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【イベントレポート】企業の成長を支えるバックオフィスの作り方〜IPO準備、事業拡大のための最適解

先日、キャディ株式会社 伊藤様、Kudan株式会社 飯塚様、JAPAN FAS株式会社 横林様にご登壇いただき、「企業の成長を支えるバックオフィスの作り方」をテーマにお話いただきました。

本記事では、当日の様子を(ほぼ)書き起こし形式でお届けします。
バックオフィスの採用や組織づくりに課題やご関心をお持ちの方、ぜひご一読ください!

 

スピーカー

伊藤達也(キャディ株式会社 経営管理部マネージャー/公認会計士)
https://corp.caddi.jp/
大学在学中に公認会計士試験合格。監査法人にて金融機関の監査およびIPO支援に従事。その後ベンチャーへ転職し、CFOとして資金調達・管理・IR業務・海外子会社のマネジメントを担当。その後は弁護士ドットコム入社し、経理・監査法人対応からシステムリプレイスや予算管理・事務所移転・販売管理など幅広くコーポレート業務に従事。現職キャディでは、コーポレート全般やファイナンス業務に従事。

飯塚健(Kudan株式会社 取締役CFO)
https://www.kudan.io/
大学卒業後、2005年12月、新日本監査法人へ入所。2014年10月、マネージャーとなりITセクターを中心に未上場ベンチャーのIPO支援に従事。2015年6月に取締役CFOとしてKudanにジョイン。2018年12月、東証マザーズ上場。

横林範明(JAPAN FAS株式会社 エグゼクティブディレクター)
https://japanfas.co.jp/
新卒から20年間、IPO支援に従事。累計1,000社超のソーシングを経て80社超のIPOを経験。ディスクロ印刷、監査法人、IPOコンサルを経て、2019年にJAPAN FASにジョイン。現在は人材紹介を通じて上場準備ベンチャーのバックオフィス構築支援に従事。

ファシリテーター

藤本了甫(株式会社AIトラベル 取締役COO)
https://aitravel.cloud/
2007年、大学卒業後に製造業に未経験で経理部原価計算担当になる。その後、外資系・日系・スタートアップでコーポレートを中心に業務改善を行ってきた。スタディプラス株式会社管理部部長を経て、2020年AIトラベルにジョイン。


登壇企業プロフィール
キャディ株式会社
製造業の受発注プラットフォーム「CADDi(キャディ)」は、独自開発の原価計算アルゴリズムに則った自動見積システムによって、発注者と品質・納期・価格が最も適合する加工会社を選定し最適なサプライチェーンを構築し納品まで責任を負う。従来2週間以上かかっていた相見積の負担や複数サプライヤーの管理工数を削減できるうえ、低価格かつ高品質な加工品の安定発注が可能。100年以上イノベーションが起きてこなかった国内120兆円の調達領域における非効率をテクノロジーを用いて業界構造から抜本的に変革し、製造業全体のDXを推進するリーディングカンパニーを目指す。

Kudan株式会社
コンピュータやロボットに視覚を付与する人工知覚(Artificial Perception)アルゴリズム・組込要素技術の研究開発を行う英国発グローバルベンチャー。「全ての機械に眼を与える」をコーポレートビジョンとして掲げる、人工知覚に関する研究開発と先端技術企業への研究成果の提供を通じて産業界に新たなイノベーションを起こすことを目標をしている。「SLAM」と呼ばれる技術をコアにして様々な「どのように動いており、どこにあり、周辺がどのようになっているか」が把握できるLocalization & Mappingソフトウェアをチップセットからサービス・プロバイダまで各インダストリに提供。


バックオフィスの作り方

〜キャディの場合~
伊藤様:
バックオフィスの作り方を考える上で、まずは組織への入り口である「採用」について考えることをおすすめします。バックオフィスと一口に言っても多数のポジションがあり、そしてベンチャーやスタートアップでは採用できる人数は限られている場合が多いと思います。
なので、事業の特徴や向かっている方向を考えた上で、優先順位をつけて採用することが重要です。

そう考えると、やっぱりまずはお金周りですよね。ベンチャー・スタートアップ資金も潤沢ではありませんし、入出金をきちんと抑えるために、経験のある経理担当者をまず一人採用することが重要かと思います。当社の最初のバックオフィスの責任者も、柿澤という会計士で、バックグラウンドとして経理・会計の知識と経験が豊富であることがポイントでした。

