷っちゃったよ! お釣りの小銭も用意してないから値段も下げられないよ! どうしよう!! 病む!!
的な不安でもういっぱいです。

振り返ってみて、無茶したな〜と思っています。後悔はないけど。

ちなみに件の本、現在BOOTHで販売中でございます(宣伝)。よろしければぜひ。
前述した通り、ちょっと高くて薄い本です。でも、決して損はさせないつもりです。


孤独の準備編

なにが辛かったって、一番準備が辛かった。当日のサークルスペースを作るための準備です。

お釣りをどうしようとか、どんなレイアウトで飾ろうとか、そのためにはどんなアイテムが必要だよねとか。

な〜んかすさまじく孤独なんですよね! 一人でやると!

私は、一人でなにかをするということについて、基本的にはまったくストレスのないタイプです。作家なんてそんな人間ばかりじゃないですかね、わかんないけど。

しかしそれでも、サークルスペースのための準備を一人でしていたときは、泣きたくなるほどの孤独に襲われました。

病みのツイートです。

そもそも、空間把握能力がとっても低いので、飾り付けとかそういうのも苦手です。どうしたらいいのかわからない。

こちらの記事を舐めるように読んでは、ほとんど同じものを買って持っていくことにしました。大変参考になりました、ありがとうございます。
先人の知恵って偉大だ……。巨人の肩に乗っている。


当日設営編

方向音痴ガチ勢なので、こちらの記事を参考にします。東池袋駅から行った方が近かったんですね。今まで普通に池袋駅からえっちらおっちら歩いてた……。

売り子を頼んだA君と、東池袋駅で合流。

A君はなぜか、ワイシャツにスラックス、胸ポケットにはペンが数本と、完全に仕事場スタイルで来ました。

いや、なんで……? 「ごめんやっぱ今日これから仕事入っちゃった」とか言われるのかと思った。
ちなみに、答えは「お金を扱うから」だそうです。なるほど?
(さらにちなみに、後からもうちょっと詳しく話を聞いたところ、「技術書典でググったら、スーツ姿で来ている人たちの写真も出てきたし」とのことです。ピンポイントでそんな少数派の写真引き込むことってある?

会場に着き、サークル待機列にしばらく並んでから、無事に入場。時計を確認すると10時10分だか15分だかで、11時の開場を控えて思ったより時間がありません。

お隣さんの両方にご挨拶し(とても優しくて素敵な方々でした)、荷物を開けていざ設営。A君と二人でがんばります。

ごめんなさい、嘘を吐きました。実際には、

A君「どんな風に設営する?」
藍月「もう全然わかんなくて、とりあえずこんなの買ってきたんだけど……」
A君「わかった、じゃあこれとこれでこう飾ろう。こういうのはある?」
藍月「あったような……」
A君「おっけ、それならこうしよう」
藍月「うん……」

このように、役に立たない藍月の代わりにほぼA君がやってくれました。ありがとね……ほんと……。

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無事に設営がほぼ終わったころの様子。写っているのはA君。他のサークルさんとかと比べるとシンプルな形ですが、接客のやりやすさを最優先した(A君が最優先してくれた)結果です。

しかし改めて見ても、ワイシャツ姿に通行証かけているA君の係員感が半端ない。もしくは、現場の様子を見にきた本部の社員っぽい。

なお、このスペース、後ろに柱があってちょっとだけ狭かったのですが、隣の方がすごく優しくて「荷物、こっち置いてもらっても大丈夫ですよ!」なんて言ってくださった。優しい人しかいないのか技術書典。


当日販売編

開場すると、ほんとうにたくさんの方々が来てくださいました。

11時から13時までがピークではありましたが、ブースに寄ってくれるお客さんの波は終了の17時までずっと途切れませんでした。

1000円の頒布物しかない超簡易オペレーションのおかげで、受け渡しは大変スムーズにいったと思います。もし次に参加するなら小銭のお釣りありな値付けでももう大丈夫でしょうが、初めてである今回はやはり、この簡単さに助けられました。

実際、正直に言って、値段の高さと本の薄さで購入を見送られた方々はかなりの数いらっしゃった気がします。
しかし、それでも買ってくださった方々がたくさんいらっしゃったこともまた事実です。
とてもうれしい!

また、今回の経験ではじめて知れたことが、たくさんありました。

例えば、見本誌開かずにノータイムで「ください!」って決め打ちしていただけるうれしさと、じっくり見本誌読んで吟味に吟味を重ねた上で「……んんん、これは…………買います!!」と言っていただけるうれしさ、それぞれが別の種類であることとか。自分の中で、違う喜びとして解釈されました。
同人誌即売会に出ないと知ることのできない気持ちです。大事にしよう。そして創作に活かそう。

それとは別にめちゃくちゃうれしかったのは、自分の小説の読者さんが何人もいらっしゃってくれたこと!
わーい!!!!!!!
「楽しんで読んでます!」「大好きです!」とか面と向かって言っていただける機会、なかなかないので、もう気絶しそうでした。今思い返しても鳥肌が立ちます。うれしい! こんなに幸せなことがありますか……。
来てくださった方々、ほんとうにありがとうございました!!!

