五輪閉会式雑感
出汁の効いていないごった煮
五輪の閉会式を録画で見た。早送りしながらで全てを見た訳ではないが、多くは実時間で見た。
全体の感想は、出汁の効いていないごった煮というか、ピンボケの五目チャーハンというか、要は美味しくなく、何を伝えたいのか全く分からなかった。〈メッセージ性〉がない。
アイヌ民族の踊り、沖縄のエイサー、秋田と郡上八幡の盆踊り、東京音頭。ストリートパフォーマンス。モダン・ダンス。クラシックのソプラニスタ(男性ソプラノ)歌唱。超長い橋本聖子、バッハ両会長の自画自賛演説。大竹しのぶと子供達の意味不明のお芝居。(あとで新聞を見たら、岩手出身の宮沢賢治の詩が使われ、復興の象徴だという。そんなことわからなかった)。パリ市の宣伝、予告編としては良くできていたが、東京五輪とはほぼ無関係だ。
思い出せるものを並べてみたが、これらをつなぐコンセプトというか、主張というか、、うまく言葉にできない。というか、ないのだ。
〈共通のことば=メッセージ〉がない
一つひとつの要素はそれなりに計算され、真剣に演じられていた。「万華鏡」であれば個々にはバラバラな要素でも全体としてはまとまった綺麗な映像に映るのだが。その鏡というか設計というか、背後の枠組みというか思想というか、会場に集まったないしテレビ中継やネット経由で観ている万国の人々に、それぞれの言語や文化を超えて伝わるであろう〈共通のことば=メッセージ〉が浮かび上がってこない。
『復興』も『コロナに打ち克った』も『平和』も『多様性と調和』も沁みてこない。
橋本会長の演説は日本語で、会場にいた各国選手たちには通訳はなかったようだ(字幕も?)。
東京都民として少なくない額の税金を負担してる訳なので、少しは肯定的な要素を見出したいのだが、正直思いつかない。
2つの台風が直撃せず、酷暑も少なくとも昨年よりいくらかマシで、豪雨も地震もなかったのは僥倖だった。ソフトボール、野球、柔道、女子バスケットボール、サッカー、卓球、、見るのは嫌いではないので、個々の競技はそれなりに面白かったし、日本のチームもよくやった、とは思う。ただしホームアドバンテージもすごく強かったはずで、隔離されて充分なコンディショニングができなかった海外からのアスリートたちのハンディは否定できない。それもホスト国のメリットで、次回のフランスも前回のブラジルも同様だろうが、コロナ禍の制約は従来以上にホスト側に有利を与えたのではないか。
というわけで、この空騒ぎによって失われたものが何か、改めて問わなければいけないと思う。
日本の社会にとって、8月は歴史的に重要な多くの日付が重なっている。それが五輪のために薄まり消されないようしないといけないな。
2週間後に始まるパラリンピック、どう観ようかと思いつつ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?