次いで、これはバックオフィスといっていいか分からないのですが、広報も重要なポジションだと思います。ベンチャーは経営資源が豊富ではありませんので、だからこそ会社の価値や可能性を伝えることが重要だと思います。採用広報にしっかりと取り組むことができれば、良い人も採用できて会社の成長に繋がる、という良いサイクルも回せると思います。

それから最後に、情報システムやIT部門の責任者も初期から採用するべきだと思います。目的としては、セキュリティ強化などではなく、SoRーシステム・オブ・レコードのためです。事業の成長のために、どういう情報をどう記録・蓄積するか、ということは初期から設計しておかないと、ビジネスがスケールした段階でPDCAを回すための情報が揃っていなかったり、必要な情報が取れないといったことに陥ってしまいます。目指していることを達成するために、レコードをしっかり取ることに責任を持ってくれるポジションの方を、会社もコーポレート部門も小さいうちから入れていくことが重要じゃないかと思います。

~Kudanの場合~
飯塚様:
まず、当社はイギリス・ドイツ・アメリカの拠点を日本が一か所集中で管理をしています。つまり、現地には管理タッフを置いていないのですが、日本のコーポレート部門もスモールな人数で抑えています。

IPO準備をしていた時は、総務・人事・PR、経理、財務・IPO、これら機能に一人ずつ担当を置いていました。といっても、そのうちの財務・IPOを担当するのは私でして、コーポレートのメンバーの中では一番最初に入社しました。その後、総務・人事・PRの女性、そして私の新日本監査法人時代の同僚を経理担当として採用しました。IPO後の現在は、加えて2名を採用しましたが、一つの機能に対して担当者は一人ということはいまでも同じです。一つの機能に二人以上の担当者を置くと、業務を分担することによって、余計な業務が増えてしまう場合があり効率的でないと考えています。年収500万円の担当者を二名採用するよりも、年収1,000万円のプロフェッショナルを一人採用し、ある程度負荷をかけてやってもらうというスタンスです。

IPO準備中であれば証券会社の引き受けのコンサル、法務であれば優秀な弁護士、税務であればPwCや新日本監査法人に依頼して、外で論点を洗い出してから中にいるメンバーが実務を執り行うといったやり方をしていて、それでコーポレート部門は最小人数で回せています。

・・・

伊藤様:最初のうちは指示を出す暇すらもないので、組織作りする上ではプロフェッショナルを採用したほうがお互い背中を預けながら働けますよね。人数が増えると業務が冗長化するし、確認の確認の確認・・・みたいな作業ができてしまい、人数は二倍になったのに出力はそれほどでもないなんていうことにもなってしまいます。

それから、ベンチャーやスタートアップでは、組織が安定するまで時間がかかるのに、またすぐに変化が起きるといったことが繰り返されるので、変化に対応できるプロフェッショナルを採用することが大事かと思います。

藤本:私も大手からスタートアップまで複数社経験してきていますが、中途半端にツールを導入したり、組織の形だけ作っておくと、ちぐはぐになってしまうんですよね。それよりも経験がしっかりあって責任をもって進められる人を採用する方が先だと思います。なので、私も最少人数のプロフェッショナル組織が適しているということには同意です。


コーポレート部門の採用〜スキル、ミッション・・・どちらが重要?〜

藤本:とはいっても、最近ではコーポレート部門の採用が難しいといわれていますよね。この状況下で、どのようにプロフェッショナル人材を採用すれば良いのでしょうか。

飯塚様:私の場合には、基本的に縁故採用です。優秀な人はエージェントに登録しないだろう、優秀な人はどこかでがむしゃらに働いているだろうという前提を持っているので、人と人とのつながりをたどって採用をしています。

採用の過程では、Kudanという会社のキャラクターやビジョンに共感していただけることを重視しています。それから、報酬を前面に出すような方はフィットしないと考えています。もちろん、活躍してくれる方にはどんどん報酬を渡したいという発想はあって、今でも優秀な方にはストックオプションを上場前と変わらないくらいのボリュームで渡したり、採用時にインセンティブを提示しています。

つまり、ビジョンとインセンティブセットで採用する、というのが私たちの方法です。オーナーが資本政策にかなり寛容で、株が希薄化しても時価総額1,000億になった方が良いでしょうという発想なので、その点は採用しやすいですね。
藤本:採用において、「ビジョンはアンマッチだが能力が優秀」な人材について、採用を迷うというケースは良くある話だと思うのですが、そのような場合にはどうしていますか?

