「こんな夢を見た。」と、ぼくは語り始めた。
「こんな夢を見た。」
夏目漱石『夢十夜』。阿刀田高『夢一夜(眠れなくなる夢十夜)』。悪夢に悩まされているぼくが、悪夢を読む。なんて、滑稽なんだろう。と思ったのは、その場でぼくだけだけど。
初めて、朗読会なるものに参加した。通っている古本屋さんの主催だ。ぼくや店長さんも含め、6人ほど。閉店時間を過ぎ、一時間半が経ったところで始まった。
「怖い話」をおのおの持ち寄る。(怪談じゃなくても可。)ぼくは『夢十夜』。自分でも「ベタなものを選んだなあ」と思っていたけど、読みたかったん