前田祐二さん 講演会 2/2
④事業は外を見てつくるか、中を見て作るかの2つの作り方がある。まず、「外を見て作る」は今流行りのモノ・コトがなぜ流行っているのかやこれから伸びるであろう業界を分析して事業を興すということだ。つまり、市場規模が広がっているところでつくるのが1つの方法。もうひとつの「中を見て作る」は例えば自分が許せないことや納得がいかないこと、願望などをもとにそれを改善したいという自分の内側の想いから事業を作る方法だ。前田さんの場合、努力が報われない世界がどうしても嫌で、それを変えるためにSHOWROOMを作ったそう。そしてSHOWROOMの手掛けるライブ配信は今後の市場規模も5Gにより爆発的に伸びていくだろう。このようにモチベーション×市場で作ることが最善だが、そう甘くはないのでまずはどちらを優先させるかを考えることが大切である。また、上手く行っている人は完璧主義ではなく、未完成なものを世の中に出している。とにかくやってみて、そこからどんどんブラッシュアップしていく。エンタメや情報発信などは特に向いているが、逆に医療とか防災はそうはいかない。何となく薬を売って死亡すれば大問題だ。だから、普通のビジネスの分野では、たくさん失敗してどんどん改善していくことが大切なのだ。
⑤ようやくライブ配信の黎明期は終わった。ライブ配信はサービスとしては20年前からあって、ユーストリームやニコニコ、ユーチューブ、ツイキャスへと続いた。その中の仕組みであるギフティング(直接課金)が世に出始めたのがSHOWROOMのリリースされた5年前から。ライブ配信にはステップがあり、ファンが100~200人いれば、ご飯が食べられるようになった。SHOWROOMだけで、1000~2000人のライブハウスを埋めている素人もいるし、芸人が箱ライブを出来るようにもなった。これが黎明期、ステップ1である。ステップ2は、マスの世界で人気になるということだ。嵐や、福山雅治のような本当にみんなが知っているライブ配信者はまだいない。しかし、人々の視線がテレビからモバイルへと移行する中で、ライブ配信の需要は今後更に高まり、自然とライバーも更に増える。必然的に素人ライバーの割合が多く、プロの世界ではないため、工夫を凝らして他者と違うことをやっていれば人気を得るのは容易い。しかし、人気と実力は切り離して考えることが重要だ。それらは必ずしも比例関係にない。人気があるからといって、努力を怠るようではすぐに淘汰されていく。入れ替わりは激しいが、このマスの中で人気のあるライバーがインフルエンサーとなり、現在の芸能人のような立ち位置へと変わっていく時代が近い将来必ず来るのだ。
講演を聞いていて、前田さんは分析と仮説に長けているのがよくわかった。それらは幼少期の路上ライブで生活をしていたときに身についたのだろう。数多くの路上アーティストがいる中で、自分の立ち位置はどこだろう?魅力はなんなんだろう?と日々分析し、オリジナル曲よりもまずはカバー曲を歌ってお客さんの足を止めたあとにオリジナルを歌えばより印象に残るのではないか、と仮説を立てて検証していくことでより再現性を持たせることができるのだ。
刺激になる、実に面白い2時間であった。
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