飯塚様:採用選考では当社の代表との面接を設け、当社の事業内容やキャラクター・カルチャー、ビジョンについて説明しているのですが、どんなに優秀でもそこにマッチしていなければ採用しません。

kudanのビジョンにマッチして、パッションをもって入社してもらうーこれが理想ですし、大多数の社員がそうだと思っています。もちろん優秀な人には来ていただきたいですが・・・最終的な決め手になるのはパッションの有無ですね。

伊藤様:当社も、全く同じスタンスです。

優秀な方からご応募いただくこともあるのですが、ミッションとマッチしないと採用しません。当社はバリューに準じた四つの指標で判断していましす。具体的には、チームで一丸となれるか、人に誠実か、大胆な行動を取れるか、他にない卓越さを持っているか、です。

https://corp.caddi.jp/company/

ここにマッチしないと、どれだけ優秀な方でもお見送りします。逆に、ミッションやバリューへはマッチしていて、今後伸びしろが期待できる場合には採用することが多いです。踏ん張らないといけないときに踏ん張れるかどうかって、会社のミッションに共感しているかどうかが重要だと思うので、やはりそこは重視しています。

藤本:なるほど。入社後、能力不足で、しんどくなってしまうことはありませんか?

伊藤様:当社は面接時にテストを実施して、能力やスキルをチェックするようにしています。最終面接である課題を出し、その内容を一時間くらいかけてプレゼンテーションしてもらっています。製造業を変えるという難しいことに挑戦しているので、能力にあまりにアンマッチがあると、ご本人にとって不幸なことになるので、「しんどい」状態にならないように能力面もしっかり見ています。

正直なところ、採用したくてしょうがない状態ではあるのですが、安易に採用しないように鉄の心を持って臨んでいます!

IPOを達成するための最少人数は?

藤本:会社のステージに応じた組織・コーポレート部門を作るためには、やはり採用は重要ですね。先程、Kudan社が2018年にIPOされたときのコーポレート部門は3名だったとお伺いしましたが、リソースは十分でしたか?

飯塚様:そうですね・・・我々の組織づくりから察していただけると思うのですが、みんな120%フル稼働で、これにIR業務が加わったら大変だぞという状態でした。なのでリソースは常に50%くらい足りないような状態でした。

ちょっとした加圧は今でも続いていて、なんとなく人が足りないから・忙しいから、という理由で人を増やすと、逆に仕事が増えることもあると思うんです。そのひとのために仕事を作ったり、手が空いているからといって他部署にコンバートしたり。

なので、限界までみんなで頑張って、その間に良い人をずっと探しています。IPO準備中も今も、リソースは全然足りていません。

藤本:限界かどうかのラインは、どうやって見極めていましたか?メンバーに疲労が蓄積してしまうことがどうしても気になってしまうのですが・・・。

飯塚様:これは面白い発見がありまして、限界まで忙しくなると、余計なことしなくなるんですね。今のリソース、会社の規模でできることをする、無理をしないようになります。
例えば、経費精算の量が多くて業務をひっ迫しているなら、そもそも仕組みがおかしいんじゃないかという発想になって、今のリソースでできるように、仕組みそのものを変えてしまうんです。

なので、限界ではあるのですが、過労状態にはなっていなかったように思いますね。

横林様:さきほど120%フル稼働とおっしゃいましたが、コーポレートの皆さん残業は多かったですか?

飯塚様:上場審査の最中は、やはりかなり忙しかったと思います。上場審査で東証に入った瞬間に関わるプレイヤーが増えて、そこから忙しくなり始めたのですが、それでも3人体制で業務を回すことはできました。

ただ、ストックオプションも多く渡し、給与も高く設定にしていましたし、本人にも事前に業務量を伝えいたので、お互いに合意の上だったというのはポイントかもしれませんね。

藤本:3人はかなり少ないと思いますが、一般的にはIPO準備にはコーポレート部門の人数は何人くらいなのでしょうか?

