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#145 油断

宮崎駿さんのアニメで,懐かしいなぁーと思える作品は,「天空の城ラピュタ」です.(えぇッ,空から降りてきたのかって? イエイエ,私は生まれてこの方,地上で生活しています.)

機械油

 オープニングで少年パズーが,鉱山で動く機械に油をさしてまわっています.あのシーンを初めて観たとき,私の実家の工場の匂いが頭の中でよみがえりました.

 昔,私の両親は毛織物を織る小さな工場をしていました.機織り機械(織機,しょっき)には毎日,マシン油(機械油)をさします.もし油が切れると,機械がちゃんと動きません.いつも工場には、パズーが持っていたのと同じような機械油の匂いが漂っていました.再放送を何度見てもあのシーンは、普通のアニメのセル画のはずなのに,私には匂い付きアニメになります.不思議な感覚です.

油断大敵

 機織り工場を辞めてしばらく経ったある日、実家に帰ったとき静まり返った工場を覗くと、昔は油にまみれていた機械が”油切れ”で何カ所かがサビついていて驚きました。「油断大敵」とはこのことかと実感がわきました.当たり前のように毎日さしていた油が切れると,摩擦が大きくなってそれまでの滑らかな動きができないばかりか,サビついてしまうんですね.

油,足りてますか?

 油と言えば,燃やす燃料を思いがちですが,潤滑油もあります.さて,新型コロナ感染症の第2波(3波?)が来つつある最近,身の回りの人間関係,”潤い”はありますでしょうか?「無駄な時間」「無駄な会話」と思っていたものが,意外と「潤いをもたらす大切なもの」だったことを,第1波でいくつか経験しました.

 「油が足りない」と思ったら,是非,油を足しましょう.心にゆとりがないと思ったら,周りの人を「おおらかな気持ち」でその人の良いところを見てあげましょう.

 「油を売ている」人がいるとしたら,きっとその人は,なかなか帰ってこない”道草(みちくさ)”の中で,きっと将来大きな(うるおい)の元を、根気よく探しているのでは? そう思えるようになれば,きっとあなたの”心の潤い”(油)は足りています. 毎日、私も自分に「油」をさしているつもりです。 焦らず、やれる事を、コツコツと。 秘密の呪文を唱えながら,“油だカタプラァ〜。”