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サイレントキラー、生活習慣病。


すぐそこにある生活習慣病。

生活習慣病は、皆さんもご存知の通り、
日々の生活習慣が原因で起こる疾患の総称です。
加齢に伴う成人病という考え方ではありません。
具体的には、糖尿病、高血圧、脂質異常症、
狭心症や心筋梗塞などの心臓病、
脳血管障害や脳卒中、高尿酸血症などが挙げられます。
実は、喫煙や食生活などに起因することが多いため、
「がん」も生活習慣病と言える部分があります。

生活習慣病は、
日本人の生活水準の向上に比例するように増えてきました。
豊かな食生活、肉を中心とする食生活の欧米化、
ITやモビリティの進化など。
摂取するエネルギーが大きすぎる一方で、
慢性的な運動不足により、消費されるエネルギーは少ない。
このアンバランスな暮らしこそ、
生活習慣病を増長させる要因です。
現代人は、皆さんがこのような生活習慣ですから、
中高年にもなれば、多くの皆さんが
何らかの生活習慣病をもっているといえます。

生活習慣病の代表格でもある糖尿病は、
予備軍を含めると、日本人のおよそ5・6人に1人といわれ、
いわゆる国民病です。
このことから、生活習慣病の全体数を考えると、
もっと多いことが推測できます。
また、同じ方が
いくつかの疾患を抱えている可能性も否定できません。

怖いのは、生活習慣病自体ではなく。

生活習慣病のリスクには、
偏った食事、運動不足、喫煙、
過度の飲酒、過度のストレスなどが挙げられます。
これらが積み重なると発症のリスクが高くなっていきます。
生活習慣病の多くは自覚症状がほとんどないため、
気づかないうちに進行し、
脳や心臓、血管など体の各部にダメージを与えていきます。
そして、健康のコントロールが
さらにうまくいかなくなる負の連鎖に陥ると、
命やその後に関わる病気を引き起こすこともあります。
例えば、高血圧症から動脈硬化が進み、
大動脈解離や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞を引き起こしたり、
糖尿病から合併症や人工透析に進んだりといった展開です。

生活習慣病は化ける。

「自分は高血圧だ。糖尿病予備軍だ」と
健康診断の結果などから解っている人でも、
特に異常がないと、放置してしまうかもしれません。
しかし、放置はいけません。
健康診断でもらった紹介状を持って、
早めに医療機関を受診してください。
そこまでの結果でなかった方も、
自宅で血圧を測定したり、
さまざまな異変に気づくことが大切です。

「何かここのところ血圧が高いな」と
気づいたりしたときには、
なるべく早めに医療機関へかかることをおすすめします。
高血圧だけだと思っていた体には、
ほかにも疾患が隠れているかもしれません。
今は異常がないから大丈夫だと自分で判断することなく、
なんらかの危険なサインを受け取っているのであれば、
ぜひ自分の体を大切にする行動をとってください。

先ほども言った通り、
生活習慣病は目立った症状がないままダメージを与えていき、
進行すれば重大な疾患に至る可能性もありますので、侮れません。
生活習慣病が「サイレントキラー」と言われる由縁です。
早期発見と早期治療に越したことはありません。

一無、二少、三多に加えて、健康診断。

最後に、生活習慣病予防のコツです。

生活習慣病予防には、
「一無、二少、三多(いちむにしょうさんた)」が基本です。
「一無」は煙が無い、つまり禁煙です。
「二少」は腹八分目の食事と控えめな飲酒のこと。
「三多」は、多く動き、多く休み、
多く社会と関わっていくことを示します。
一無、二少、三多に加え、
私からは年1回の健康診断をお勧めします。
定期的な健康診断によって変化をみていくことで、
早期に異常を見つけられる可能性があるからです。

それから、年末年始は特にお酒を飲む機会が増えますよね。
適量、適量といって、
ついつい楽しい宴席では飲み過ぎてしまうものですが、
ここでもう一度適量を知っておいていただければと思います。

日本酒ですと1合、ビールでは、ロング缶1本。
ワインならグラス2杯、ウイスキーはダブル1杯です。
女性はアルコール分解速度が遅いため、男性の半分~2/3程度です。
それから、今日は少しお酒を多く飲んだと思ったら、
明日は一日やめるなど、体を休ませることも大切ですね。

健康に気をつけて、よい年を迎えてほしいと思います。
来年も健やかに、元気で長生きを目指しましょう。


解説:相澤健康センター 副センター長 髙木健治

相澤健康センター エフエム長野oasis79.7