横林様:従業員全体の約一割、やや欠けるくらいだと思います。30人だったら3人いるかどうか、50人なら5人いるかどうか。

コーポレート部門の全員が上場準備やっているわけではないので、CFOや管理部長がプロジェクトリーダーになって、その下で経理2人くらいが担当しているのがよくあるパターンでしょうね。飯塚さんのところは経理担当が一人だと、かなり負荷がかかっていたんじゃないですか。

飯塚様:そうですね。だからこそといいますか、経理担当は監査法人でシニアマネージャーに相当するくらいのトップ人材を採用していましたね。

横林様:監査法人自体がハードワークなので、会計士の方は耐性はついているし、キャッチアップのスピードも早いので乗り越えられた・・という背景もありそうですね。

伊藤様:私も監査法人出身ですが、どういう書類が必要か、どういう体制を作るのかという勘所もありますよね。

コスト面を考えると、人数が少ないことは良いことだとは思いますが、やはり絶対に守るべきことはリソースをかけても守るべきですよね。

例えば、法務担当がいないからといって法令違反をしても良いなんてことはないですし、会社ごとにリスクややるべきことは違うと思うので、それを考慮したうえで判断できると良いかなと。

藤本:僕自身、前職は一人目の専任経理として入社しまして、一人で決算を締めて税務申告をするくらいまではカバーできたのですが、J-SOX対応に着手しようとなったら、手がもう二本くらい生えないとときついなという状態でした。

それでやっと、二人目の経理の採用することを決めました。なんとなく人が足りないという温度感で採用をするのではなく、明確にどういう仕事でどのくらいの工数があるから人が必要なんだ、というアプローチで採用をするべきですよね。

バックオフィスの効率化×システム活用

藤本:さて、少人数でバックオフィスを回すという観点では、システムの活用も重要かと思います。キャディ社、Kudan社ではどう活用されていますか?

伊藤様:前提として、当社は、製造業のサプライチェーンの間に入っています。当社が加工会社から物を仕入れてお客様に販売するのですが、加工会社に対して材料を支給することもあるので、加工会社が仕入れ先であり販売先であるという状況にあります。

コーポレート部門の業務効率化の観点では、労務ならSmart HR、会計ならfreeeといったシステムを入れていくべきかと思いますが、事業をスケールさせる上ではSalesforceなど事業の中枢となるシステムも重要だと考えています。
当社は先程の前提があるので、サプライチェーンの両方の流れを記録しておく必要があるので、どういったオブジェクトやデータを記録してレポートするのか、事業を伸ばすためには何が必要なのかを考えながらシステムを使っています。適切にデータを蓄積していれば、それが新規事業にも繋がると思うので、ここでのシステム活用はしっかりと進めています。

システムを使わずに紙ベースではダメだということはありませんが、トレーサビリティという考えも必要です。例えば、監査が入った時に、すぐに必要な情報を取り出せるような状況にするには、システムにデータを蓄積しておくほうが効率的ですよね。

個人的には、最近のバックオフィスではシステム屋的なことも求められているのじゃないかなとも思います。

飯塚様:当社はシンプルな会社なので、支出はエンジニアや従業員の給与が中心で、経費といっても交通費くらいです。なので、システムを導入して運用する工数と、その結果に見合わないと考えていて、システム導入にはあまり積極的ではありません。

例えば、経費精算システムを導入するよりは、領収書を集めてExcelで管理する方が効率的だと考えていますし、会計面では日本ではマネーフォワード会計、後は現地で会計システムを導入してはいるのですが、受注管理などはExcelで行っています。

IPO論点として、サーバーにセキュリティ掛かっているかとかっていうことはしていますが、そのくらいでそれ以外のシステム投資はしていません。その代わりにと言いますか、管理業務において通常のやり方をどんどん変えて、効率がより良い方法を採用するようにしています。

ただ、管理にイノベーションを起こさないといけないと思ってもいます。そもそも、申請・承認がなぜ必要かと考えると、不正を働くひとが出てくる可能性があるからですよね。経費精算・申請の徹底に時間を掛けるよりも、給与に一定金額を上乗せして支給し、一定期間後に内容をレビューしたほうが効率的だと考えていて、近々導入する予定であります。

当社では、Refuse to Normalという、普通のことをやるなというビジョンを掲げているので、管理も管理しない管理を徹底したいと考えています。

藤本:プレイド社も同じ方法で運用していると聞きましたが、効率化を優先し、性善説を前提とした運用をする企業も増えてきているみたいですよね。

先程、キャディ社ではシステムを活用されていると伺いましたが、システム投資についてはどう考えていますか?

