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半月

【はじめに】

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月齢コンピレーション

半月


愛楽ゆか


◑千葉 湊(ちば みなと)       医学部

●結木 心(ゆうき しん)       幽霊

●槙野 秀(まきの ひで)       心の同級生、工場勤務


        半月の夜。
        小さな公園。東屋。明かりが灯っている。

        湊、東屋の椅子に座っている。
分厚い医学書や資料を持ってきている。
        その中から作文用紙を取り出し、読み始める。

湊   「『大人になったぼくへ』。六年二組、千葉湊。大人になったぼくへ。元気にしていますか。ぼくは元気です。ぼくは今十一才です。小学校六年生で、早生まれなのでまだ十二才ではありません。でももうすぐ十二才になります。小学校を卒業する前には十二才です。十二才のぼくは中学校に入学します。中学校に入学したら、勉強を一所けん命にがんばります。一生けん命ではなくて、一所けん命だと最近知りました。みんな一生けん命と言っているのに、なぜ一所けん命なのか、ぼくにはわかりませんでした。だからぼくは先生にどうして一所けん命なのかを聞きました。先生は『それが正しい日本語だからね。』とおっしゃいました。両親に聞くと『そういうものだ。』と言われました。姉に聞くと『そんなことも知らなかったの。』と言われました。ぼくには知らないことがまだまだたくさんあります。大人になったら、いろいろなことを知って、かっこいいぼくになっていると思います。だからまずは中学校の勉強をがんばります。」

        湊、続きを読み進める。

湊   「大人になったぼくは、何をがんばっていますか。」……「ぼくの夢は叶いましたか。ぼくの夢は」

        心、いつの間にか湊のそばにいる。

心   なに、してるの
湊   んー?

        湊、心、顔を見合わせる。

湊   うわぁっ
心   えっ
湊   あー、びっくりした
心   そんなに?
湊   そんなに
心   ごめん
湊   いや、いいんです。僕も急に大声出してすみませんでした
心   うん、びっくりした
湊   そんなに?
心   そんなに……いや、それほどでも……
湊   そこは、「そんなに」でいいんですよ
心   そっか
湊   そうです
心   そっか……
湊   心さん、どうしてここに?
心   え?

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舞台を創ること以外にも創作がしたい、これまで舞台で表現してきた物語や世界をもっと知っていただきたい、楽しんでいただきたい……そんな思いから始めたnoteです。 細々と更新しておりますが、少しでも楽しいをお届けできていれば幸いです。 もしよろしければ、サポートよろしくお願いします!