なんて感動していると、A君の様子がおかしい

A君「いらっしゃいませ、お見本よけれ、ば、……あれ!? あの…………え、○○君じゃない!? ○○君だよね!? 俺、Aだよ! ほら、T高校で同級生だったAだよ!」
お客さん「あ、やっぱりそうだよね! A君だよね! うわ〜ひさしぶり!」
A君「ひさしぶりー!! 十年ぶりくらいだね〜! まさかこんな偶然が! いや俺は全然IT業界の人とかじゃないんだけど、今日は幼なじみの付き添いでさ——」

濃いめのサブストーリーを唐突に展開するな。そういうのは伏線を張りなさい、伏線を。たくさんお客さん来てくれたけど、高校の同級生が来るなんて確率何%だ。

お客さんへのご対応はどうだったか。これは弊サークル、割とよかったんじゃないのかななんて自負しています!
コミュ力ゲージが残っているうちはコミュ強っぽく偽装できる藍月と、ナチュラルボーン・コミュ強のA君という布陣だったので、そこそこ親しみやすさを演出できたのでは!
終始にこやかにご対応できました。そもそも、普通にずっと楽しかったし、来ていただけるのうれしかったし。
なお、A君の「よろしければお見本どうぞ」のタイミングが完璧すぎてちょっと怖かったです。売り上げに大きく寄与してた気がする……。

そう、怖いと言えばA君、

「消費者心理を考えると……陳列もうちょっと変えるか……? 声かけるタイミングも……。あ、そうそうちょっと試したいんだけど、相手が二人組で、特に男女のときはさ——」

という風に、ひたすら『より効果的に販促するには』を考え続け試し続けていて、時間の経つごとに動きがどんどん最適化されていきました。やばいヤツを呼んでしまったのかもしれない。同人即売バーサーカー。

そんなことをしているうちに、頼んでいたもう一人の売り子さん、B君も来てくれました。ありがてえ……。
結果的には三人同時に必要なタイミングはなく、B君には暇をさせてしまう時間が多くて申し訳なかった……のですが、勝手なことを言えば、それでも居てくれてすごくありがたかった。

やっぱり、三人居ると自分がいつ抜けても大丈夫なので、心理的にものすごく楽です。余裕が出ます。
一度にたくさん来ることはなくても、ブースに来てくださる方がとにかく途切れないので、二人体制では後半キツかったはず……。感謝です!

友人たちの協力のもと、無事、午後五時の販売終了時刻を迎えました。
結果は、

物理本:382部
電書:46部
計428部

でした!

物理本が382部というのは、前述の想定350部よりも上に振れました。非常にうれしい!
重ねて言いますが、「薄いし高いなー」と見送られた方はたくさんいたように感じます。そして、それでもこれだけの方が買ってくださいました。

今回の私の賭けは、成功と言ってしまっていいかなと、個人的には思っています。やった〜!!


なんて浸っている場合ではありません。撤収作業がはかどらない……!

藍月「ごめん、ちょっと待ってて……。スーツケースに荷物が入り切らない……あ、他のサークルさんもうみんなほぼ撤収してる……? まずいまずい……! でも入らない!」
A君「大丈夫、詰める順番変えよう。いったんちょっと出して」
B君「こっちのポケットも空いてるから、小さいのはまとめて詰めちゃおう。で、これはこっちで——」
A君「こっちがこうで——」
藍月「かたじけねえ……かたじけねえ……おおお、ほんとうにちゃんと収まっていく……! スーツケースおっきくなった?」

大学時代『探検部』なるサークルの活動の中でパッキングスキルを鍛えまくったA君(仲間内でも定評があるらしい)と、異様に高い工作スキルで気がついたらなんか作ってるB君という強い布陣のおかげで、撤収も無事に済みました。

結局、最後の最後までA君とB君に頼りっぱなしでした。かたじけねえ……。
YU-JYO!

申し込みした当初は、なんならソロ参加でも大丈夫だよね? とか思ってたんですが、絶対に大丈夫じゃなかったですね……。

ちなみに、残った物理本は、大半をBOOTHの倉庫へ入れさせていただきました。これすさまじく便利ですよね……! 天才が作ったの?

帰りは、A君・B君と打ち上げやっていきました。なお、打ち上げといえば肉と相場が決まっている。

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美味しかったです。疲れた身体に効く。


参加してみて

孤独な準備期間なんて特に、「もうやだ〜!」と後悔していたのですが、終えてみると「やっぱり申し込んでよかった!!」と思ってしまいます。

もちろん反省点もありますが、次に活かそうと思える類のものです。

こうして奇しくも、技術書典にサークルとして出たはじめてのラノベ作家になりました(たぶん。他にいらっしゃったら教えてください)。コミケとかじゃないあたりが、高専出身者の面目躍如といったところでしょうか。

学べるものも得られるものもたくさんありました。とにかく充実の時間でした。それに尽きます。

具体的な時期とかはまだ未定ですが、そのうちまた出られたらなと思っています。


本について、いただいた感想を一部ご紹介

「こんな風に喜んでもらえたらいいな」と思っていたそのものズバリの感想を、もうバンバンいただけている……! 著者冥利に尽きます……!


BOOTH版をもう一度貼っておこう(宣伝)。思いのほかご購入いただけていて驚いています。
ちなみに物理本版もございます。

こちらは、まだBOOTHさんの方で入庫が終わっていないようなので、お届けすこし先になりそうです。

お読みいただきありがとうございました! 藍月要でした。

みんなのご支援まってるにゃん!!