伊藤様:システム投資でいうと、守りの観点と従業員に素晴らしい体験をしてもらうという観点があると思います。
前者は経理的に必要な情報を集められるようにSalesforceを使っている・・・というようなことで、後者は例えばみんながやりたくないような業務ー出張手配とか契約業務−を効率化することです。

例えば、当社では出張周辺業務を効率化するためにAI Travelを導入しているのですが、年間の出張件数が多いと、交通機関や宿泊施設の手配、精算で結構工数がかかってしまっていますので、社員にとって無駄な工数を削減するためにAI Travelの導入を決めました。経費精算ではDr.経費精算を使っていたりと、単純に従業員みんなが喜ぶシステムはどんどん入れるようにしています。

藤本:僕も前職で経費精算をやっていて発狂しそうになったので、そういった低付加価値業務をシステムで解決することの重要性は身に染みてわかります。
システムを導入するタイミングについては、気をつけることなどはありますか?

伊藤様: コーポレート部門は、100%を求められる仕事が多いと思うので、最初にシステムを入れるという発想は気を付けないといけないと思っています。

どんなにアナログでもいいので業務を100%やり切った後に、どう変えていくかという順番で進めないと、システムでそれっぽく効率化されたけど実はチェックされてないとか、ワークフローを導入したけど運用がうまくいかないということになってしまいがちです。

現状が紙ベースの非効率的なやり方であっても、まずは一通り完結させて、その後にシステム導入をすすめないと、後々落とし穴にはまってしまうのでお気をつけください!


質問1 ミッション・ビジョンへの共感を後付することは可能?

藤本:ここで一件、質問をいただいているので、その回答を。

ミッション・ビジョンへの共感について、入社後の後付けもできるのでは。と思うのですがどうでしょうか?

横林様:最近識学を読み始めたのですが、識学的には最初から求めると。採用時にそこを見てしまうと人が入らなくなるから、後付けした方が良いんじゃないかということですね。

一方で、日々スタートアップと候補者の方々をおつなぎしていますが、転職の動機に優先順位をつける中で、事業内容への共感は上位に来ていてほしいですよね。そうすると、ミッション・ビジョンへの共感はある程度あった方が良いと思います。

ただ、経理の方って、業界や業種、事業内容に興味ありませんという方も多いので、最初から求めることもないのかなと思ったりもします。

飯塚様:僕も後付は可能だと思います。言ってしまえば、採用してみないとわからないですよね。僕も最初はkudanの働き方にびっくりしましたが、その後かなりマインドも変わりましたので、実体験から考えてもYESです。

藤本:飯塚さんご自身は、どのような経緯があってKudanに入社されたのですか?

飯塚様:僕はもともと、横林さんと一緒にベンチャーをセコンドとして応援していた人間でして、どこかで誘われたら行きたいなという思いがありました。それで、最初に誘っていただいたのがKudanでした。

やっぱり起業家を男にする、上場させるっていうのが自分のミッションで・・・会計士になった時点でアントレプレナーじゃないんですよね。圧倒的なナンバーツーになろうと思っていたので、そのマインドがあって入社したのですが、実際はかなり特徴のある会社で、カルチャーにフィットするには時間かかりました。

ただ、ひも解くと「小さい会社だからこそ名刺一つとっても大企業とは違うことやらないといけない」という考えが一貫していて面白かったので、今では採用の場でもアピール出来るほど馴染みました。今でもたまにびっくりすることはありますが、メッセージの根源がわかっているのですぐに理解できて動くことができます。

藤本:伊藤さんはキャディのミッションに共感されて入社したと認識しているのですが、この質問についてはどう思われますか?

伊藤様:できなくはないと思いますし、優秀な方であればあるほど課題を抽象化して解釈して、そこに自分を合わせることができると思います。

ただ、当社の場合には採用選考において、ミッションフィットはかなり見ています。どういう見方をしているかというと、過去の転職の経緯だとか、個人的にどういうミッションを背負って仕事をしているかとか、意思決定の仕方ですね。

あとは、「CADDi BAR」といって一か月~二週間に一回の頻度で社内で飲み会をやっているので、そこに参加してもらって社員と話してもらっています。そこで社員も、ミッションにフィットしているかどうかを見ていたりします。
つまり、ミッション・ビジョンへの共感は後付けできるとは思いますが、当社の場合には採用の過程で後付ができそうかも含めて見させてもらっている、ということですね。

https://caddi.connpass.com/
※CADDi BARへの参加は招待制です。

藤本:僕も、実はAIトラベルはアルバイトで入社しているんです。
大丈夫かなと思っていながら働き始めたのですが、仕事をする中で気持ちが固まったし共感できるところも見つけられました。飯塚さんのおっしゃるように、採用してみないと分からないということもありますし、気軽に相性を試せるような機会が増えればいいですよね。

横林様:CFOクラスの方は、リスクヘッジのために一社にフルコミットせずに、複数社に業務委託で入ったりして、起業家との相性なんかを判断しながら最終的にフルコミットするところを決めるケースもありますね。

質問2 コーポレート部門の内製、外注の線引は?

