飛び跳ねる救急患者

日本酒バーのカウンターでお客様にお聞きした話です。
2月21日のTwitterSpace「第11回會津蔵武の怖い部屋」で私(店主カズ)が話しました。

私は医療従事者です。実は母も同じ職業をしています。
この話は、その事件があったその日に、顔を青くして帰宅した母親から聞いた話です。

ある交通事故で患者さんが救急に運ばれて来ました。

その人は血圧も低くて明らかにショック状態で意識がない状態であるのに、いきなりその身体を起こして床に足をおろし、折れていない方の片足で立ち上がって、両腕を前に突き出しました。そして、手首はだらりと下げるのです。いわゆる幽霊ポーズかキョンシーのように。
もちろんその状態で、目をつぶっていて意識がないのははっきりしています。なのに、その片足のまま飛び跳ねて、スタッフを追いかけ回したのです。

母はその騒ぎをひととおり経験して、夜勤を終えて帰ってきました。

後日、その患者さんは一命を取り留めることができ、気がついた患者自身の口から

車で狐を轢いた。

というつぶやき出て、その場にいた看護師一同が凍りついたということです。

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この「怖い話」は會津蔵武のカウンターでお客様にいただいた話です。話してくれたお客さんからは、掲載や怪談発表の発表の許可をいただいています。また、このお話は、怪談蒐集家ほしじろさんに怪談の原案として提供させていただいています。
ほしじろさんには怪談朗読の原稿として提供する許可もいただいています。◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

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