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女性に最も多い、乳がん。


乳がんのピークは、人生に二度ある。

乳がんは、
2019年のデータでは、女性のがん罹患率で最も多く、
年間約9万7千人もの方が罹患しています。
また、生涯で乳がんを患う女性は、
9人に1人と推定されています。

30代から急激に罹患率が上がり始め、
一度目のピークは40代から50代。
それ以降も減少を続けるわけではなく、
60代から70代で、
さらに大きな二度目のピークがあります。

罹患率は高いのですが、死亡率自体はそれほど高くない。
進行もゆっくりの場合が多い特徴もあります。

では、どんな人が乳がんにかかりやすいのか。

乳がんの発生には、
女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっています。
そのことから、
初経年齢が低い、閉経年齢が高い、
出産経験がない、初産年齢が高い、
授乳経験がないといったことが、
乳がんのリスクを高めると言われています。

自分の親や子どもが乳がんにかかったことがある場合も、
乳がんのリスクが高いことが分かっています。
そのほか、
お酒、閉経後の肥満、運動不足といった生活習慣や
糖尿病などもリスクにつながります。

乳がんの怖いところ。

乳がんは、
死亡率がそれほど高くなく、ゆっくり進行する場合が多い、
と書きました。ところが、
30歳から65歳までだけを見ると、死亡者数はトップなのです。

乳がんの治療法である、乳房の切除も気になるところです。
がんだから「切ればいい」というだけではありません。
そこには、皆さんが大事にしている
身体に変化が生じる問題があるためです。

乳がんには、乳房を意識する習慣を。

乳がんの主な症状は、乳房のしこりです。
乳房にくぼみができたり、乳頭などがただれたり、
左右の乳房の形が非対称になったり、
乳頭から分泌物が出ることもあります。
ですから、お風呂に入るときなどに、
見て、触って乳房を意識する生活習慣、
「ブレスト・アウェアネス」を大切にしましょう。

自分の乳房を観察しているうちに、
症状に自分で気付く場合もあります。
症状に気づいた場合は、
早めに乳腺外科などで診察を受けましょう。
そして、自分で見つけるより早く確実なのが、
乳がん検診です。

自分にあった乳がん検診を探そう。

乳がんの検査には、
目で見て確認する「視診」と、触って確認する「触診」、
X線で撮影する「マンモグラフィ検査」、
超音波を当てる「乳房超音波検査」があります。

マンモグラフィは、乳房専用のX線検査です。
乳腺の重なりを少なくするため、
2枚の板の間に乳房を挟んで圧迫し、
薄く伸ばして撮影します。
視診と触診で発見しにくい小さな病変や、
超音波検査では発見しにくい、
微細な石灰化を見つけることができます。

ただ、マンモグラフィの画像では、
病変や石灰化だけでなく、乳腺も白く写ってしまいます。
若い方に多いのですが、乳腺の密度が高く、
マンモグラフィで白く見える部分が多い状態の高濃度乳房では、
病変があっても見つかりにくいことがあります。

超音波検査は、
乳房内の病変の有無、しこりの性状や大きさ、わきの下など、
周囲のリンパ節への転移の有無を調べることができます。

超音波を発生する超音波プローブを乳房の表面にあて、
超音波の反射の様子を画像で確認します。
超音波検査では、乳腺は白く、乳がんの多くは黒く写るため、
マンモグラフィで高濃度乳房とされる場合では、
超音波検査のほうが乳がんの発見に役立つことがあります。
また、放射線による被ばくがないため、
妊娠中でも検査が可能です。

「痛いから、乳がん検診を受けくない」
という方もいますよね。

確かにマンモグラフィは、痛みを伴う場合があります。
それでも、十数秒のマンモグラフィで、
早期に乳がんを発見できればいいと思いませんか。
最近では、従来のマンモグラフィよりも精密に検査できる
3Dマンモグラフィも登場しています。
高濃度乳腺の方やお若い方は、
乳房超音波検査から検討してみてはいかがでしょう。

来月10月は、
乳がんの早期発見と治療を目指す「ピンクリボンキャンペーン」です。
元気で長生きのために、
10月は乳房のこと、いつもより気にしてみてください。


解説:相澤健康センター 医師 須藤裕里子

相澤健康センター エフエム長野oasis79.7