藤本:個人的にとても気になるので、質問させていただきたいのですが・・・

どこまでを内製してどこから外注するかの線引きで悩まれる方も多いと思うのですが、ポリシーを教えていただけますか? 

飯塚様:基本的には、専門的知識は餅は餅屋だと考えています。法律なら森・濱田松本法律事務所、税務ならEYとか、専門業務は外注したほうが良いと考えています。あと、内部監査担当者の採用は他の職種よりもスキルマッチに苦労することが多いでしょうし、IPO観点でも内部監査は外に出した方が良いかなと思います。

横林様:内部監査って、IPO準備を依頼していた企業にそのまま依頼されていましたか?

飯塚様:そうです。タスクさんに依頼していました。

横林様:うちもIPOコンサルはじめたので、興味ある方ぜひ。

藤本:他に外注した方が良い業務などありますか?

横林様:僕は、N3、N2、N期にあたる企業を見ることが多いのですが、ステージが早い企業ほど外注の比率を増やして、上場が近づいたら内製化するパターンが多いですよね。その中でも、特に採用業務は外注されている企業が多い印象があります。

面接は部署単位でしっかりやられていて、エンジニアならエンジニア、コーポレートならCFO中心でやっていますが、オペレーション部分は外に出す場合が多いかなと。後は、最近は、ATS(Applicant tracking system:採用管理システム)がかなり普及してきたように思います。


伊藤様:当社は内製している部分が多いですが、給与計算のようなオペレーショナルな業務は外注して良いと思います。

藤本:最近、経理の外注も増えているように思いますが、IPO準備中の企業ではどうでしょうか?

横林様:N3であれば外注でいいと思いますが、決算の早期化なんかに取り組むなら内製したほうが良いですよね。IPO後の開示を考えると、本決算は90日で四半期決算は45日。それを当たり前にこなせる管理部門を作るためには、どこかの段階で内製化した方が良いと思います。

仰るとおり、経理のフリーランスも増えてきていて、IPOを経験された方が業務委託で複数社見るようなことをされていますね。ただ、後々正社員に切り替えられてしまうので、せっかく更地を整えてきたのに、ストックオプションももらえずに去ることになる・・・というのはもったいないですよね。

なので、経理の方はN3やN2で入社することをお勧めします。

伊藤様:当社は一人、経理の業務委託の方がいます。会計知識は豊富でないのですが、業務を自動化・効率化することに長けていて、僕が指示を出してデータを取り出しやすくしてもらったり、マクロを書いてもらったり。この組み合わせは、はまっているなと思いますね。

横林様:最後にいま、コーポレートで絶賛採用中のポジションってありますか?

飯塚:kudanではグローバルの連結経理を募集中です。英語必須ですが、ストックオプションも付与しますのでぜひ。

伊藤:全体的に募集しています。当社の場合には、コーポレート系の人がフロントに異動することも少なくないです。コーポレートでもそれ以外での職種でも、課題を解決していることには変わらないので、誰が何もやっても良いと考えています。コーポレートで実力を発揮できる人は、フロントでも同じかなと。なので、当社ではコーポレート出身でもビジネスサイドへの登用はあり得ますので、ご興味ある方ぜひ!

藤本:僕も、もともと経理でいまCOOやってますからね。

横林:そういう人は、事業家からの受けもいいですよね。今後の新しいキャリアパターンとして定着するかもしれませんね!

・・・

以上、「企業の成長を支えるバックオフィスの作り方」ウェビナーのレポートをお届けしまいた!

ご参考にしていただけると幸いです。今回は、株式会社AIトラベルとJAPAN FAS株式会社共催でお届けしました。JAPAN FAS株式会社では、バーチャルマスターのきたえもんさんによる経理担当者の交流イベント「喫茶けいり」を開催されています。ご興味ある方はこちらをご覧ください。


AIトラベルとしても、今後継続してウェビナーを実施予定です。
ウェビナー情報はTwitterにて配信していますので、ぜひフォローしてください!


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